少女漂泊~Monologue by HARUKA ξ
うっちーセンパイのばーか
うっちーセンパイは、あたしがまたがって
口づけしてもまだ熟睡していた。
器が大きいというか、無神経だというか・・。
こういうところが、なんとなく、なんとなくなんだけれどね・・。
バイトの時間がきたら、もう一度キスして起こしちゃおうかとも思った
あたしは起き上がって、彼から離れた。
キスは初めてではない。
男性だけではなく、女の子ともしたことがある。
生徒会長だったころ、下級生の女の子に告られたのだ。
やはりあたしは、恋愛対象は男性だと思うので、
彼女にそっち方面の感情はないと告げたとき
彼女は泣きながら、
「一度でいいからキスしてください。そうしたら諦められます。」
というのでキスをしたことがあったのだ。
そのせいだろうか、キス自体に「恋愛感情」は必ずしも結びつかない。
あたしはドライなんだろうか・・・
そういえばニーチェさんと話したときに、
「物心二元論」という言葉が出ていた
精神と肉体は互いに別物ではないかという話だ。
これは小さいときに、おじいちゃんからも聞いたことがある。
これはこのことなんだろうか。
キスという肉体的行動と、恋愛という精神的な作用は
関連しているようで、実は別物ということかも知れない。
そうなると「処女性」は二元あるということになる。
あたしは案外、割り切ったかたちで、「はだかの心」とは別に、
「はだかの身体」の封印を解くことになるかも知れないと、密かに思った。
と、その時、センパイの携帯が鳴った。
さすがのセンパイも、その音に気づき、起き上がった。
「あ~~、えらいすんません、寝過ごしましたわ・・・あはは。」
電話にそう告げると、こっちを向いてぺろっと舌を出した。
あたしがキスしたこと、やっぱり気づいてないみたいだな。
「はるかちゃん、堪忍な、せっかく美味しい起こし方してもろたのに、
かえって気持ちよくて寝てしまったわ・・・がはは。」
・・・うわ、気づいてた・・・
そう言うと、こっちに近寄ってきた。
あたしは、ちょっと身構えた。どこかで期待したのかも知れない。
「じゃ!バイトいくで!、今度チューのお礼に何かおごったるさかい
ほな!」
といって、いつものようにギューッと兄妹ハグしたあと、
さっさとバイトにいってしまった
単なるいつもの挨拶じゃん・・。
あたしにキスされても
まったく普段通りで、ムードも何もない。
こいつには絶対封印は解かないことにしようっと
・・・・・・・・うっちーセンパイのばーか・・・
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