少女漂泊~Monologue by HARUKA π
はるか未生以前のはるかの存在
「はるか、これはね、ちゃんと
あんたに向き合ってほしいことなの」
いつもあたしには厳しい
叔母の飛鳥おねえちゃんだけど、
今日は何か鬼気迫るものがある・・。
「そしてね、あんたの気持ち次第で、
本当にあんたには済まないけれど、
あたしも救われるんだ。」
「・・え?」
なになに・・・。なんだか結構シビアな展開になってますけど
あたし、なんだか息苦しい・・。
うっちーセンパイは・・。・・・・か。
「なんだかお兄ちゃんっていう感じなんだよ。」
叔母はそれに対して、
ちょっと怖い目であたしを見つめながら言った
「はるか、それは本心なの?」
「うん、そう、だって、センパイはあたしなんか、
いつも妹みたいな子ども扱い。」
「ホントにホントにそうなの?」
「うん。こないだ試してみようと、
悪戯して居眠りしてるセンパイにキスしたんだけど、
めっちゃけろっとして、・・・マジで兄貴だわ。」
「ふ~~ん、なるほどねぇ・・。」
叔母はそこまで訊くと、ふうっとため息をついた。
「はるか、あんた、
本当は内海くん好きなんでしょ?」
意外な言葉だった。
だけど、何か心をえぐられた。お姉ちゃんもわかってない。
・・・・・ちがうんだ、そういうもんじゃない・・・。
あたしは、うっちーセンパイのなにか「闇」というか、
あたしに対する「妙な距離感」があるんだな・・。
好きは好きだと思う。
でなきゃ、キスなんかしない・・・。
デカルトの言うこともわかるけれど、
完全には割り切れるもんじゃないよ。
霞を食べて生きてるわけでもないし、
かといって盛りの付いたネコでもない。
飛鳥お姉ちゃん・・・
なんでこんなこと言いに来たんだろう。
「はるか、ここだけの話にしてくれる?」
何か急に真顔になってあたしにつぶやいた。
「・・うん、いいけど・・。」
「あたしが京都に来たのは、ダンナには秘密。
で、ダンナは、いま京都に着いたばかりだと思う。」
「・・・はい?・・・」
また驚くことを言うものだ。
「で、だ、たぶんダンナは、内海君のお母さんに
問いただしにいくだろうと思う。」
「え?・・・何を??」
あたしは何が何だかわからない。
マジわからない・・・。
全部大人の都合で、なんか物事が走っている。
「おねえちゃん、あたし、マジ、何のことかわかんない。」
もったいつけずにストレートに言ってもらった方が、はるかにましだ。
「内海君は、はるかのことが好きだと思うよ。
ずっと見ててそう思った。
だけど、彼の中に、何が原因かわかんないけど、
あんたを彼女にでなく、妹にしかしちゃいけないバイアスが、
どこかでかかってるんだよ。」
・・・え・・・?
・・結局、これも作り物?・・・
そういうなんか、ちょっと残念な気持ちが擡げてきたんだ・・・。
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