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永遠の0 | 百田尚樹さんの名著 | 過酷で清冽な愛の物語

まいど!ひでやです!
お役立ちネタを配信している大阪のYouTuberです(^^)/

8月になりましたねー。
8月15日は終戦記念日です。今年で終戦75周年ですね。

毎年この時期になるとテレビや映画でも戦争を取り扱う作品が数多く放送されます。

ひでやのチャンネルでも今回は百田尚樹さんの著書、「永遠の0」を紹介したいと思います!

こちらの作品はすでに岡田准一さん主演で映画化、向井理さん主演でテレビドラマ化、漫画化もされていて、もはや知らない人はいないであろう有名作品です。

2006年に刊行された百田尚樹さんのデビュー作。
2009年に文庫本化されてからも、息長く売れ続け、2013年5月6日付オリコン“本”ランキング文庫部門では発売から3年9ヵ月で初の首位を獲得しています。

僕自身も昔、その内容の面白さに一気に読んで、戦争によって失われた当時の若者達の命、平和な日常のありがたさについて深く考える良いきっかけになった一冊です。

しかし、とにかく長い!
読み始めると内容の濃さで一気に読めちゃいそうですが、いざ分厚い本を目にすると少々気後れしてしまう方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は内容をできるだけ余す事なくお伝えし、尚且つコンパクトに要約したので、ぜひ動画に最後まで見て頂けたら嬉しいです!

それでは早速参りましょう!

このお話は、零戦に乗って散っていった宮部久蔵という人物が主人公です。
物語は現代の描写からスタートし、血のつながった孫にあたる佐伯健太郎が、フリーライターをしている姉の慶子とともに、実の祖父・宮部久蔵の経歴調べに協力。旧海軍関係者を調べ歩く内に彼らの壮絶な過去を知ることになるんです。

実の祖父という風に言いましたが、
これは祖母の松乃がが夫である宮部久蔵を失った後に再婚をしているからです。
現在の祖父、賢一郎とは血が繋がっていません。

再婚前に宮部久蔵との間に授かっていたのでが、清子という女の子で、
この清子が健太郎、慶子の母にあたるわけです。

永遠のゼロ相関図2

終戦間際に特攻で戦死した海軍航空兵であった実の祖父宮部久蔵。
その当時の関係者9人を訪ね歩くことなるのです。

宮部久蔵に関わった人は彼に対し、様々な評価を口にします。

人物解説

佐伯 慶子~駆け出しフリーライター。
新聞社の終戦記念プロジェクトで戦死した実の祖父について調査する。

佐伯 健太郎~司法試験浪人4年目。
姉・慶子から、バイト料をエサに実の祖父・宮部久蔵の経歴調べに協力。旧海軍関係者を調べ歩く内に彼らの壮絶な過去を知ることになる。

佐伯 清子~健太郎、慶子の母。
実の父の事を何も知らないと言い出し、久蔵の調査のきっかけを作る。

大石 賢一郎~特攻隊員→国鉄職員→弁護士
健太郎と慶子の義理の祖父。2人の実の祖父・久蔵の特攻兵部下

大石 松乃~健太郎と慶子の祖母(故人)。久蔵の戦死後、賢一郎と再婚。

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宮部 久蔵~健太郎と慶子の実の祖父で、清子の父親。特攻により死亡26歳。
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長谷川(石岡)梅男~元海軍少尉→小さな農家。
久蔵を「海軍一の臆病者」と語る。左腕を失っている。

伊藤 寛次~元海軍中尉→物産会社会長・地元の名士。
第一航空戦隊“赤城”時代の戦友。
久蔵の考え方を肯定はしない…その空戦技術を高く評価している。

井崎 源次郎~元海軍飛行兵曹長→末期がんで入院中。
ラバウル航空隊時代の久蔵の部下。
マリアナ沖海戦で機が被弾。体当たりを決意するも久蔵の言葉を思い出し不時着を決意。
グアム島に泳ぎ着いて生き延びた。

永井 清孝~元海軍整備兵→郵便局員→農家
ラバウル航空隊整備兵として久蔵らの機体を整備。
久蔵について臆病なところは嫌いだが、人間性を好いていたと語る。

谷川 正夫~元海軍中尉→ビルオーナー→高級老人ホーム。
日中戦争からの歴戦搭乗員。昭和19年マリアナ沖海戦の時に宮部と再会する同期。

岡部 昌男~元海軍少尉→教育委員会→元千葉県議員
飛行科予備学校の生徒として宮部に習っていた。人間爆弾桜花の元搭乗員。 

武田 貴則~元特攻要員→元一部上場企業社長
新聞社員、高山が「特攻はテロリスト」との発言に激怒し追い出す。

景浦 介山(かげうら かいざん)~元海軍上等飛行兵曹→元ヤクザ
ラバウルからの搭乗員。宮部を恨んでいたが戦後、宮部の妻・松乃がヤクザ組長に囚われた時に助け出したであろう人物。 

