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フリースクールで働きたい若者にオススメしたい一冊

フリースクール職員に向けたオススメ本企画が見つからない


どうも、こんにちは。得津です。

卒業シーズンになると、いろんなSNSで『新社会人におすすめの本』とか『入社前に読んでおきたい○冊』というような投稿が多く見られますね。

企業の企画もあれば、個人で選ばれたものもあります。この手の投稿があまりに多いものですから、私にはだんだん飽きがきてしまい、今では桜の開花宣言と同じような感覚で見ています。

ただ、ふと思ったんですよ。そういえばこの手の企画で不登校支援やフリースクールに関するものが無いなと。

私は、フリースクールの経営などの不登校支援をしているNPO法人で勤めていますが、そんな自分でも『フリースクール職員が読んでおきたいオススメ本』みたいな企画を聞いたことがないんですよね。

ちなみに教育系だと、ダントツで先生向けの投稿や記事が多いです。特に、初任者に向けて本をおすすめする企画が多いですね。気になって調べてみたら塾講師に向けた企画もありました。

先生や塾講師に向けた企画はあるのに、フリースクール職員に向けたオススメ本企画がないのは、仕方ないことでもあります。

まだまだフリースクールや不登校支援に関する仕事は業界として育っているとは言い難いのが実際です。求人は少ないですし、そもそも個人単位で経営されているところや、有志の持ち出しで活動されているところがほとんどです。

そんな現状ですから、『春からフリースクールで働くあなたにオススメしたい○冊の本』なんて企画が通らないのもよくわかります。会社からしたら記事の閲覧数が稼げないですから。

しかしながら、フリースクールに勤めるものとしては、他の業種と同じように企画が立ち上がらないのは寂しい気持ちになります。

春からフリースクールで働く人はごくわずかかもしれないけれど、いずれフリースクールや不登校支援に携わりたい若者は、結構いるだろうという希望的予測のもと、そんな若者たちに向けて勝手ながら一冊オススメさせていただきたい。

これが、この記事の主旨です。無いなら作ってしまおうの気持ちで書きました。では、早速オススメさせていただきます。


私のオススメは『「コミュ障」の社会学』(貴戸理恵 著)


私が選んだ本は『「コミュ障」の社会学』(貴戸理恵 著)です。


「コミュ障」と書かれていますが、不登校に関する書籍です。個人的には1980年代に起こった不登校運動が現在に至るまでどのように移り変わっていったのかを概説しているところが非常に勉強になりました。

この不登校運動の変遷については、不登校に関する仕事をしたいと考えている若い皆様には、ぜひとも読んでほしい部分です。

と言いますのも、若く熱意のある皆様には経験だけで勝負してほしくないからです。


経験は良くも悪くも武器の1つでしかない


学生時代の経験が社会人になって生かされることはままあります。

例えば、長期インターンで何かしらのプロダクトを作った方はそのままその会社に就職してプロダクト制作の続きをするかもしれません。

取引先の担当者が自分と同じ部活をされていて、部活の話で一気に距離が近づくことだってあるでしょう。

学生時代に経験したことは、働き出してから思わぬ形で役立つことはよくあります。私も、学生時代の経験を軽んじている訳ではありません。

しかし、それだけでは社会人として働く上では弱いと私は考えています。

不登校シーンですと、過去に不登校の経験のある方や、友人が不登校を経験された方が、その経験を背景にこの界隈で働きたいと思うことが想定されます。

別にそれ自体は悪いことではありません。私が言いたいのはその経験が強みになるかというと、話はそう単純ではないということです。

ご自身の経験も使える武器の一つではありますが、一つでしかありません。使い所を間違えるとこちらが怪我をしてしまいます。銃を構えている相手を前に、ボクシンググローブはつけないでしょう。


経験を昇華させるために


武器を増やす。つまり職員としてのスキルを高めるためには、自分の経験をカッコに入れて、客観的に眺めることができる想像的な視座を持つことが必要だと私は考えます。

自分がこれまで感じた気持ちはどのようにして起こったのか。環境的な要因はあったのか。似たような立場の人が、自分と違う気持ちを感じ、違う行動をしているのはどうしてなのか。自分が、これからチャレンジしたいことはどのような状況の、どのような人のためになるのか。あるいはならないのか。

不登校支援に限らず、どの業界でもこのようなことを考える必要が出てくるでしょう。これらはなかなかタフな問いで、一朝一夕では答えが出ない場合がほとんどです。粘り強くこのような問いと向き合っていくには、自分の経験をカッコに入れる。これは、私がこれまでの生きてきた中で教わったことの1つです。

自分の経験をカッコに入れて、客観的に眺めることができれば、自ずとスキルや資質も伸びていくことでしょう。

私が紹介した『「コミュ障」の社会学』(貴戸理恵 著)は、そのお手伝いをしてくれる本です。全て読んでほしいとは言いません。手にとって、目次を見て、気になる章を数ページめくるだけでも構いません。


安易にスキル系の本は選べなかった


不登校経験談や、何かのスキルを解説したビジネス書を選ぼうかとも悩みました。きっとその方がわかりやすくキャッチーでしょう。最初に例に挙げた『新社会人におすすめの本』などの企画モノはスキルに関する本が多かったです。

けれど、私はそのような企画に合わせることはできませんでした。もしかしたら不登校やフリースクール界隈で働きたいと願う若者に本をオススメする企画は、この記事が最初かもしれない。なんなら、誰も後に続かず、唯一の記事になってしまうかもしれない。(そうなってほしくないけど)

だったら生半可なことはできません。「これだ!」と心から思える一冊を、勝手ながら薦めさせていただきました。なんからの形で、この本が皆様のお役に立てば幸いです。


おまけ(フリースクールや不登校支援をされている方々にちょっと聞いてほしいお話)


この記事は、フリースクールで働きたい若者を想定して書きました。でも、中には、フリースクールや不登校支援を業とされている方々もお読みいただいてるかもしれません。

もしそのような方がお読みいただいていたら、よければあなたのオススメの一冊も教えていただけないでしょうか。

「フリースクールで働きたい若者にオススメしたい一冊」
「不登校支援を始める前に読んでおきたい○冊の本」
「これはガチ。フリースクール職員が読むべき本」

などなど、タイトルはなんでも構いません。この記事を引用されなくても構いません。出版社に持ち込んでweb企画にしてもらっても構いません。

とにかく、フリースクールで働きたい若者や、不登校支援がしたい若者に向けて、オススメ本という形でメッセージを届けてほしいのです。

そうすることで、熱意のある若者が増えていくと思うんです。フリースクールの職員はどのような人に加わってほしいと思っているのか。不登校支援に必要なスキルとは何なのか。これらの情報は、全然ネットにも上がってないし、手探りで見つけていくものでしたが、オススメ本の投稿が増えれば、これまで分からなかったニーズも可視化され、不登校支援の裾野も広がっていくでしょう。

もちろん一個人の極めて勝手なお願いですから、このままスルーしていただいても構いませんが、気が向いた時にでも。少なくとも私は読みたいです。鍵垢SNSじゃない限りは、なんとか検索して見つけます。あなたの記事の読者になりたいのです。

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