地震を知り、地震に備えよう。
28年前の早朝、当時大阪に住んでいた義兄から妻のケータイに、「オレは大丈夫だから」という不思議な電話がありました。まだ寝床にいた妻は状況がわからず、「何言ってんの?」と応えると、「とにかくテレビをつけて!」と言われました。仕方なく起きてテレビをつけると、画面には神戸の惨状が映し出されていました。建物は倒壊し、火事が起き、高速道路も横倒しになっていました。
今日は、兵庫県南部地震によって発生した阪神・淡路大震災が起こった日です。あれから、もう28年も経ってしまいました。その後も、地震が無いと言われていた福岡でも福岡西方沖地震が発生し、さらにその後には東日本大震災が起きました。これらの震災より小規模なものまで含めると、さらに多くの災害が起きています。日本に住んでいる限り、どこにいても地震から逃れることはできません。
1995年(平成7年)1月17日5時46分、兵庫県の淡路島北部沖の明石海峡を震源として、マグニチュード7.3の兵庫県南部地震が発生した。この地震によって、近畿圏の広域が大きな被害を受けました。特に震源に近い神戸市の市街地の被害は甚大で、この地震による犠牲者は6,434人にも達しました。
この地震からずいぶん経った頃、淡路島にある野島断層保存館に学生を連れて見学が行ったことがありました。この野島断層保存館は、兵庫県南部地震で出現した野島断層をありのままに保存し、地震の凄まじさを伝えることを目的に作られました。
この見学の時に、職員の方から興味深い話を聞きました。淡路島でも家屋が倒壊し、多くの人が生き埋めになりました。しかし、不思議なことに神戸などとは違い、被害者の割合が少なかったのです。これは、日頃のコミュニティの親密度が影響していたとのことでした。瓦礫の下に生き埋めになった人を助ける消防団の人は、その家屋の部屋割りや、そこに住む家族の家族構成、さらには普段寝ている場所などの情報を把握していました。これが人命救助に役立ったのでした。
大きな災害に出会うと、個人の力だけではどうしようもありません。こんな時に役立つのが、ご近所の力です。淡路島の例は、コミュニティの力が発揮された好例です。神戸でもご近所の力が発揮されたところもあったのでしょうが、都会では隣に誰が住んでいるのかさえ分からない場合があります。
大地震に脅威を感じることは当り前ですが、必要以上に恐れることはありません。まずは地震のことを良く知り、住んでいる地域の地震危険度を把握し、地震に備えることが大切です。趣旨は違いますが、「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」などの格言もあるように、まずは”相手(地震)”の本性を知らなければなりません。
国内には、活断層と呼ばれる断層が2000以上あると考えられています。その中には大都市の地下に眠るものも結構あります。人口160万人を擁する九州最大の都市・福岡市の真下には警固断層と呼ばれる活断層が走っています。警固断層は、日本海側から福岡市の中心部を貫き、その総延長は約55キロもあります。警固断層帯で30年以内に地震が起きる確率は、0.3~6%と考えられています。
地震は確率通りに起こるものではなく、いつ起きても不思議ではありません。日頃から、地震に関心を持って、備えておくことが重要です。