年始雑感
我を呼び
我をはぐくみ
風のように
去っていった
善智識 二人あり
お正月になるといつも亡き両親のことを思い出します。私がこうして生きて新しい年を迎えることができたということは、多くの命に生かされ、その犠牲の上にこの命が成り立っているということの証明でもあります。
父と母は私に人間としての命を授け、その命を大切に育み、最期に自らの命を使って、死を私に見せてくれました。人間にとって最も重大な問いを私に残して。
生きているということは本当に不思議なことです。この命に於いて、何ひとつ当たり前なことなどないはずなのに、私はそのことをいつも忘れ、まるで自分の力で自分の命を、人生を、生きているような気になっています。本当に恥ずかしいことです。
両親はこの娑婆世界に於いて肉体こそ失くしたものの、今でも私に問いかけ、語りかけています。私はその対話を通して、二人こそ声なき声で私を導く善智識であったのだと、ようやく知らされるのでした。
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