大西(村田)保彦~元海軍一等兵曹→旅館経営
電信兵。戦後故郷へ戻らず温泉旅館の娘と結婚し、婿として跡を継ぐ。 

藤木 秀一~祖父・賢一郎の弁護士事務所でアルバイトをしていた元司法受験生。
実家の父親が病に倒れ、受験をあきらめ家業を継ぐために帰郷する。

高山 隆二~バツイチ新聞記者。
戦後60年を振り返る特集を企画で武田貴則との会談にも同席。持論を展開し武田に激高され退席。慶子にプロポーズをする

第二章

物語の第二章。ここから関係者への接見が描かれます。
最初の関係者、長谷川梅男は左腕を隻腕(せきわん)した痩せた老人。

確証はないが久蔵が戦場で逃げ回る「海軍一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男だった」と姉弟に蔑みの言葉をぶつけてきます。

久蔵の零戦はいつも無傷で帰ってきて、古参搭乗員は「あいつは逃げるのが上手いからなぁ」と言った。しかも度を越した見張りをかかさない男で、まわりも呆れるほど。
「よほどの怖がり」と陰口を叩く奴も何人もいて、直接は聞いていないが奴の「名言」、「生きて帰りたい」が噂になっていた。しかも落下傘で降下中の丸腰の米兵を撃ち殺す卑怯者だ、と言うのです。

長谷川自身は戦闘で腕を失い惨めな人生を送るハメになり、久蔵は2年後に特攻で死んだが、特攻には命令でイヤイヤ行ったのだろうと話すのです。

第三章

先の長谷川の話で調査に嫌気がさした健太郎は現在の祖父・賢一郎に「ぼくにガッツがないのも、久蔵じいさんの血が入っているかもしれないね」というと「馬鹿なことをっ!」と叱責されます。

母は祖父が健太郎と同じ26歳だったと言い、父・久蔵がどんな青年だったのか知りたいと改めて子供たちに調査を頼みます。

そして気は進まないまま会いに行った2人目の関係者。
伊藤寛治は“赤城”時代の戦友で“臆病者”との評価に疑問を感じつつ
「久蔵は勇敢ではなかったが…優秀なパイロット」と人柄・技術共に高く評価します。

下の階級にも丁寧な口調と態度なので、軽るんじられたが操縦も戦闘力も一流。

「真珠湾攻撃に参加するなら結婚しなかった」と言っており、恋愛か見合いか聞いていないがどちらにも取れる言葉だった。

また自爆した兵士の姿を見て
「…妻のために死にたくないのです。自分にとって、命は何よりも大事です」と言います。
気色悪く思った伊藤が非難すると「私は帝国軍人の恥さらしですね」と苦笑したという。

「あの頃、私たち搭乗員たちは非日常の世界…死と隣り合わせの世界…死を恐れる感覚では生きていけない世界を生きていました。それなのに彼だけ日常の世界を生きていた…」と伊藤は久蔵を不思議がっていました。

健太郎が「祖父は祖母を愛していると言ったのか?」聞くと
「愛している、とは言いません…彼は、妻のために死にたくない、と言ったのです」
「それは私たちの世代では、愛しているという言葉と同じでしょう」と教えてくれます。

第四章・第五章

慶子は先ほどの2人目の証言者の伊藤寛次の証言を喜びます。

一方、健太郎は新聞記者で慶子の恋人のバツイチ新聞記者の高山の「特攻隊員は自爆テロと同じ」という言葉に納得できないでいました。

そもそも祖父はなぜ海軍に入隊したのか?疑問が生まれます。

慶子は本当は、未だに昔好きだった藤木に未練が残っているが、健太郎には高山との結婚を打算的な意味でも視野に入れていると話します。

そんな中3人目の関係者、癌で余命わずかの伊崎源次郎の病床を訪れ、「自分が生きているのは宮部さんのおかげ」と聞くのです。

久蔵は背の高い上官で丁寧な言葉使いや態度から育ちが良いのか、馬鹿のどちらかだと思った。

出撃時、久蔵がきょろきょろし落ち着かない様子を臆病者か恐ろしく慎重なタチと思ったが、直後に奇襲を撃退し命を救われた。

だがその後の乱戦では積極的な感じを受けず、それでもまたしても敵機から久蔵に命を救われ「敵を落とすより、落とされない方がずっと大事だ」「生き延びる努力をしろ」と教わったといいます。

