社会福祉士会での活動の振り返り ~社会福祉士会への入会メリットや社会福祉士としての活動のあり方について考える~
福祉業界のキャリアアップを考えるうえで、資格の取得は非常に重要です。私自身も福祉系大学を卒業後、社会福祉士の資格を取得しました。その後、社会福祉士としてキャリアを積み、認定社会福祉士(障がい分野)を取得しました。また、長崎県社会福祉士会ではブロック理事や副会長を務めた経験もあります。
社会福祉士としてのキャリアアップのためには、自己研鑽や職能団体の活動に参画することも重要です。本記事では、職能団体の意義や活動について紹介を行います。
社会福祉士としての歩み
私は福祉系大学を卒業し、在学中に社会福祉士の資格を取得しました。実家の家業が神社であったため、卒業後1年間、神主の資格を取得するために学校に通いました。その後、神奈川県の神社で1年間ほど働きました。
社会福祉士の資格を取得後、すぐに社会福祉士会に入会しました。しかし、当初は他業界にいたため、会の活動や社会福祉士としてのキャリアアップには取り組めませんでした。社会福祉士としてのキャリアのスタートは、社会福祉法人悠久会に入職してからになります。
入会当初 ~駆け出しの社会福祉士の立ち位置から~
私が社会福祉士の資格を取得した2000年代前半は、有資格者が少ない時代でした。社会福祉法人悠久会でも、社会福祉士は片手で数えられるほどで、障がい福祉の分野でも介護福祉士も多くない時代でした。当時の上の世代は「資格を取って何の役に立つのか?」という考え方が主流で、専門性よりも経験を重んじる傾向が強かったのです。(※現在は資格を取得することが当たり前という意識が定着しています。)
社会福祉士としてのアイデンティティをどう確立するか?
専門職としての自覚(アイデンティティ)がなければ、支援やそのあり方が揺らいでしまいます。ゆえに、社会福祉士のキャリア初期では、専門職としてアイデンティティを確立することが非常に重要です。
社会福祉士として、クライエントに最善の利益をどのようにもたらすのか?(社会福祉士としての専門性発揮)
他の専門職や相談援助系の無資格者とどのように異なる支援ができるのか?(他職種との差別化)
この2点が明確でないと「資格を取って何が役に立つのか?」という問いに答えることができません。
相談援助実習は受験資格を得るために必須でしたが、当時は実習指導担当者が社会福祉士であることは必須ではありませんでした。そのため、実習のカリキュラムは実習先に任されており、社会福祉士としてのあり方を教わる機会はありませんでした。自ら問いを立てたり、実習担当者に質問をしたり、専門書を購入して自分であり方を見いだすしかなかったのです。
当時、障がい福祉分野では相談支援事業所などが法制化されておらず、相談援助やソーシャルワークを意識する機会が少ない時代でした。実践現場で社会福祉士としての専門性を意識することは難しかったです。
障がい福祉の歴史を辿ると施設処遇が中心であったため、ケアマネジメント機能を発揮する機会も少なく、ソーシャルワーク機能の切り出しが難しいことが要因の一つでした。(レジデンシャルソーシャルワーク機能については実習指導の項で後述します。)
ただし、個別支援計画の策定やアセスメントシートの作成、支援記録の作成、ケース会議などは行われており、ところどころ活かすべき場面もあったと記憶しています。虐待防止法などが成立する前でしたが、社会福祉士の倫理綱領に基づく権利擁護の姿勢は、自らの支援の拠り所となりました。
社会福祉士会での活動開始
社会福祉士会には入会はしていましたが、社会福祉法人悠久会の入職後の数年間は目立った活動はしておらず、社会福祉士会の会報を読む、総会や全体研修等に参加する程度の活動しかできていませんでした。
しかし、当時の社会福祉士会の役員さんからお電話をいただき、「研修委員を手伝ってくれないか」と依頼されました。そこから研修委員として、会員向けに生涯研修制度の説明や基礎研修の一部の講師を担当するなど社会福祉士会との関わりが始まりました。
研修委員としての活動や学び
2010年代初め頃は、現在のように基礎研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと体系化されていなかった時代でした。当時は、入会した会員向けに基礎研修やウェルカムCSW研修の実施、生涯研修制度の説明、そして様々な分野のキャリアアップ支援研修の企画や支援が主な活動でした。
