♨漫遊記(番外編) 法華院温泉
久々の温泉の話です。今回の温泉は、探査ではなく遊びで行ったので、番外編にしています。
大学院の修士1年の時に、仲の良い同級生から「今度、九重の温泉に行くけど、一緒に行かないか?」と誘われました。温泉は特に好きではありませんが、暇だったので一緒に行くことにしました。その同級生は九大の春日キャンパスに通っていたので、今回の温泉ツアーは、そこの関係者(職員や近所の居酒屋の店長?)と一緒になるとのことでした。「九重の温泉」としか聞いてなかったし、車で行くと言うので「楽ちんだ」と簡単に考えていました。
しかし、車を降りた後に、「少しだけ歩くぞ!」と言われて、どこに行くかもわからないまま、登山道を登って行きました。登れど登れど、目的地には着きません。こんなに山に登るとは聞いていなかったので、服装は軽装ですし、靴も普通のスニーカーでした。福岡を午後に出発したので、登山の途中で日が暮れて、山小屋みたいなところに着いた頃には、周囲は漆黒の闇に包まれていました。
その日の山小屋は、我々のグループの貸し切りでした。管理人さんみたいな人はいなくて、事前に受け取っていたカギで開けて、山小屋に入りました。山小屋は古そうでしたが、中は小綺麗でした。たぶん季節は、今くらいの秋口だったと思います。山小屋の外には、源泉かけ流しの露天風呂がありました。湯船はコンクリート製のシンプルな作りで、必要最低限の機能を備えていました。この露天温泉は外気で冷やされて、少しぬるめの温泉でした。
この温泉のことは、今まですっかり忘れていて、この記事を書く前に急に思い出しました。温泉名を覚えたいなかったので、ある重要なキーワードで検索したら、法華院温泉だとすぐにわかりました。そのキーワードというのは、坊がつるです。坊がつる湿原は、大分県から阿蘇へと通じるやまなみハイウェイの長者原の左手に連なる九重連山に抱かれた、標高約1200mの場所に広がっています。法華院温泉は、この湿原を望む1300mの高台にあり、九州では最高所に湧く温泉で、約2時間歩かなければたどり着けない秘湯です。
私の友達は、登山をしないと行けないような温泉だと私に言えば、ほぼ断られることがわかっていたので、事前に詳しい説明をしなかったのだと思います。私も本当のことを聞いていたら、まず断っていただろうと思います。法華院温泉に着いたその日は、周囲が真っ暗で景色は全然見えませんでしたが、次の朝には雄大な景色が周りに広がっていました。
タイトル図には、現在の法華院温泉の写真を使っていますが、当時の小屋はこんなに大きくなかったと思います。また、現在は露天温泉は無く、建物内の温泉に代わっているようです。