夜半に一人体の鍛錬をしている久蔵を見つけ、日頃見たことのないような恐ろしい顔で「娘に会うまで、何としても死ねない」と言われ、生き残る事がいかに大切なことであるかを教えられたと言います。

そして伊崎は久蔵の「(家族のために)どんなに苦しくても生き延びる努力をしろ」
との言葉を思い出し、グアムで撃墜された後、泳いで逃げ切り助かった。

また久蔵から「自分の祖父が官軍と戦った話を聞いたように、俺も孫に戦争の事を語る日が来るのかな」と聞き、死を覚悟してるハズの自分が「平和な国になっていたらいいですね」と言って驚いたと言います。

そこで伊崎は久蔵とは別れ、のちに特攻で亡くなったと聞き、あの素晴らしい人を特攻で殺すような国なんか滅んでしまえと本気で思ったと語り、余命3ヶ月のはずが「今日まで生きてきたのは、宮部さんに代わってこの話をするためだった」と眠りにつきます。

健太郎はこの伊崎の言葉が胸に刺さります。
 

第六章

永井 清孝~元海軍整備兵

4人目の関係者、永井清孝は久蔵を「ちょっと変わっていた」と言い、勇ましくもなく品の良いサラリーマンみたいで「臆病者」と噂されていた、整備に対しても神経質だったが「永井さんが整備してくれると安心です」と言われ人間としては好きだったと言います。

久蔵は子供の頃、碁を習っていて専門棋士になりたかったが父が相場に手を出し、失敗して自殺しやむなく中学中退し、母も病で死に天涯孤独になったので海軍を志願したといいます。

相場
市場における価格変動によって生じる差額で利益を得ようとする投機的取引です。この取引で失敗して、借金を作り自殺してしまったわけです。

永井は終戦後2度、妻や息子との何気ない幸せを感じた時に久蔵や亡くなった大勢の男たちを思い涙が止まらなくなったそうです。

ただ、何より命を大切にする久蔵がなぜ特攻に志願したのか?不思議だと言います。

第七章

5人目の関係者、谷川正夫は久蔵を「非常に勇敢な恐れを知らない戦闘機乗り」で、
久蔵の「想う人はいないのか」の一言で人生が変わったと言います。
思い出した幼なじみとわずか7日の帰省時に結婚するのです。

軍に戻る頃、「神風(しんぷう)特別攻撃隊」が始まり、自分も他の隊員も死の意味を考え心を静めて出撃していた。

だが久蔵だけは上官から半ば強制的な「特攻志願」の呼びかけに「命が惜しい」と断り
この谷川に「特攻を命じられたら、どこでもいい、島に不時着しろ…おまえが死んだところで戦局は変わらない。しかしお前の妻の人生は大きく変わる」と言われたそうです。

結果的に特攻に出ないまま終戦をむかえた谷川が国に帰ると、戦犯扱いされてしまいますが、妻と苦労を重ね、財を築くことが出来たそうです。

だが腕のいい久蔵がなぜ不時着しなかったのか?疑問だと言います。

健太郎と慶子は当時戦況が悪化し、多くの一般兵士が犠牲になった事は軍上層部に非があると推測し、祖父の無念を思います。

第八章

6人目の関係者、岡部昌男は久蔵に飛行科予備学生で教わり「宮部さんは素晴らしい教官でした」
厳しい戦場の帰還者ほど戦場体験は語らない死線を超えた凄みがあった、と言います。

またなかなか合格点をつけない評判の悪い教官で、飛行訓練のみの教官にさせられた時久蔵に
「今戦場に行けば、確実に追撃されます…皆さんは搭乗員などになるような人たちではない…もっと優れた立派な仕事をするべき人たち…皆さんに死んで欲しくありません」と言われたのに、同調圧力で特攻隊志願をしたといい、岡部の親友の高橋は久蔵を尊敬すると言い「俺たちは弱虫だな」と言い特攻で飛び立った。

