ありがとうじゃあ足りない。
ごつごつした職人の手だった。
肌は真っ黒で
親指はひん曲がっていた。
まさしく もの を作ってきた
ばあちゃんとおんなじ 手 だった。
見覚えのある、やさしい、僕の好きな手。
月曜日がたまたま代休だったので、
あおきえん 全員で、福井のおばあちゃんのところへ向かった。
嫁さんの父方のとおーい親せき、おばあちゃん
「送ってもらえばイイじゃんっ」
社長にも嫁さんにも言われたけど、
どうしても首を縦に振ることはできなかった。
ありがとう だけでは足りなかったから。
会って、話して、空気を感じて、
ほんとの ありがとう を伝えたかったから。
おばあちゃんは昭和4年生まれ
おじいちゃんを15年ほど前に亡くし、
一人で家、畑を守ってきた。
5年後に長男さんが定年を機に実家へ戻り、
今は3人で暮らしている。
92歳になった今でも、
毎日 畑まで歩いて行き、自ら 野菜を作っている。
空いた時間で趣味の かご づくりをしている。
かごは元々じいちゃんが作っていて、
じいちゃんの作り方が気に入らなく
自分で今の編み方を考えたみたい(笑)
さすが。 どこの女の人も強いな(笑)
でもこの編み方が丈夫で、
重いものを入れてもびくともしない。
せっかくだから
おばあちゃんに作り方を教えてもらおうって
思ったらとんでもなかった。
「 ここは持っとらなあかんのー 」
「 ここはへっぱらなあかんのー 」
「 ここはへっぱったらあかんでー 」
「 ここはへっぱるー 」
わかるか(笑)
長男の嫁さんである、おばちゃんも、
「 でしょー、わたしがやらんのわかるでしょー 」
はい。
きいちゃんは、何度も何度も教えてもらっていた。
まるで、母娘のようだった。
「 来て良かったな。 」
いろんなハウツーがあるけど
YouTube で検索しても載っていない、
あったかい光景だった。
こうやって、受け継がれていくんだ。
「もう、つくらんでええの~?」
「ぼけたら終わりだでの~」
嬉しそうに教えてくれた。
おばちゃんからも、
「あんなに笑ったのひっさしぶりだわ〜
ありがとね」
いやいやこっちですよ。
おばあちゃん、大丈夫
また来年もお願いします。
おばあちゃんの想い、必ずみなさんに届けます。
きゃらをさん企画参加させていただきました。