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 ひと昔前の映画だったけれど、過去に観たことがあって、あらためてサブスクで観た。

 その時も、少しの感銘を受けたものだったが、あらためて鑑賞すると、様々なものに引っかかる。
 過去の作品を振り返って観たり、読んだりすることは、自分の感性の変化を実感できていいものだ。

 それよりも、考えさせられる。

草原のど真ん中の一本道を
あてもなく浪人が歩いている
ほとんどの奴が馬に乗っても
浪人は歩いて草原を突っ切る

早く着くことなんか目的じゃないんだ
雲より遅くてじゅうぶんさ
この星が浪人にくれるものを見落としたくないんだ

葉っぱに残る朝露
流れる雲
小鳥の小さなつぶやきを聞きのがしたくない

だから浪人は立ち止まる

そしてまた歩きはじめる

十五歳・学校Ⅳ

「定型」というものに、あたしたちは拘らせられてきた。

いい子、いい成績、いい進路、いい人生。

 とにかく目指しなさいよ。だから、「当然」の道を歩めと。疑いもなしに歩んだ。
 仕事に就けば、「勝ち組」になれ。
仕事以外でもそうだ、「勝ち組」。マウント獲り。

 副産物でもある、いじめやハラスメント。
そこが起因だと思うが、手を出せない。

 とにかく「勝てば」幸福が得られるのだというわけだ。
 他との相対で幸福があるというように言われ続けた。

 いったい何に勝つというのか。そんなことを疑うこともしなかったのではないか。ただ、目の前の対応だけに追われて、「安堵」しているだけではないか。

 結局、そんなものはどこにもない。幸福とは、己自身の心の中だけにあるのだ。

 自然な心にしたがえば、周りなんかどうでもいいことで、そもそも比べる対象ですらない。とにかく、生きていること自体に意味があるのだ。すなわち宇宙に生かされている己がある。
 そして、その個々は一つとして同じものはない。だからひとしく尊いのだ。

 それが「主人公」というやつなのだ。

 

 

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