出撃前に終戦を迎えたが久蔵の言葉が戦後の心の支えになったといいます。

慶子の「特攻に際して、どのように自分の死を納得させたのか?」の問いに
岡部は「たとえ自分が死んでも、祖国と家族を守れるなら、その死は無意味ではない、そう信じて戦ったのです。…そう思うことが出来なければ、どうして特攻で死ねますか」と投げかけます。

第九章

7人目の関係者武田貴則は一部上場企業の社長を務めた人物。
約束のホテルに慶子が恋人でバツイチ新聞記者の高山を連れてきてしまい、武田は高山の「特攻はテロで遺書を読めばわかる」の言葉に激昂。

高山も、武田に「あの戦争を引き起こしたのは新聞社だ」「口舌の徒(こうぜつのと)」と言われ、憤怒し帰ります。

武田は久蔵は「素晴らしい教官で多くの予備学生から慕われていた」と言います。

訓練生には「この戦争が終われば皆さんは必ず必要になる人たちです」
「零戦は機種としてもはや劣っている」と話していた。

また訓練中の事故死した学生の名誉を守るため上官に殴られながら歯向かう久蔵に
訓練生はみな心から尊敬し、敵機の奇襲から久蔵をひとりの訓練生が守ったことがあった。
武田は久蔵こそ「日本に必要な人だと」思う気持があり、九州に向かう久蔵は「わたくしは絶対に死にません」と凄まじい生への執着を見たといいます。

だから「久蔵を殺したのは海軍かもしれない」と言います。

第十章

8人目の関係者、景浦介山は「奴は死ぬ運命だった」と言います。

久蔵を心底嫌いな理由は、他は命がけで戦う中、久蔵だけは女房と子供の写真を後生大事に持ち「生きて帰りたい」と思っているのが誰の目にも明らかだったから。

天涯孤独の景浦には、家族の事を考えつつしかも空戦の腕は凄腕なのが許せなかった。

景浦は宮本武蔵の「剣禅一如」(けんぜんいちにょ)とマフラーに書いていたのですが、

剣禅一如 (けんぜんいちにょ)
剣の道の究極の境地は禅に通じる無双無念と同一であるみたいな意味なのですが、心の修行が大切ですって意味で、もっとカンタンに言うとものすごく一生懸命頑張るみたいなことです。

その剣禅一如を見てなのか、宮部久蔵は「武蔵は生涯に何度が逃げている。それに勝てない相手とは決して戦わなかった。それこそ剣の極意じゃないか」と言われて、ブチ切れて模擬空戦を久蔵に挑みます。

景浦は後にヤクザになるのですが、この時点でもやはり勢いがあって、
言ってみれば、教師がムカつくからタイマンを挑むヤンキー生徒のような構図です。

飛曹長である宮部は模擬空戦を断り続けますが、景浦は強引に模擬空戦をしかけます。

景浦と久蔵は旋回の応酬をするのですが、水平飛行になった時に景浦が久蔵のゼロ戦の後ろにつき、そして目の前で久蔵が宙返りをするんですね。
宙返りしたあと真後ろを取れば、照準器の中に久蔵のゼロ戦をとらえられる。

勝った!と景浦は思います。

しかし、宙返り中に目の前で信じられない事が起きるのです。
久蔵のゼロ戦が魔法のように視界から消えたんです。
そして、後ろを見ると、久蔵のゼロ戦がピッタリついています。

何が起こったのかを知るのは後になるのですが、
これが日本海軍の戦闘機乗りの秘術と言われる左捻りこみという技だそうで、宙返りの頂点で左に捻るように旋回して、敵機の後ろにつく技で、模擬空戦で一度だけ見た事があるという教官がいたという、神業なんですね。

格段に技術の差を見せつけられ、久蔵に完敗、景浦は卑怯にも背後から久蔵を撃つも当たらず、反撃もされず、羞恥心から自爆しようとした事さえも止められます。

しかも切腹しようとすると久蔵は恐ろしい形相で「無駄死にするな」と言い、俺の命は奴に握られたと思って腹を切るのをやめた。

だが久蔵を打ち落とせなかった事、これまで米軍に撃ち落されなかった事も久蔵が実は誰もできない阿修羅のような技を持っていたからと気づき、景浦も「試された」事を知った。

そこから久蔵をいつか打ち落とすまで死なない、無理なら久蔵より長く生き戦死の知らせを聞いた時こそ俺の勝ちと決めた。

だが鹿屋で1年半ぶりに会った久蔵は人相が変わり、しかも古い機で特攻に出る久蔵の直掩として参加することになった。久蔵を絶対に援護したかったが景浦の機体は故障でおいて行かれ最後の瞬間は見ていない。

