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山芋掘り


  芥川竜之介の作品に「芋粥」というのがあるのはご存知と思いますが(知らんがな)、大関松三郎には「山芋」というまんまの作品があります(そんなの聞いた事もないって)。いや、私は山芋が大好きなんです。

  納豆、オクラ、などいわゆるネバネバ系はなんとなく体に良さそうな感じがするじゃないですか。食べると元気が出るような気がします。山芋でも畑で作った物ではなくって、山に生えている自然薯はとっても粘りが強いんです。すり鉢ですってもお餅のようにくっついて離れない程です。そういう山芋はおいしいです。最近では畑で作った物など漂白してあるのか、塩素の匂いがしたりしますから、ネバリどころではなくって食べるのが恐ろしいですけどね。(でも食べますけど)

  食べるのもいいんですけど、実は山芋は掘るのが面白いんです。私に山芋掘りの手ほどきをしてくれた師匠のO先生なども「今まで何人も山芋掘りに連れてきたが、次の年も行きたいと言った者は一人もおらん」と言って、山芋掘りの楽しさを語っておられます。(全然語ってないって)ご多分に漏れず、私も初めて連れて行ってもらってから14年間(体調不良で去年は行けなかったけど)通っております。いや、ほんまに山芋掘りは楽しいんです。(何かよう分からん)

  私が出かけて行くのはN山といって標高わずか200M程の山です。展望所まで行くと博多湾と玄界灘が見渡せます。対馬暖流の影響か冬でも霜が降りにくく、春の来るのも一月近く早い様です。そこに毎年10月か11月に行くのですが、今年は12月も終わりになって出かけて行きました。本当だったらもう山芋の蔓が切れてしまって見えなくなるので、だめだと諦めていたのですが、師匠のO先生が、印を付けておいたのがあるから掘りにおいでと声を掛けていただいたので、ノコノコと出かけて行きました。

  実際に、教えてもらった蔓は太くていかにも大きい山芋がありそうなんです。(ヤッホー)しかも2つ並んでいます。(ヤッホッホ)ところが、掘り進んで行くと大きな木の根っこが出てきました。(あら)しかし、そんなことでめげては山芋は掘れません。その根っこの下をくぐって掘って行きます。そうすると、今度はスコップに「コツンッ」石が出てきました。(あらあら)ここで負けては男がすたる、とその周りを掘って行きましたが、どこを掘っても「コツンッ」「コツンッ」なのです。(あらあらあら)どう見ても直径が1m以上はありそうです。こういう時は決断力です。男は度胸です。(行き当たりばったり)

  山では人を頼っていてはいけない、(初めから頼りっぱなしやないか)などとつぶやきつつ、全然見えなくなった山芋の長細い黄色のハートを探して、ズンズン(本当はトボトボ)登って行きました。竹薮をさまよった甲斐があって、2時間位掛けて2本の大収穫がありました。(情けない)

  実は山に生えている山芋は美味いとうよりも土の匂いと味がするのです。何故それが分かるかと言うと、1mから1m50と掘り進んで行き、土の中に頭も体も突っ込んで掘るからなんです。山の斜面などによっても少しずつ土は違いますが、掘っているとそこの土の匂いがブアーッと匂うんです。それが、家に帰って山芋をすって食べるとそれと同じ匂いが口の中に一杯に広がってくるんです。山の土あるいは山そのものを食べているような感じなんです。そこが良いんです。

  山芋はその貯えた力で1年掛けて蔓を巻き上げて行き、ハートの葉っぱでお日様からもらって作った養分をまた土の中の山芋に貯える、ということを毎年繰り返しているのです。つまりお日様と山をまるごと食べれるわけなんです。いや、私も書いて初めて気がつきました。(オソマツ)

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ヒゲリン
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