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春江水暖/グー・シャオガン監督

2021-03-21鑑賞

グー・シャオガン監督(1988年生まれ)の『春江水暖』を見る。今回が初長編作で2年の歳月をかけて撮影されたという。舞台はシャオガン監督の故郷、富陽(フーヤン)。富陽という町は、長江から分岐し流れる富春江(ふしゅんこう)に育まれた山河豊かな景勝地だ。元朝末期の水墨画家、黄公望(こうこうぼう)が79歳で富陽の地に移り住み、山水画の傑作《富春山居図(ふしゅんさんきょず)》を描いたことでも知られている。
http://www.moviola.jp/shunkosuidan/

物語は富陽に暮らす年老いた母と4人の息子をめぐり展開する。中華料理店の店主の長男夫婦とその娘で目下恋愛中のグーシー、漁師を営む次男夫婦と息子のヤンヤン、ダウン症の子カンカンを育てる博打打ちの三男、独身生活を楽しむ四男と、三世代の家族を描いている。中国映画といえば「文化大革命」を告発する時代はすでに過去のこととなり、経済発展の只中、再開発によって変わりゆく町の、現代中国の市井の人々の日常がそこにある。親たちは、それぞれが苦労を背負い懸命に生きてきた世代であり、子を思うが故にまた新しい時代の彼らの考え方に困惑もする。だが全ては大河の流れのように、移ろいゆく時代を抱え込んで豊饒の地へと導く、そんな優しく初々しい映画であった。

ところで映画を見ながら、博打打ちの三男とダウン症の息子カンカンと表情がよく似ているなぁと思っていたのだが、彼らが実際の親子であると知り驚いた。役柄的には決して大きな比重を占めてはいないのだが、カンカンの演技は映画全体に「豊かさ」を与えていた。その他の兄弟夫妻もまたシャオガン監督の親戚なのだと聞いてさらにびっくり。彼ら皆が素人の役者だとは思いもしなかった。シャオガン監督の演出の才能には目を見張るものがある。

映画としては未完のまま、あるいは今後続編が撮られるのかもしれない。いずれにしても楽しみな監督である。

監督:グー・シャオガン  
出演:チエン・ヨウファー | ワン・フォンジュエン | スン・ジャンジエン

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hideonakane
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