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~2000字前後の短編・掌編です。
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#人魚姫

人魚姫は電子のナイフで誰を刺すか

 しろい波がわたしの足元をすくっていく。海の向こうから流されてきたさまざまなものは、この浜辺に長らくひとりきりの、わたしの退屈を埋める泡になってくれる。  それはだれかが捨てた缶だったり、解消されてしまった婚約指輪だったり、ひとの眼には視えないくらげの赤ちゃんだったり、魚の死骸だったり……いや。  魚は、よくみると、まだ口をぱくぱくさせていた。生きているのだ、この電子の海の墓場のなかで。  わたしがぐっと念じれば、このなにもない小島にだって、いくらでも草を生やすことができ