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クラウドファンディングをやる上で押さえておきたい「7つ」のポイント
カレー屋ヒゲめがねの開業に際してクラファンに挑戦したところ、本当に多くの方にご支援を頂き、目標に対して489%を達成。これには、自分も本当にビックリ!
◆実際のクラファンページはコチラ
そんな結果が出たこともあってか
「クラファンについて教えて欲しい!」
というお声がけを何度か頂いたので、やってみて自分なりに感じた「ポイントらしきもの」をまとめてみることにしました。
あくまでも、1事例を経験しただけの個人の見解に過ぎませんが、皆さまにとって何かの参考になれば幸いです。
1.前提として押さえたい2つのこと
①クラファンの型を知る
クラファンをやるにあたって、色々なページを眺めていて気付いたのですが、クラファンには大きく「3つの型」がある気がします。
まずは自分が取り組もうとしているのが「どの型のプロジェクトなのか」を理解することをオススメします。
■クラウドファンディング3つの型
①社会課題への挑戦共感型 プロジェクト
➁新価値創造・製品購入型 プロジェクト
③個人案件で恐縮ですが型 プロジェクト
何となく、伝わりますでしょうか。
この3つのうち、「①・②型」のプロジェクトは、目標を達成し、且つ、かなりの額を調達できているものが多く、「③型」の案件は、プロジェクト数は1番ありながらも達・未達のバラつきが多い印象があります。
ヒゲめがねの事例は「③型」のパターン。なので、ここから先は「③型」のプロジェクトについての「ポイントらしきもの」をお伝えしていきます。
➁貯信はあるか
クラファンをやるにあたっては「プロジェクトの中身」がもちろん大事なわけですが、こと「③型」の場合に、中身と同等以上に重要になるのが「貯信」の有無です。
まずはこちらをご覧下さい。ヒゲめがねのクラファンの「支援者」の内訳です。
■ヒゲめがねクラファンの支援者内訳
・友人関係 201人 95%
・面識の無い方 12人 5%
この結果、皆さんはどうお感じになるでしょうか。
どれだけ想いのこもった素晴らしいプロジェクトであっても「個人的なプロジェクト」の域を出ない「③型」の案件に対しては、面識の無い方が支援をしてくれることは、ほとんどありません。
つまり、支援してくれるのは身内や友人がほとんどということ。それも「がんばれ!応援しているよ!」と言ってくれるだけでなく、「お金を出してくれる友人」が必要になってきます。
この「お金を出してまで応援してくれるであろう友人の顔が、どれだけリアルに思い浮かぶか」が、③型のクラファン成否の「9割」を分けると思っています。
キングコングの西野さんが「クラファンは貯めてきた【信頼】をお金に変換する装置だ」と明言されてますが、まさにその通りだな、と。
この根っこの部分をすっ飛ばして、文章の書き方やリターン品の設定などの「HOW TO」ばかりをこねくり回しても、なかなか厳しいものがあると感じています。
なので、③型のクラファンにトライされる際には
・自分は信頼を貯めてきたか
・お金を出すことを厭わない仲間が具体的に浮かぶか
この問いに真摯に向き合ってみることをお勧めします。
その上で、次からは、より支援を集めやすくなるための「テクニック的なもの」を書いていきたいと思います。
2.より支援を集めるための視点
③冒頭の掴み
クラファンは、ここ1~2年で飛躍的に認知が高まった一方で、やや飽食気味な空気も生まれつつある気がします。そうなると、たとえ友人のプロジェクトであっても、興味を引かれないものはスルーされる。そんなシビアなステージになってきたと感じています。
なので、まずもって重要なのが冒頭での掴み。具体的に言うと「トップ画像&タイトル」と「文頭の紹介文」。ここに「プロジェクト概要」と「引っ掛かり」の2つを盛り込むことがポイントになってきます。
ヒゲめがねの例で言うと、こんな感じ。
◆トップ画像
![](https://assets.st-note.com/img/1646269151298-RxO2DR415O.jpg?width=1200)
・吹き出しのワーディング
→3人の子持ちで、脱サラしてIターンして、カレー屋を始める!?いやいや、まじかっ!豊田、気は確かか!?
