小学校教員採用試験の倍率低下

2022年6月25日 23:05

教員採用試験において異常事態が起きています。

小学校が不人気

教員採用試験の倍率が1倍になる。そんな状況を誰が想像したでしょうか。

大分県・小学校・教員倍率　1.0倍……

教員採用試験の倍率が、とうとう、1.0倍に…… pic.twitter.com/tmnh16n0Xq
— 斉藤ひでみ・現職教師（西村祐二） (@kimamanigo0815) June 23, 2022

これは大分県に限ったことではないようです。全国的に小学校教員採用試験の倍率が大幅に低下しています。下部の引用から、倍率をまとめてみました。

令和5年度小学校教員採用試験の倍率は2倍を割る自治体も

埼玉県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.9倍（昨年度2.4倍）。
愛知県小学校教員採用試験の志願倍率は、2.5倍（昨年度2.7倍）。
宮崎県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.9倍（昨年度1.6倍）。
佐賀県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.4倍（昨年度1.5倍）。佐賀県は特に、中学校の各教科別の倍率が2倍以下の教科が半数あります。
熊本県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.3倍（昨年度1.5倍）。熊本県は特に、中学校の各教科別の倍率が2倍以下の教科が複数あります。
千葉県小学校教員採用試験の志願倍率は、2.5倍（昨年度2.5倍）。
秋田県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.3倍（昨年度1.4倍）。
山口県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.8倍（昨年度2.1倍）。山口県は特に、中学校の各教科別の倍率が2倍以下の教科が複数あります。
石川県小学校教員採用試験の志願倍率は、2.6倍（昨年度2.5倍）。
山形県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.4倍（昨年度1.5倍）。
滋賀県小学校教員採用試験の志願倍率は、2.8倍（昨年度3.1倍）。
大分県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.0倍（昨年度1.4倍）。
神奈川県小学校教員採用試験の志願倍率は、2.6倍（昨年度3.2倍）。
山梨県小学校教員採用試験の志願倍率は、1.9倍（昨年度1.9倍）。

志願者数を公表しても、採用予定者数を公表していない自治体もあり、全てがわかるわけではありませんでした。しかし、中学、高校に比べて、異様な不人気さです。そして、昨年度よりも殆どの自治体で下がっています。来年度以降も、同様の傾向が続けば、倍率を2倍切る自治体がもっと増える可能性があります。

なぜ小学校教員は不人気なのか

私は高等学校の教諭なので、小学校で勤務したことはありません。実習で何度か小学校を訪れて見学した位で、小学校の先生がどのように働いているのか、は殆ど見たことがありません。しかし、専門教科に分かれている中学高校と違って、基本的に教員一人が自分のクラスの生徒の授業を全て受け持ち、朝から夕方まで付きっきりでの指導をする小学校の負担は、他校種とは異質なものでしょう。

まず、空きコマが殆どないため、授業準備の時間が勤務時間内で持てないという話をよく聞きます。また、すべての教科を教えることも負担に違いありません。『音楽的センスをもち、運動能力に優れていて、英語が堪能で、数学的思考に秀でていて、読解力があって、世界情勢や歴史に造詣が深く、科学に親しんでいる』ような、謂わばスーパーマン（スーパーウーマン）でないとかなりの負担だということは、容易に想像できます。そんな人材はなかなかいないため、必然的に志願者が減ってしまっているのでしょう。

まとめ

教員の多忙・教員の働き方改革、が話題になるときには、必ずと言っていいほど中学校の部活動がまずブラック労働の原因だと指摘されます。部活が嫌なら小学校にいけ、という暴論も聞きます。しかし、教員採用試験の志願現状を見ると、より危機的な状況が小学校で起こっているのではないか、と言わざるを得ません。それが何なのか、はあまり調査されていないように思われます。しかし、早く手を打たないと、小学校から日本の教育が崩壊してしまうのでは、と危機感を抱かざるを得ません。

引用

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