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金利にもいろいろありまして

金利にもいろいろありまして

金利については、連日連夜様々なメディアで取り沙汰され、目にしない日はありません。
一般的に報道番組で出ているのは、「政策金利」と呼ばれるものです。
「政策金利」とは、市場の金利を実体経済に見合った水準に誘導するため、各国中央銀行が定める基準金利のことを指します。
金利には、長期金利と短期金利がありますが、政策金利は、短期金利の方を言います。短期金利は、誘導目標金利と言います。
この政策金利が、金融機関の預金金利や貸出金利などにも影響を及ぼします。
短期とは1年以下の金利のことです。
よく聞く「金融引き締め」とは、景気の加熱を抑えるために行われる政策金利の利上げのことです。
反対は、景気を活性化させるための利下げ、「金融緩和」です。

さて、前置きが長くなりましたが、「影の金利」と言われるものがあります。
別名「シャドーレート」。
「影の金利」は、国債買い入れによる量的緩和などを利下げと見做し、「政策金利」の引き下げの換算して示したものです。

現在、米国は金融不安がFRBの政策にもたらす影響について意見が分かれているそうです。
つまり、「金融引き締め効果を生む」とする考えと、「金融引き締めをするもインフレは止まらない」とする考えです。
どちらが正解かを見るための手掛かりとなるのが、「影の金利」です。
前述のように、政策金利の上げ下げだけではなく、国債買い入れによる中長期の金利を抑える量的緩和も含めた緩和効果を考慮します。

米国を例にしますと、政策金利は4.75~5%、これに対し、影の金利は2%弱です。
これは、インフレが再加速するリスクを警告していると言います。
事実、現在でも米国ではインフレ圧力は以前強く、2月の米消費者物価指数(CPI)はエネルギーと食品を除くもので前年同月比5.5%の上昇、これでも5ヶ月連続鈍化しているのですが、自動車関連以外は物価が減速していないのが現実です。
インフレ定着の可能性が色濃く残っています。

現在の米国は、政府がコロナ対策で配った給付金が貯蓄として残り、それが消費を支えています。
この消費が伸びていけば、当然インフレが進んでいきます。
FRBの引き締めがインフレの火を消せるかどうかが分岐点となります。

日本は、この逆です。
日本の場合は、消費を伸ばし、賃金を上げ、インフレにする必要があります。
そのためには、金融緩和を継続する必要があります。
景気回復となった時に、初めて利上げがされるのが、流れです。

米国が利上げだから、日本も利上げだ、という考えは、現状では短絡的です。

『  』内、参考・引用
4/2 日本経済新聞
【「影の金利」インフレ警告】より
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