彼岸花を探して
あれ程暑かった夏は過ぎ去り、漸く秋がやって来た。絶好の散歩日和である。しかし一眼は重いし嵩張るので持ち歩きたくはない。それで、コンデジが登板することになった。
さて、このカメラを触るうちに、あることに気が付いた。それは、モノクロでのスナップに大変に向いたカメラである、ということだ。
このカメラの発売は12年前。Wi-Fiもなければ手振れ補正もなく、最新のカメラと比べれば見劣りする。しかし、「入門機」として徹底的に洗練されたカメラであることは間違いない。
さて、前置きが長くなったが、早速外へ繰り出そう。電車を撮るのもよいが、偶には自然物も撮りたい。今日の狙いは彼岸花にする事にした。
どうだろうか。12年の歳月を経たカメラとは思えぬほどくっきりと、明快に描写されているだろう。色味について少し思うところもなくはないが、モノクロームの世界に入ればそれも無問題である。
あまり綺麗にボケるようなレンズではないが。それでも彼岸花が強調されている。正直私自身も、所詮10年以上前のコンデジだろうと舐めていた節があったが、それはこの画で完全に払拭された。
こう、倉庫やら空き缶やら蔦やらで雑多な雰囲気もモノクロームの描写に合う。街角で撮ったらまた面白いかもしれない。
鮮明な描写が良い、とただ感服するばかりである。モノクロームでの撮影というのは「photography」即ち「光で描くこと」を突き詰めた形態なのだろうな、と思わせられる。
モノクロとは「photography」を突き詰めた形態であると前述したが、それを痛感したのがこの一枚である。キリリと引き締まった描写が鉄塔の複雑な造形とマッチしていると思う。
特段言うことはないが、まあ、少し暗すぎたかな、とは思う。
さて、結論としては、12年前の入門機でも、まだ充分に遊べると言うことである。お高い一眼を使うのも良いが、たまには初心に戻ってコンデジで遊んでも楽しいかもしれない。
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