【映画感想】NOPE(ノープ)
※本noteは、2022年9月10日時点で上映中作品のネタバレを含む
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劇場でNOPE(ノープ)を観てきた。
鑑賞後に速攻でパンフレット買ったし、読み終えたらレビューや考察を読み漁った。
この作品は表層だけ見れば普通に面白いSFホラー(?)だし、う~んと頭を悩ませながら観るのも面白いだろう。
小難しく考えなくてもなんとなく自分なりのアンサーが出せる程度には、ストレートな内容になっている。同監督の過去作「ゲットアウト」「アス」と比べてもわかりやすい、と思った。
もちろんこれらの過去作より、「単純だ」とか「面白くない」という意味ではない。作品のスケールは壮大になったし、映像美や迫力も圧倒的にあがっている。ジョーダン・ピールが売れて予算が潤沢だったからじゃね?ってのは間違いないが、無駄には使っていないと強く感じる。
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※以降、作品のネタバレを含みます
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アンチ映像作品であり、映像作品への愛が溢れている
冒頭にこれが表示される。
ナホム書というのは、残虐の限りを尽くしたアッシリア帝国に神が裁きを下すことを告げる予言の書である。
つまり、わたしは神である。
映画における神はなんだろうか。それはメガホンを握る監督である。そして、映画におけるあなたは、観客である。
この映画はジョーダン・ピールから、私たち観客への鉄槌ともいえるだろう。
象徴的に描かれる見る・見られるといった関係。その上で作中で酷い目にあっているのは無意識に、何も考えずに見る側にいたホームドラマ「ゴーディ 家に帰る」の人々やジュール含めショーの観客たちだ。(後者はモロすぎて笑える、メタファーですらない)
見せ物にしてんじゃねえよと、牙を向かれれば無力この上ない。私は劇場の座席に縛り付けられた思いだった、見るモノである「映画」から「能天気に見てんじゃねえぞコラ」と睨み付けられたようだった。
見せ物を見せ物とすること。
一方的に消費することを否定する。
物語が進むにつれて様々な描写や表現・セリフで繰り返し否定されていき、私は「それって映像作品そのものに対する否定でもあるんじゃね?」と疑問が浮かんだ。
ただそんな疑問もジョーダン・ピールにぶっ壊される。
スピルバーグの名作の数々や、日本の特撮やアニメなど、多数のオマージュと影響を確認できるのだ。しかもオタクといえるレベルじゃなくてもわかるほどハッキリとしたオマージュだ。大好きな映像作品のアレをやろう!といったワクワクを非常に感じた。
めっちゃ映像作品、好きなんだよね~(映画監督してるんだから当たり前だけどね)といった、少年のような純粋なLOVEと途方もないリスペクトを感じた。
だからクライマックスのGジャンとの対決では、色々と考えていたこともすっ飛んでいた。映像ももちろん、音楽が最高でめちゃくちゃ胸が熱くなった、なんなら泣きそうになった。
時間の経過とともに今日の熱量は損なわれていくだろうが、今日の感動と衝撃を忘れることはないだろう。
私は一方的に見て忘れる、消費しない。
…はず!!
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