姿勢と柔軟性の関係性について
こんにちは。渋谷、大宮、岐阜にてパーソナルジムSharezを運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。
このnoteでは、パーソナルトレーニングに関する情報や、フィットネス業界に関する情報など幅広く発信しています。
今回は、姿勢と柔軟性はどれくらい関連性があるのか?といったテーマについてまとめていきます。
もしかしたら、「柔らかい人の方が姿勢が良いのでは?」であったり、「固い人は姿勢が悪い」などのイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。
「姿勢と柔軟性」について言及している研究や論文についてまとめていきます。それを踏まえて、姿勢と柔軟性の関連性について自分なりの考えをまとめていきたいと思います。
1.姿勢と柔軟性に関する論文、研究
では、僕が調べた関連性の高そうな論文等を紹介し、それぞれ自分なりに簡潔にまとめていきます。
■健常者における身体柔軟性と直立姿勢保持能力 に関する研究
谷内幸喜
保健医療学雑誌4(2):26-34,2013.受付日2012年6月19日.受理日2013年6月 28日
https://www.s-ahs.org/jahs/JAHS%20vol4%282%29005p41-49.pdf
要約:
こちらは、30名(男性20名、女性10名、年齢は21-35歳)を対象としたもので、直立姿勢における重心動揺を足圧中心(center of foot pressure = COP)の移動の測定から算出し、長座体前屈、立位体前屈の結果との相関性を調べたものです。
結果は、身体柔軟性の高い人ほど少ない重心動揺で直立姿勢を保持しており,バランス能力評価において身体柔軟性の有効性が示唆された、とあります。
また、「立位体前屈距離(平均6.8±11.5cm)に比べて、長座体前屈距離の方が高値(平均10.0±11.3cm)を示していたことを考えると、足関節自由度が体前屈角度に与えた影響は少なからずあることは否定できない」という意見もあり、足部柔軟性が姿勢制御能力を高める可能性についても言及しています。
これらを踏まえて、ストレッチが体性感覚にポジティブな影響を及ぼし、バランス能力や直立姿勢保持能力の向上に繋がるのではないかと考察されています。
■立位姿勢における体幹の柔軟性(分節性)を 客観的に評価する解析手法を開発
2022年8月26日東京農工大学、帝京科学大学、杏林大学、獨協医科大学
https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/outline/disclosure/pressrelease/2022/20220826_01.pdf
要約:
身体に加速度センサーを取り付け、開眼時と閉眼時で立位の姿勢制御について調査したところ、胸郭の分節運動、可動性が立位姿勢の安定に寄与していることがわかった。
具体的にどう制御している、などについては今後さらに調査を進めるようです。
■幼児の柔軟性と姿勢および転倒リスクとの関係
宮口 和義、石川県立大学
日本体育学会大会予稿集 68 (0), 205_1-205_1, 2017
要約:
3-5歳の保育園児841名(男児:398名、女児:443名)を対象とし、長座体前屈による柔軟性テストと、保育士の日頃の行動観察に基づく立位時および椅子座位時の姿勢評価、活動中によく転ぶかどうかの判定を実施。
柔軟性に、年齢差は認められなかったが性差が認められ、女児の方が柔軟性に優れていた。姿勢評価については、柔軟性に劣る園児は姿勢が悪いと判定される傾向にあった。転倒リスクについては、女児のみ関係が認められ、柔軟性に劣る園児は転倒しやすいことが示唆された。
■柔軟性テストと脊柱機能の関係性
九藤博弥、嵩下敏文、尾崎純、渡邉純、脇元幸一
Relationship of a tightness test and a spinal function 医療法人社団SEISEN 清泉クリニック整形外科 (411-0904・静岡県駿東郡清水町柿田191-1) Hiroya Kudo PT, Toshifumi Dakeshita PT, Jun Ozaki PT, Jun Watanabe PT, Koichi Wakimoto PT :Seisen clinic orthopedics, Shizuoka, Japan (受付日2013年)
http://www.koko-kara.info/literature/senmonriha_vol.12_kudo.pdf
要約:
健常男性47名(平均年齢22.2±4.5歳、平均身長170.7±5.2㎝、平均体重63.9±7.6㎏)を対象とし、胸椎,腰椎,仙骨の屈曲,伸展角度とアウターユニット(広背筋・大臀筋)の柔軟性を比較検討し,脊柱機能とアウターユニットの関係性を調査したものです。
背臥位上肢完全挙上かつ股関節屈曲位での体幹回旋(Wing test)にて、 広背筋・大殿筋の伸張性を評価し、Index社製のスパイナルマウスを用いて脊柱弯曲角度の計測を行った結果、アウターユニット後斜系(広背筋, 大殿筋)の過剰な筋緊張は、腰椎機能を制限することがわかった。
■垂直眼球運動後の姿勢伸展筋の柔軟性の変化
荒木寛志
原稿受付◎2005年12月30日*日本カイロプラクテイツク徒手医学会・第7回学術大会(平成17年9月)にて-部ポスター発表
https://jsccnet.org/wp/wp-content/uploads/2016/05/7-50-58.pdf
要約:
前屈時で、下肢後面の張り感が出るが腰痛は無い(以後 は「無痛群」とする)24名と、腰痛を訴える(以後は「有痛群」とする)14名を対象とし、垂直眼球運動後における指床間距離(FingerFloorDistance.以後、FFDとする)の変化を調査し、その関連性を考察したものです。
メジャーには5cm間隔に1cm幅の赤線を引いており、視運動性眼球運動では、 その赤線が対象物となる。メジャーを引き伸ばすと、初めにその方向に眼球が動く緩徐相(ゆっくりした目の動き)と、次に来る対象物の赤線を網膜の中心嵩にとらえるための素早く反対側へ戻る急速相の眼球の動き(以後はサッケードとする)が起こります。つまり、視運動性眼球運動において正常な場合は最初に緩徐相が誘発され、次にサッケードが発生する。今回は、サッケードが発生しにくい場合、その眼球の方向をサッケード不良方向とした。
上下それぞれの方向にメジャーを引き伸ばし、視運動性眼球運動を行ったのち、高さ20cmの計測台に乗りFFDを計測した。
結果として、急速相側よりも緩徐相側、そして無痛群よりも有痛群の方が垂直2点運動によりFFDの可動域が上回る結果となった。
2.まとめ
今回、いくつかの姿勢と柔軟性に関する論文を紹介しました。
まとめると、過度な体幹部の筋や背面の筋の緊張は脊柱の可動性や反射に影響を与えるので、バランスや姿勢制御に悪影響を与えることがわかります。
ただし、美姿勢や猫背の改善との関連性は明言できない感じでした。
今回の内容から言えることは、過度な柔軟性の低さは姿勢不良に繋がる可能性があるということです。
一方、必要以上の柔軟性の高さは姿勢の良し悪しとは関連性が低いと考えられます。
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