社会福祉士会としても、今後の研修体系や社会福祉士としてのキャリアアップなどをどう会員に提供していくか、試行錯誤の段階だったと記憶しています。
私も2011年の全国生涯研修委員会議に参加させていただきました。「認定社会福祉士制度」「新生涯研修制度」「新基礎研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の議題について、日本社会福祉士会より説明がありました。これから社会福祉士としての研修体系が整理され、社会福祉士のキャリアアップとして認定社会福祉士制度が始まるのだなと感じたことを覚えています。
その後は全国生涯研修委員会議の内容を会員に落とし込むべく、新生涯研修制度や認定社会福祉士制度の説明会を随時行いました。入会当初、思い悩んだ社会福祉士のキャリアアップに関する課題解決に向け、少しずつ前進していることを実感しました。
長崎県社会福祉士会ブロック理事として
2013年から長崎県社会福祉士会の島原半島ブロックの理事として選任され、ブロック活動の充実に力を入れ始めました。島原半島内には約60名の会員がいましたが、全員と面識があるわけではなかったため、交流の機会や独自の研修開催などに取り組みました。
2016年には長崎県社会福祉士会の副会長に選任され、県全体の活動やあて職として諸団体との連絡会議などに参加する機会が増え、会の運営についても考える機会が多くなりました。
役員をしていた当時の活動を中心に、時系列で紹介していきたいと思います。
2013年 ソーシャルワーカーズフェスティバル~ソーシャルワーカーの可能性~
2013年の活動では、ソーシャルワーカーズフェスティバルでシンポジストとして発表などをさせていただきました。
ソーシャルワーカーズフェスティバル発表時のスライドの一部
毛利会長(当時)を講師に招き、経験談を交えソーシャルワークの基本的スキルについて学ぶ。終了後は近くの喫茶店にて島原半島ブロックの会員の交流会を行いました。地域生活を支えるためのネットワーク構築には顔の見える関係作りが重要ですね。
各県持ち回りで「成年後見人養成研修」(集合研修:全5日間)が開催されており、2013年度は長崎県で開催された年でした。スタッフとしてお手伝いに行きました。
2014年 勉強会など
スクールソーシャルワークの勉強か
教育分野において社会福祉士ならではのアセスメントとアプローチにて取り組むことで成果が上がった事例を紹介していただく。
鎌倉会長(日本社会福祉士会会長-当時)の各県視察
日本社会福祉士会の動向、グローバル視点での動向、ソーシャルワーク定義は全世界共通のものとなり得るのか?などのお話や意見交換をしました。
2015年 実習指導者フォローアップと各種会議
成年後見推進連絡会議
成年後見制度利用の促進のために、家庭裁判所、弁護士会、司法書士会などの様々な団体や職種の方が集まり、意見交換を行いました。
社会福祉士会 九州沖縄ブロック研修会 各種連絡会議 生涯研修連絡会議
この会議では、認定社会福祉士について、旧生涯研修制度における特別研修(経過措置)の認定者と新制度における認定者(最短でも5年必要)の移行時に空白期間が生まれてしまう懸念を述べました。また、九州で認証研修をどう増やすかについても意見を提出した記憶があります。
社会福祉士実習指導者フォローアップ研修 ~実習プログラミング論~
入所系施設におけるソーシャルワーク実習(レジデンシャルソーシャルワーク)の実習指導について報告を行いました。フィールドソーシャルワーク(地域相談機関)と比較すると、ソーシャルワーク業務が様々な業務と混在しているため、実習を行う上で課題が多いです。
実習プログラムにおいて、レジデンシャルソーシャルワークの9つの機能を意識したプログラムを作成すると、入所施設においても、ソーシャルワークを体感できるかと思います。
入所施設でのソーシャルワーク実習のポイント
元々の入所施設での機能(家庭代替・教育治療・介護生活支援機能など)において直接処遇とソーシャルワーク実践が明確に区別されてこなかった点がソーシャルワーク実習指導の難しさであったと思います。(現在はサービス管理責任者などがいますので少しは意識しやすくなったかなと思います)
