活躍できない人材ー10の視点でどんなイメージかを考えてみる
組織で活躍できない人材には、いくつかの共通した特徴が見受けられます。これらの特徴は複合的に現れることが多く、個人のパフォーマンスだけでなく、組織全体の成長をも阻害する可能性があります。現代のビジネス環境は、技術革新やグローバル化の進展により、かつてないほどの速さで変化しています。
このような状況下では、変化に対応し、常に自己成長を続けることが求められますが、残念ながら、一部の人材はこれらの変化に適応できず、組織の中で取り残されてしまうことがあります。
ここでは、典型的な10の視点で検討をしてみます。
1.変化への適応力が低い
新しい環境や状況に対して柔軟に対応することが苦手で、これまでのやり方に固執する傾向がある。急速に変化する社会においては、既存の知識やスキルだけでは通用しなくなることが多く、常に新しいことを学び、自分を変化させていく姿勢が求められます。しかし、変化への適応力が低い人材は、新しい状況に適応することが難しく、結果として、組織内で取り残されてしまう可能性があります。
2.専門性の更新ができない
自身の専門分野に関する知識やスキルを継続的に更新することができず、時代に取り残されてしまう。技術の進歩やビジネス環境の変化により、専門分野の知識やスキルは常に陳腐化するリスクがあります。そのため、自己の専門性を維持・向上させるために、新しい知識を吸収し、スキルを磨き続けることが重要です。しかし、専門性の更新ができない人材は、自身の強みを活かすことができなくなり、組織内での価値が低下してしまう恐れがあります。
3.コミュニケーション能力が乏しい
他者との効果的なコミュニケーションが取れず、自分の考えを明確に伝えたり、相手の意見を正確に理解したりすることが難しい。現代のビジネス環境では、チームワークや協働が不可欠であり、他者とのコミュニケーションを円滑に行うことが求められます。しかし、コミュニケーション能力が乏しい人材は、自分の考えを適切に伝えることができず、また、他者の意見を正しく理解することが難しいため、チームの一員として効果的に機能することが困難になります。
4.自己理解が不足している
自分の強みや弱み、価値観などを客観的に理解できておらず、自己の特性を活かした行動ができない。自分自身を深く理解することは、キャリア形成や個人の成長において非常に重要です。自分の強みを活かし、弱みを補うことで、より効果的に仕事に取り組むことができます。また、自分の価値観を明確にすることで、仕事へのモチベーションを維持することができます。しかし、自己理解が不足している人材は、自分の特性を活かすことができず、仕事へのエンゲージメントが低下してしまう可能性があります。
5.受動的な姿勢が強い
自ら率先して行動することが苦手で、他者からの指示や命令に頼る傾向がある。変化の激しい環境下では、自ら問題を発見し、解決策を考え、実行に移すことが求められます。しかし、受動的な姿勢が強い人材は、自分から行動を起こすことが難しく、常に他者の指示を待つ状態になってしまいます。このような姿勢では、組織の中で主体性を発揮することが難しく、リーダーシップを取ることも困難になります。
6.将来への展望を持てない
先を見据えた計画を立てたり、将来に対して前向きな態度を維持したりすることが難しい。自分のキャリアや組織の未来を考え、長期的な視点を持つことは、個人と組織の両方にとって重要です。将来への展望を持つことで、目標に向かって努力を続けることができ、困難な状況にも耐えることができます。しかし、将来への展望を持てない人材は、目先のことにとらわれ、長期的な成長や発展を考えることが難しくなります。
7.他者の成長に関心がない
同僚やメンバーの育成や成長に対して無関心で、自身の知識やスキルを他者に伝承しようとしない。組織の持続的な成長のためには、メンバー一人ひとりが成長し、組織全体の能力を高めていくことが不可欠です。そのためには、メンバー同士が互いに学び合い、切磋琢磨することが重要です。しかし、他者の成長に関心がない人材は、自分の知識やスキルを他者と共有しようとせず、組織の成長を阻害してしまう可能性があります。
8.状況判断力が弱い
複雑な状況を的確に把握し、適切な判断を下すことが苦手で、対応が後手に回ってしまう。ビジネス環境が複雑化する中で、状況を素早く正確に把握し、適切な判断を下すことが求められます。しかし、状況判断力が弱い人材は、情報を整理し、本質を見抜くことが難しく、的確な判断を下すことができません。その結果、問題への対応が遅れ、組織に悪影響を及ぼす可能性があります。
9.新たなことへのチャレンジ意欲が低い
慣れ親しんだ領域から出ることを避け、新しいことへ挑戦することに消極的である。イノベーションを起こし、組織を成長させるためには、新たな領域に踏み込み、挑戦を続けることが重要です。しかし、新たなことへのチャレンジ意欲が低い人材は、慣れ親しんだ領域に留まることを好み、新しいことに取り組むことを避けます。このような姿勢では、個人の成長も組織の発展も難しくなってしまいます。
10.自己中心的な考え方が強い
他者の立場や意見を尊重することが苦手で、自分の利益や都合を優先しがちである。組織で働く上では、多様な価値観や意見を持つメンバーと協力し合うことが不可欠です。そのためには、他者の立場に立って考え、意見を尊重することが重要です。しかし、自己中心的な考え方が強い人材は、自分の利益や都合を優先し、他者の意見を聞き入れることが難しくなります。このような姿勢では、チームワークを乱し、組織の一体感を損ねてしまう恐れがあります。
総括(適切なリスキリングを行う)
これらの特徴を複数併せ持つ人材は、変化の激しい現代社会において、組織内で活躍することが難しくなる可能性が高いといえます。組織としては、こうした特徴を示す人材に対して、適切なリスキリングの機会を提供し、成長を支援することが重要となります。
具体的には、変化への適応力を高めるための研修プログラムの提供、専門性の更新を支援する仕組みの整備、コミュニケーション能力の向上を図るワークショップの開催、自己理解を深めるためのキャリアカウンセリングの実施、主体性を引き出すためのプロジェクト型の仕事の割り当て、将来を見据えたキャリアプランの作成支援、他者の成長を促すメンター制度の導入、状況判断力を高めるケーススタディの活用、新たなことへのチャレンジを奨励する表彰制度の設置、多様性を尊重する組織文化の醸成など、様々な施策が考えられます(あくまで一例)。
このように、組織と個人が連携し、能力開発に積極的に取り組むことで、変化の時代にあっても、活躍できる人材を育成していくことが可能となるでしょう。
活躍できない人材の特徴を描いたものです。シーンごとに、新技術に苦労する人、専門性を更新できない人、コミュニケーションが苦手な人、自己理解が不足している人、指示を待つ受動的な人、将来の計画がない人、同僚の成長に無関心な人、状況判断が弱い人、新たな挑戦を避ける人、自己中心的な人が描かれています。伝統的なデスクとモダンなコラボレーションスペースが混在する多様なオフィス環境が特徴的です。各シーンが繋がっており、職場の多様な問題点を一目で理解できる構成になっています。