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少女漂泊~Monologue by HARUKA α

あたし・・「はるか」・・
18歳、高校3年生

とりあえず経済的には不幸なことはない。
いわゆる、「お嬢様」の部類に入っているのだろう。
戸籍上の親は実の祖父母。

隠すこともなく小さい頃からカミングアウトされていた。
そう言う事実を知らされてもあたしは動じなかった。

成績順位は毎回ひとけた、部活はインターハイ出場。
・・優勝は逃したけど。
本校初の女子生徒会長として二期。
絵に描いたようなスーパー女子高生。

大学の推薦も決まった・・・・。

そう・・・あたしはいい子なのだ。
でも、
最近、「いい子」に疲れてるのかも知れない。
かといって、チャラいのが本当の自分だとは

全然思わない・・。

ただ、すべて「演じてる」
そうだ、「はるか」というキャラクターを演じてる・・。

チャラい「恋バナ」にも、全然興味が無い。
あたしは、いったい、どこに行きたいのか
何をしたいのか、まったく自分がわからないんだ。

 だから あたしは、ある計画を考えた

・・・・・今の生活を辞めよう・・・。

 まわりの期待のない立場に自分をおきたい。
そう考えはじめた。

自分を「いい子」から解放しようと考えはじめたのだ。

 でも、一体何からはじめたらいいだろう・・・・。


あたしの中に芽生えた「不良性」は、
一体どこから生まれたものなんだろう。

良い子でいるための精一杯の演技はそれを隠すものだったのか、
それとも、どこかであたしは
良い子でいたいという願望が強かったのだろうか。

 両親は他界したと言うが、
最近、どうもそうではないような気に駆られている。

真実は別のところにあるような、そんな気がするのだ。

あたしの本質は・・・・・不良少女なのかも知れない。
でなければ、こんなに疲れないもの・・・。

人は人に尽くすために存在するのだと、
いつもそう教わって、
いつも人のためにがむしゃらにがんばってきた。

期待にも応えてきた。
みんなそうしているものだと
何の疑いもしないでそうしてきたのだ。

でも、真実は違うような気がする。
人はみな、砂粒のようにさらさらと、
己のことしか考えない。

その中であたしは道化を演じてきただけ。
それよりも、
砂粒の中にいる自分を
直視する勇気が出なかった
のかも知れなかった。

家を出よう 、そして
虚構の「はるか」を脱ぎ捨てるのだ

そうだ、あたしは、「ある場所」を探しに行こうと思う。
そこで、「本当のあたし」として
生きるのも悪くないと思った。

そして、あたしは「ある場所」のメッセージは、
どこかで存在しているかもしれない
あたしの両親からのメッセージだったような
そんな思いにもとらわれていた。

「ある場所」からのメッセージには、
こういう事が書かれていた。

その入り口には、「直視」しなくてはいけない
4つの関門がある。

それを見据えなければ、
そこには行けない・
・と

第一の門には、
そこに、老いさらばえた「あたし」がいると。

髪は白く、歯は抜け、腰が曲がり、
そして、同じ昔話をエンドレスに
くりかえす・・あたし。
それをつぶさにみることができるという。

上等だわ、それを見てやろうじゃないの・・・。

あたしは、まず第一の門に向かった。


TO  BE CONTINUE



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