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金融緩和だけではインフレは達成されない
金融緩和だけではインフレは達成されない
いきなりですが、10年前、日銀黒田総裁が掲げた目標を知っていますか?
2年間で2%の物価上昇、マネタリーベースを2年で2倍に増やす。
『これまでとは次元の異なる金融緩和になる』
これが黒田総裁の当時の言葉です。
この目標について、聞いたことがないという方が実に41%もいるという「事実」。
本当ですかね?
でも、日銀自らが調査を行った結果だから、信じる他はありません。
結果は結果でも、こちらの結果の方が大事です。
つまり、目標に対する結果です。
マネタリーベースとは資金供給量のことです。
このマネタリーベースは、10年間で134兆円から646兆円と5倍近くにまで拡大しました。
しかし、期待インフレ率は0.6%程度にとどまっています。
ちなみに「期待インフレ率」とは、実際の物価上昇率ではなく、人々、つまり市場のインフレに対する将来の予測値のことを言います。
日本の物価上昇率は、90年代後半からずっとゼロ%が続いてきました。
98年から2021年までの20数年間で1.2%しか上昇していません。
この間、企業も家計も「物価は上がらない」という意識がすっかり定着してしまっていました。
その中での黒田総裁の「物価上昇率2%」は、確かに高すぎた目標と思われても仕方なかったのかもしれません。
日銀は、国債をどんどん買い込み、インフレ率を向上させようと努力しました。
でも、結局は2%どころか、半分でさえも届きませんでした。
結局、16年には事実上、この数値目標自体を撤廃しました。
というよりも無かったことにさせられたともいうべきかもしれません。
物価上昇させるには、まず、需要を拡大していく必要があります。
需要の拡大が消費を拡大させます。
消費を拡大させるには、家計が潤っていかなければ、消費にはつながりません。
しかし、家計、つまり所得が伸びないままで、日銀が国債をどれだけ買おうと、マネタリーベースをどれだけ増やそうと、消費が伸びなければ、物価は上がりようがありません。
消費が伸びれば、当然企業の収益は上がります。
企業は、さらに収益を伸ばそうと、生産性を上げる努力をするでしょう。
例えば、人を新たに雇用したり、施設・設備を拡充したり、つまり投資をするようになります。
当たり前のことですが、収益が伸びる見込みがなければ、企業は投資などしません。
つまりはここが大事なところで、企業が投資をしたくなる環境整備が必要になってくるのです。
それには、日銀だけではなく、政府も同時進行で政策を実行する必要があります。
それなのに、この10数年間で、政府がやったことといえば、消費税増税です。
もちろん、他にも良いことをやったとは思います。
でも、結局は結果が物語ってしまっているわけです。
つまりは、思うように経済は上向かなかった、ということです。
故安倍元首相も、2度にわたる消費税増税を行なってしまったことを悔やんでいたと言います。
なんせ、5%が10%になったのです。
倍ですよ。
本来、政府がやるべきだったことは、消費税増税で消費を落ち込ませたり、家計を圧迫させることではなく、経済が活発化される財政出動です。
日銀がマネタリーベースでいくら資金を供給しようと、それが日銀当座預金に積まれてしまうだけでは、世の中にお金は出回りません。
政府が公共事業などで財政出動をして行って、初めてお金が民間に回っていくのです。
緊縮財政のままでは、それも実現できなかったということは明白です。
日本の現在の物価は3%を超えてはいますが、23年には1%台まで低下、24年も2%には届かないと、日銀は分析しています。
植田新総裁の仕事となりますが、再び物価上昇率目標を2%に再設定し、日銀と政府がスクラムを組んでこの目標を今度こそ達成させるべきだと考えます。
『 』内、参考・引用
3/31 日本経済新聞
【物価2% 動かぬ「期待」】より
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