ソーシャルワークのエッセンスを意識しないと、体験やコミュニケーションで実習が終わる可能性があります。実習指導者がいかにオリエンテーションや実習日誌などへのフィードバックでソーシャルワーク実践を意識させるかが重要なポイントとなります。
ソーシャルワーク実習の意義
実習生の育成は未来の社会福祉士の育てることです。その実践は専門職の再生産を意味します。実習生を育成することで、実習指導者自身の成長にもつながります。
実習生を育成すること。それは社会福祉士全体がより高みを目指し、未来の社会福祉士へ想いのバトンをつなぐことです。
我々、現役の社会福祉士が成し得なかった理想のソーシャルワークを未来の社会福祉士が成し遂げてくれるかも・・・と考えると意義がありますね。
2016年 九州・沖縄ブロック大会(長崎)と災害支援ソーシャルワーク
2016年度 第6回九州・沖縄ブロック大会社会福祉士研修会 ~長崎大会~
【大会テーマ】
「人を援助することの意味を問い直す~支援困難事例と向き合う~」
基調講演とシンポジウム(児童・医療・司法・高齢の各分野より1名ずつ)が行われ、研修終了後には情報交換会も行われ、アトラクションとして長崎の伝統芸能の「龍踊り」が披露され、他県の会員さんにも龍踊り体験をしていただきました。
災害支援ソーシャルワークについて
2016年は熊本地震が発生した年でした。当時、私は別団体の青年会議所にも所属しており、そこで災害支援担当委員長を務めていました。このため、災害支援に多く関わる年度となりました。
(前年度はたまたま災害ソーシャルワーク研修を受講していました)
九州沖縄ブロック災害支援担当者会議
2016年度、長崎県社会福祉士会は災害対策の主幹県を務めていました。九州沖縄ブロックの災害支援担当者会議では、各県士会が被災状況と支援方針を共有し、今後の災害支援の取り組みについて話し合いました。
災害ボランティアセンター運営者研修(全国社会福祉協議会)
災害支援への対応スキルなどを高めるべく災害ボランティアセンター運営者研修にも参加をしました。
発災時の災害支援では災害ボランティアセンターが重要な役割を担います。この研修では、防災ネットワーク作りと情報発信・情報共有が大事であることも学びました。
会の魅力を伝える広報活動
2016年度に一眼レフカメラを購入しましたので、長崎県社会福祉士会のFBページに島原半島ブロックの活動写真などを投稿することがありました。
2017年 関係団体との連絡会議など
在宅医療・福祉コンソーシアム会議
地域包括ケアの推進と薬学・看護学の統合教育体制を確立している県内大学の協働教育体制の充実、多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成の拠点作りを目指しているプロジェクトです。長崎県社会福祉士会の副会長として会議に参加していました。
長崎県人材対策推進協議会(福祉分野)
福祉人材不足が社会課題化しているなかで、各団体の人材確保に対する取り組みの情報共有や連携について意見交換などを行う協議会。こちらの協議会にも長崎県社会福祉士会の副会長として出席していました。
成年後見実務研修会 島原会場(平成29年度長崎県地域福祉推進支援:成年後見推進支援事業)
成年後見制度に関わる専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)から、制度の背景や、実務の解説、事例紹介などが行われ、受講者からの質疑応答もありました。
2018年 島原半島ブロック活動について
第2回定時社員総会と研修会「社会福祉士制度とスーパービジョンについて」
災害対応関連規程
災害担当理事の職務として「災害時対応ガイドライン」「災害対応マニュアル」を策定しました。本総会にて無事承認されました。前年度には「災害支援活動協力員登録者の応募/登録」の様式の策定と制度化に取り組みました。
研修会「社会福祉士制度とスーパービジョンについて」
長崎純心大学の潮谷教授から認定社会福祉士とスーパービジョンについて講義が行われました。認定社会福祉士の認定を受けるにはスーパービジョンを受けることが必要となったこと、認定上級社会福祉士になるにはスーパービジョン実績が必要となったことなどを解説していただきました。
島原半島ブロック活動 ~事例検討会と交流会~