直掩(ちょくえん)
直接掩護の略。特に航空機が友軍機をじかに掩護すること。

だた「奴の目は死を覚悟した目じゃなかった」1週間後戦争が終わり、久蔵の事で誰よりも泣いた。

戦後、ヤクザになったのは狂った世の中、力のある者がのさばる世の中に復讐したいと思ったからだ。と言い久蔵の事は忘れたと言いつつ祖母が幸せな人生だったかを聞きます。

健太郎が「そう思う」と言うと景浦の表情が一瞬緩んだように見え、帰ってくれと怒鳴るように言ったすぐあと景浦は健太郎を抱きしめ、言い訳をしつつ若い用心棒に見送るように言うのです。

第十一章

2人は景浦は久蔵に憧れていたであろうと話し、最後に久蔵が飛び立った鹿屋基地(かのやきち)の通信員だった大西保彦に会いに行きます。

9人目の関係者、大西保彦は久蔵は、真珠湾以来の歴戦の搭乗員で一目置かれる存在だが、状況をよく聞きに来て気軽に声もかけてくれる人だった。

最も悲惨な特攻・神雷部隊の直掩で1人帰還した久蔵が一升瓶をかかえ飲みながら「ほぼ無駄死にしかない」と泣き「一機も守れず教え子が敬礼しながら墜ちて行った」「俺の命は彼らの犠牲の上にある」とそこから心が苛まれた様子だったと、語ります。

広島と長崎に原爆が落とされ敗戦の絶望感の中、機種もロクにメンテナンスもできず引き返す機が多くなっていた中、久蔵に出撃命令が出た。

大西は久蔵に別れの挨拶に行った時、奇妙だが久蔵は一人の予備士官の乗る二一型に変えろ「自分の腕は一流だ」と言うので耳を疑ったとそうです。その交換した学生の五二型はエンジントラブルで不時着して助かり、それは本来久蔵のはずだった。

慶子は悲鳴のような声を上げ、健太郎は呆然と祖父が自ら死を選んだのかとショックを受けます。その学生の名は現在の義理の祖父・大石賢一郎だったのです。

第十二章

最後の関係者、祖父・大石賢一郎は、久蔵の学生への姿勢に心から尊敬し、敵機に狙われた久蔵の危機を救った訓練生であった。

その為入院した賢一郎にお礼に松乃が手直しした外套をくれた久蔵。

退院後いよいよ特攻命令が自分に下り、なんと久蔵も参戦するという。

しかも久蔵から賢一郎が乗る飛行機を変えてくれと言われ交換したが、出撃後1時間立たず機体トラブルで離脱する事になり、奇跡的に喜界島に着陸でき1週間後にそのまま玉音放送(ぎょくおんほうそう)で終戦を迎えた。

操縦席には久蔵から「もし運よく生き残ったら、私の家族が路頭に迷い、苦しんでいたなら、助けて欲しい」とメモがあり、久蔵は生き残りのクジを大石に渡したのだと気づくのです。

戦後松乃をみつけ、援助をしつつ久蔵が賢一郎の身代わりになり「自分が死ねばよかった」と話したが、その後も松乃の元に通い続けます。

久蔵の命日の墓参り。
松乃が久蔵が最後に「たとえ死んでもぼくは戻ってくる、生まれ変わってでも、必ず君の元に戻ってくる」と言い、久蔵の外套(がいとう)を着た賢一郎を見て約束を守ったのだと思ったといいます。

そして2人は結婚します。

のちに松乃は戦後、賢一郎に出会う前、ヤクザに囲われていた時期にその組長を殺した若い男が松乃に財布をよこし「生きろ」と言われたことを語ります。

健太郎はそれは景浦だと思い涙があふれます。

この松乃さんは冒頭の現代のシーンで亡くなっているのですが、賢一郎は彼女の死の間際に久蔵の姿を見たと言い、幸せな一生だったと言いました。

 「一番の夢は?」と訊かれた宮部久蔵は、「生きて家族の元に帰ることです。」と答え、海軍航空隊の戦闘機搭乗員として"臆病者"のレッテルを貼られます。"死ぬことを最も恐れていた宮部久蔵"。

でも、本当は違っていたんです。
宮部久蔵は、愛する妻と生まれたばかりの娘のところへ何としてでも帰ろうとしていたのです。

動画解説版はコチラ

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和田 英也
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