・お店のロゴ
→ヒゲめがね?なんだその名前は??
・カレーの写真
→なかなか美味しそう。食べてみたいなぁ。
◆冒頭の概要文
![](https://assets.st-note.com/img/1645758729020-SHJzPpI0lb.jpg?width=1200)
・元ハウス食品のスパイスマスター
→そんな肩書の人がやるカレー屋って、どんなカレー屋なんだろう!?
・生き方の選択肢を示す1つの社会実験
→選択肢?社会実験?って何ソレ?カレー屋じゃないの?
このパッと飛び込んでくる画像と短い文章の中で、「続きを読んでみたい」と思って頂けるかが勝負になります。
そう考えると「引っ掛かり」と書くよりも、「惹っ掛かり」と表現した方がしっくり来るかもしれません。
そして何に「惹っ掛かり」を感じるかは人それぞれ。支援してくれそうな仲間の顔を具体的に思い浮かべながら、どんな表現なら刺さりそうかをじっくりと考えてみましょう。
④「目次」と「おまけ」
![](https://assets.st-note.com/img/1645762691444-2oocB6fDgH.jpg?width=1200)
自分もそうでしたが、クラウドファンディングをやろうと思っている人は、どうしても文章が長く、かつ、グチャグチャになりがちです。なぜなら、プロジェクトに対して並々ならぬ思いが溢れ、気持ちが高ぶっているから。
そんな興奮状態をクールダウンして、読みやすい文章にしていくためにも、「目次」を考えることはとても有効だと考えます。
目次を整理することで、自分が伝えたいことの「幹」と「枝葉」がはっきりしますし、文章を書き始めた後も、今自分は全体の流れのどこを書こうとしているのか、現在地が見えやすくなります。
また読み手にとっても、「目次」を示すことによって全体の流れが分かり、安心して読み進められます。
そしてもう1つお勧めなのが「おまけ」を書くこと。
この「おまけ」という設定をしておくことで、任意で読みたい人が読んでもらえばよいモノという位置づけにすることができます。いわば想いの丈を長く書くための免罪符のようなもの。
また「おまけ」と聞くと、何故だか不思議とそそられませんか。おまけという響きには、ついつい読みたくなる効用があるように思います。
で、このおまけの部分で、冒頭で振っておいた「惹っ掛かり」を回収する。なぜ脱サラIターンに踏み切れたのか、ヒゲめがねという店名にしたのはなぜか、など。すると、読んだ人は惹っ掛かりが解消されて、「良いおまけだったな」「面白いプロジェクトだな」と、読後感が良い塩梅になる。気がします。
ただし、おまけに中身がなく、ただただ冗長な内容だと、かえってプロジェクト全体の印象を悪くするリスクもあります。
クラファンのおまけ、うまく活用できないか、一度考えてみても良いかもしれません。
⑤リターン品の組み立て
リターン品にどのようなものを設定するかによっても、支援頂けるかどうかが大きく左右されると思います。ここでは、ヒゲめがねは、どのようなリターンを、どんな考えで設定したか。そして各リターンがどれだけの支援を頂けたかをお伝えします。
■リターン品一覧と結果
![](https://assets.st-note.com/img/1646033383376-uyBs0eA9z1.png?width=1200)
(1)リターン品の価格設定をどうするか
まず考えたのが、設定価格。皆さん、どのぐらいの価格だったら「よし、支援しよう!」っと思えるのか問題。
これは camp fire の事務局の方に教えて頂いたのですが、人生をかけた挑戦であれば「1万~3万」ぐらいは支援を頂けることが多いとのこと。なので、1~3万円が真ん中に来るよう意識しつつ、下は3,000円から上は50,000円まで、『松・竹・梅』を選べる価格幅を考えました。
(2)遠方者も支援可能なリターン品はあるか
ハコモノを作るプロジェクトにありがちなのですが、リターン品が「来店前提」のみの場合があります。そうなると、支援者は周辺在住者に限られ、支援の輪が広がりにくくなります。
リターン品は「遠くに住んでる方向け」と「近くに住んでる方向け」の「遠近バランス」を考えながら設定しましょう。
豊田の場合は、元々首都圏での生活が長く、友人も首都圏に多かったこともあり、遠距離の仲間でも支援可能なリターンを組み合わせたことが、支援が伸びたポイントだったように思います。