6月に会員の草野友一氏より「放課後等デイサービスを用いた不登校児支援」ークライアントが求める支援とは何かー をテーマに事例検討会を行いました。検討会後は小浜町のよしちょうにて会員同士の情報交換を行いました。
島原半島ブロック活動 ~こばの空療育学苑 見学~
8月にこばの空療育学苑(放課後等デイサービス・児童発達支援)の見学を行いました。古民家のような味わいのある雰囲気の中で、集団遊びを通じたコミュニケーションの確立、ABAやSSTなどの技法、障がいに合わせた個別プログラムを提供していました。
島原半島ブロック活動 「地域で地域を支える仕組み」~南島原市生活支援体制整備事業~
南島原社協の生活支援コーディネーター松永氏を招いて、生活支援体制整備事業について学びました。少子高齢化が進む地域で、持続可能な社会を作るためには、助け合いと支え合いを広める活動が重要です。
自治会単位でのさまざまな取り組みや、社会資源を有効活用した事例を松永氏に紹介していただきました。また、研修中には「助け合い体験ゲーム」を実施し、自分たちが支えられること、助けてほしいことを想像し、実際に声をかけたり助けを受ける疑似体験をカードゲームを通じて学びました。
役員としての任期を終えて
2018年度は島原半島ブロックで充実した活動を行うことができました。そして、2018年度をもって任期満了により、副会長および島原半島ブロック理事(3期6年)を退任いたしました。
役員としての任期期間中、会の活動に積極的に関わることで、社会福祉士としての自己研鑽の機会を得ることができ、社会福祉士としての成長を特に実感できた時期でした。職能団体のあり方や関係団体との連携について考える機会も多く、ネットワーク構築により幅広い活動や学びを得ることができると実感しました。
認定社会福祉士の取得
2018年末に認定社会福祉士(障がい分野)の認定を受けました。研修委員としての活動や理事として会の活動に深く関わるなか、社会福祉士としてのキャリアップに対するモチベーションを高く維持できたことも要因だったと思います。
2019年 運営委員として
2019年度からは、役員という立場ではなく、島原半島ブロックの運営委員としてブロック活動に関わりました。
島原半島ブロック活動 ~避難所運営ゲームHUG(社会福祉施設向け)~
3月に南島原市総務防災班の林田昭義氏を講師にお迎えし、避難所運営ゲームHUGを実施しました。もし災害が発生し避難所を運営することになった場合、刻一刻と変化する状況の中でどのような判断をするべきかを、グループワークを通じて学びました。
参加者からは、日頃の備えや非常時のシミュレーションの重要性、判断の難しさ、ルールの決定方法、配慮が必要な方達の優先順位のつけ方などについて考える良い機会になったという意見が寄せられました。
今回は、社会福祉士会の会員だけでなく、福祉関係事業所にお勤めの方、社会福祉協議会、行政、学校関係者、島原青年会議所の方々にもご参加いただきました。災害発生時には業種の垣根を越えた防災ネットワークが必要となります。今回の研修会には様々な団体の方々が参加してくださり、とても有意義なものとなりました。
島原半島ブロック活動 アプリ活用術セミナー ~いつも時間のないあなたのための~
ソーシャルワーク業務に注力していくためには、業務生産性の向上が欠かせません。また、情報共有やコミュニケーションを活発化させるためには、様々なITツールの積極的活用が重要です。
そこで、島原半島ブロックでは、(株)コクリエシステムズの代表取締役社長兼CEOの山田努氏をお招きし、セミナーを開催しました。会の活動にも積極的にITツールを活用し、業務の生産性向上を実現できればと考えています。
(株)コクリエシステムズ
島原半島ブロック 運営委員会 ~Zoomの活用~
前回の研修会で業務生産性向上のために、ITツールの活用が重要であることを学びました。そこで運営委員メンバーでオンライン会議ツール「Zoom」を活用した会議を開催してみました。
(今、振り返るとコロナ禍になる以前から、オンライン会議ツールの活用のチャレンジに取り組んでいました。)
2020年 コロナ禍の中でのブロック活動 ~Zoomの活用~
島原半島ブロック活動 ~WEB事例検討会(Zoom)~
8月にZoomを活用した事例検討会を開催しました。新型コロナウイルスの影響で集合研修の開催が難しい状況の中、学びと会員の交流促進の機会を確保するために新しい試みとして実施しました。
