誰も救わない優しさに『不親切教師のススメ』
「食事を抜いても読書は欠かさない」というぐらい、読書を大切にしている。
(単に好きなだけである。)
当たり前だが教育関連の書籍は否が応でも読む機会が多くなる。
また放っておくと、哲学的なものやドキュメンタリーなどにいきがちなので、小説も意図的に読むようにしている。
小説だと、毎年の本屋大賞の本は読む。
2023年の本屋大賞受賞作品である、次の本を読んだ。
『汝、星の如く』 凪良ゆう著 講談社
小説を読む時は、特に心に残った台詞や文章を書き留めておくようにしている。
今回は、次の言葉がメモされていた。
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愛と呪いと祈りは似ている
それは誰も救わない優しさだよ
捨てると選ぶは、意味が違うのに限りなく近い
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選んだ言葉を見返すと、共通項が見える。
自分の心の琴線に引っかかる何かがわかる。
今回のものを見ると
「真逆なようで同種」
「表面的な意味と本質的な意味が真逆」
という共通項が見える。
自分が最近感じている教育観のテーマでもある。
『不親切教師のススメ』もこれなのである。
一見親切なことが本質的には不親切。
不親切なように見えて、本質的に親切。
『不親切教師のススメ』でやめようといっている親切とは、まさにこの「誰も救わない優しさ」である。
それは「愛」なのか「呪い」なのか「祈り」なのか。
「あなたのためを思って」の本質を問いたいのである。
『捨てる!仕事術』(明治図書)という本を書いたことがある。
この本のメッセージの本質も「本当に大切なことをやるために、捨てる」である。
『不親切教師のススメ』のメッセージも、本質的には同じなのである。
不要なことをやらないという決断は、やることの主体的な選択
ともいえる。
魂レベルでやりたくないこと、やるべきではないと思っていることを、仕方ないからやる。
それは、じわじわと魂を毒殺する行為である。
本当は要らない、むしろ有害だと思っているのに、「みんな」や「常識」「慣例」に合わせてやっていることはないだろうか。
そういうことへの疑問を常にもつのは、結構大切なことだと思っている。
愛、呪い、祈り。
誰も救わない優しさ。
捨てると選ぶ。
全ては、バランスである。
一見真逆なものを両立させることで、バランスがとれる。
教育にとって本質的に大切なことである。