(3)開店後の集客も考える
飲食店は、当たり前ですがお客様に来て頂かないことには始まりません。そのための布石をクラファンに盛り込もうと考えました。具体的には「回数券」と「年間割引パス」がこれにあたります。
クラファンの性質上、プロジェクトの心意気に打たれて支援をするものであり、また事務局への手数料をそれ相応に引かれることも考えると、通常価格よりむしろ「割増」で設定することの方が多いと思います。
そんな中で、「5,000円」という比較的支援のし易いであろう価格で、かつ、クラファンではあまり見かけない「お得な設定」にすることで、支援者の数を増やし、開店後のお客様の確保に繋げられたらと考えました。
実際に、回数券・年間パスポートの支援者数を足し合わせると「81名(33%)」もの支援を頂きまして、開店後の集客・スタートダッシュに繋がったと感じています
クラファンは、お金を募るための仕組みですが、こういった「開店後の集客」に向けた仕掛けも考えてみると良いかもしれません。
(4)唯一無二のリターン品を考える
プロジェクトを象徴するような、貴方だからこそお届けできる唯一無二のリターン品を考えてみましょう。
ここで言う唯一無二とは、単にエッジが効いた物珍しい品ということではなく、ストーリーとリターン品が相互に補完し合うことで、プロジェクト全体の腹落ち感が高まるものが理想です。
ヒゲめがねで言うと「こんな生き方もありだよねといった先行事例を示したい」というストーリーを、「オープン後の営業のリアルをお伝えする」というリターン品で回収しています。
では、どうやって唯一無二のリターン品を考えるか。ヒントらしきものを3つお伝えしてみます。
・一般的に売られてない、特定の人はめちゃくちゃ欲しいもの
→個人的に、Iターン起業したらどの程度の売り上げが得られるのか事前にめちゃくちゃ知りたかった。が、グーグル先生をもってしても見つけることが出来なかった。のであれば自分が提供したら価値があるのではないか。
・1つ1つは一般的でも、掛け算することでユニークになりそうなもの
→ヒゲめがねで言うと、Iターン × 飲食起業 × データ販売 この3つを掛け合わせることで、かなりユニークなリターン品になったように思います。
・世のクラファンページをリサーチして、面白そうなものを見つける。そのリターン品に自分ならではの要素を掛け算してみる
→「料理教室」などはよくあるリターンですが、「レンタルヒゲめがね」と表現を変えることでインパクトをつけてみる。
他にも、色々な考え方があると思いますが、リターン品を考える上で、何かの参考になれば幸いです。
(5)郵送を伴うリターンは要注意
支援がたくさん集まった!嬉しい!っと、小躍りした後には、当たり前ですが、リターンの実行が待っています。
色々なリターン品があると思いますが、とりわけ「郵送」を伴うものは、かなりの手間がかります。返礼品を用意して、同梱するお手紙を印刷して、きれいに梱包して、郵便局に持ち込んで、配送する。もちろん配送料もかかるわけです。
1人や2人分を郵送するのなら良いのですが、これが100人、200人、はたまた1,000人とかになってくると、それはもうパニックになります。ちなみにヒゲめがねは、配送リターンが150件ほどありましたが、かなり大変でした。
配送対応で疲れ果てて、プロジェクトそのものがおろそかになってしまったら元も子もありません。リターン品を考える際には、『配送モノ』に偏りがないか、あらかじめ考えておくと良いかと思います。
⑥発信前の第三者チェック
色々と思い悩みながら、書いたり消したりを繰り返し、ようやく完成させた文章。きっと愛おしいものになってると思います。ただ、想いが強ければ強いほど、その文章は独りよがりになってしまっている可能性が高いです。
ここまで頑張って書き上げた文章が上滑りしてしまわないためにも、必ずスタート前に、友人に頼んでチェックをして貰いましょう。
フィードバックは、出来れば10人ぐらいはお願いしたいところ。複数の眼で見てもらうことで、自分では気付かなかった落とし穴が見つかります。
また出来るだけ忌憚なくコメントをしてくれそうな友人に頼みましょう。自分の書いた文章が否定されて凹む可能性もありますが、辛口フィードバックを貰えてこそ、より中身の濃い文章に仕上がっていきます。
ちなみに、ヒゲめがねは26人の方に見て頂き、様々な観点からご指摘を頂きました。
・遠方者向けリターン品がない!