リハーサルを重ねた結果、大きなトラブルもなく、質疑応答や意見交換も集合研修と同様に行うことができました。島原半島や長崎県内での集合研修は移動時間がかかりますが、WEB会議なら場所を気にせず開催できるため、ブロックの垣根を超えた交流や新たな可能性を見出すことができると感じました。
2020年当時の状況として、大規模な集合研修の開催は難しい状況が続くことが予測されたため、当面はWEB会議システムを用いた会議や勉強会を企画し、研修と交流の機会を確保できればと運営委員メンバーで話し合いました。
島原半島ブロック活動 リモート懇親会 ~WEB会議システム(Zoom)を活用した交流会~
11月にオンラインで会員同士の親睦を深め、社会福祉士としてのネットワークを構築するためのリモート懇親会を開催しました。新型コロナウイルスの影響で会員同士の交流の機会が減少していたため、新たな試みとして取り組みました。
オンライン懇親会では、チャット機能やスライド機能を活用し、心理ゲームや人狼ゲームを行いました。普通の懇親会とは違い、工夫が必要でしたが、大いに盛り上がりました。
まとめ ~職能団体の意義とメリット~
以上、自身の経験を振り返りながら、社会福祉士会での活動も紹介させていただきました。ここで、職能団体に所属する意義やメリットについてまとめたいと思います。
■社会福祉士としての専門性の向上の機会
職能団体に所属することで、多くの研修に参加する機会が得られます。県内の研修だけでなく、年に1回開催される全国大会や、日本社会福祉士会が主催する研修会もあります。これらの研修は社会福祉士としての専門性を高めることに大いに役に立ちます。
■会員同士の交流の機会
同じ福祉業界であっても、高齢分野、障がい分野、児童分野など、分野が異なると交流する機会は少ないでしょう。しかし、社会福祉士という職能団体では、活動を通じて分野の垣根を越えた交流が生まれやすくなります。その結果、異なる分野に属する社会福祉士の活動や専門性について知ることができます。社会福祉士会で活動していたからこそ出会えた人々も多く、非常に貴重な機会だと思います。
■社会福祉士としてのアイデンティティの確立とキャリアデザイン
同じ法人や職場に社会福祉士が多ければ、社会福祉士としての専門性やあり方について話し合う機会も多いでしょう。しかし、部署や法人によっては自分1人しか社会福祉士がいないというケースもあるかもしれません。その場合、社会福祉士会に入会することで、他の社会福祉士の先輩などから社会福祉士としての専門性を高めるための助言をもらえたりします。また社会福祉士会が示すキャリアルートとして、例えば生涯研修制度を活用し、認定社会福祉士までの道のりを知ることで、社会福祉士としての具体的なキャリアデザインを描くことができるかもしれません。(認定社会福祉士を取得するにはソーシャルワーク系の職能団体に加入していることが要件となります。)
■社会福祉士会への積極的な参加による専門性の向上
社会福祉士会に入会することで得られる多くのメリットについて述べてきましたが、ただ入会するだけではその恩恵を十分に享受することはできません。実際にメリットを得るためには、積極的に活動や研修に参加する姿勢が必要でしょう。
私見ですが、職能団体はトレーニングジムのようなものだと思います。ジムに入会して会費を納めても、トレーニングを行わないと筋肉はつきません。同様に社会福祉士会も、入会して研修に参加しなければ専門性を向上させることはできません。また、ジムでもパーソナルトレーニングのようにマンツーマンで至れり尽くせりサポートしてくれるわけでもありません。(もしも、そのレベルのサービスを期待するならば、現在の数倍以上の会費を納め、専門スタッフを雇用できる財源が必要です)
しかし、ジムにはトレーニング器具や機材、一緒に励む仲間、質問すれば丁寧に教えてくれるトレーナーがいます。同様に、社会福祉士会にも、専門性を鍛えるための環境や活動に取り組む仲間、そして質問すれば親切に教えてくれる先輩たちがいます。(自らが創意工夫すれば鍛えられる環境は整っているのです)
このたとえ話のように、職能団体の恩恵を受けるためには、積極的に研修に参加し、会の活動に関わることが重要です。自ら進んで行動することで、社会福祉士としての専門性を高め、キャリアアップにつながることでしょう。