・タイトルのインパクトが弱い!
・長すぎる!そんな長文読まん!
などなど、愛あるコメントを浴びるように頂き、全面改訂に追い込まれました(笑)。一度組み上げた文章をガラガラガッシャンするのは辛かったですが、お陰様で本当により良い文章になったと思います。ご協力いただいた皆様には、この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
この友人による第三者チェックはマストでやられることをお勧めします。
⑦支援目標額の設定方法
ここまで、アレコレ考えながら煮詰めてきたプロジェクト。最後に決めないといけないのが目標金額。高すぎると未達になりますし、低すぎても支援額が伸び悩みます。
最後に、この目標金額をどう設定するのが良いのか、ヒゲめがねなりの考えをお伝えします。結論から言うと、こんなイメージです。
「具体的に頭に浮かぶ友人の数」
×
「1万円」
×
「2倍」
一般的には「プロジェクトにかかる具体的な経費」から設定する方法が考えられますが、これはあまりお勧めしません。なぜなら、支援金額は「信頼の貯まり具合」によって左右されるものだから。
なので「経費」ではなく「支援してくれそうな人数」をベースに組み立てるのがベターだと考えます。
そうやって思い浮かべられる具体的な人数に、人生をかけた挑戦であれば支援してもらえそうな下限値である「一万円」をかけます。
そして最後に「2倍」します、ここがポイント。これは、日本人特有の「少なく見積もる性質」を加味して、現実的なストレッチ目標にするための掛け算です。
ちなみに、ヒゲめがねは「50人ぐらいは支援してくれそうかな」と思い、そのまま50万円を目標金額にしましたが、結果的に「213人」もの方から支援を得られました。どれだけ少なく見積もってるんだという話ですが、高めの目標にして未達だったら悲しい、傷つきたくない、という思考が働くのが「人のさが」なんだろうなと思います。
もちろん色々な性質な方がいるので、ここの掛け算は「2倍が正解」ということではありません。ただ、そういう「さが」があることを理解しておくこと。そしてご自身のタイプを見極めた上で、最後に「ストレッチ掛け算」を考えてみることをお勧めします。
そうやって集まりそうな額を見越した上で、その額に相応する「プロジェクト経費(集まった支援額でこれを購入したい)」を設定していく。そんな「逆手順」を踏むことで、目標達成が近づいてくるのではないでしょうか。
終わりに
ここまでお読み頂きありがとうございます。何か1つでも参考になる点がありましたら幸いです。
冒頭にも書きましたが、あくまでも1事例を経験しただけの個人の見解なので、これが正解ということではありません。
決して「鵜呑み」にすることなく、より良いクラファンにしていくための1つの「たたき台」としてご活用頂ればと思います。
また、皆さまなりに考える「ポイントらしきもの」がありましたら、ぜひ教えて下さい。ともに学び、ともに高め合っていけたら嬉しいです。
それでは、今日も良い1日を!