レーザー冷却⭐︎物を限界まで冷やす研究室⭐︎
こんにちは!
物を限界まで冷やす研究室に所属しております修士2年生のひこまるです。
私の兄は、彼女と同棲しているのですが、
昨日その二人から、私の母親向けに、大きい母の日のケーキが届きました。
ひこまるの家は、
現在、ひこまるパパ、ひこまるママ、ひこまる、ひこまる弟の4人で住んでいるので、4人分の大きさで買ってくれたのだと思います。
このケーキ、冷凍庫で保存をして、食べる日に冷蔵庫に移して解凍させるタイプでした。結構大きかったので、冷凍庫のスペース確保が大変だった。笑
でもすごく美味しかったです。
結局、我が家では、ケーキを冷やす方法は「冷凍庫に入れる」しかありませんでしたが、
いざという時に、他にも方法があれば、便利じゃないのかなって思うのですよ。
冷やす方法って何がありましたっけ??
絶対やりすぎだけど、液体窒素かけたら、もっともっと冷えますね。笑
(液体窒素とは、-196 ℃の液体の窒素です。バナナ凍らせる実験とか有名ですね)
こんなものでしょうか、、、
液体窒素を家で保管するのは、なんか嫌だなぁ。
しかし、皆さん、安心してください ! ! (?)
ひこまるは、物体の温度を下げる研究をしているのです!
いわば、物を冷やすプロ!笑笑
皆さんが、「これの温度をめっちゃ下げたい!」と思った際に、
困らないように、最先端の冷却技術をお届けします!笑笑
簡単な導入のみですが、きっと私の研究の、
かっこよさが伝わると思います!
こんな人にオススメ
・科学が好きな人
・SFが好きな人(ちょっとSFチック)
・大学の研究とはどんなことをやっているのか、簡単に知りたい人
科学の知識がなくても、きっと、絶対絶対、楽しめるコラムにします!笑
ぜひお付き合いください。
レーザーの二面性
突然ですが、皆さんは「レーザー」に関して何かイメージしていることはありますか??
こんな感じか、
こんな感じではないでしょうか?笑
一つ目は、脱出ゲームの一貫として流行っているレーザートラップというゲームです。
ひこまる、こーゆーの好き。めっちゃ得意ですよ(笑)
2つ目は、高出力レーザーポインターでマッチに火をつけている画像です。
太陽光も虫眼鏡で集めると黒い紙を燃やせること、ご存知だと思います。光って扱いによっては危険なのですね。
急に何の話だって感じですよね(笑)
今までは前振りで、実は、私の研究室では、
「レーザーを用いて冷却」を行っています!!
えっーーーーーーーーーーーーーーー!??
レーザーってレジャーか、熱するしか使えないんじゃないの!??
一見、全く関連が見えない、レーザーと冷却。
その凄まじい研究内容により、
1997年に「レーザー冷却技術」で3人の学者がノーベル物理学賞を受賞しました。
ものが冷える仕組み
皆さんは、どのように物体が冷えるかご存知ですか??
これを知るためには、「原子」の運動を考える必要があります。
(読むの、やめないで!笑)
この世の中の全ての物は原子からできており、
物の熱さは、原子の運動の激しさが決めています。
上は、温度が高い原子、下は温度が低い原子のイメージ図です。
(丸は原子、矢印は運動を表しています)
何となく、上の方が激しいから熱そうなの、イメージ付きますか?
人間もゆっくり歩くより、走ったりぶつかったりする方が熱くなりますよね。
冷蔵庫に入れたり、液体窒素をつけたりすると、
原子の運動が遅くなり、つまり物が冷えるのです。
原子の動きが遅くなって、ものが冷えるなら、
冷やしすぎて原子が止まったら、それ以上冷えないの?
と考えたあなた!一緒に研究しましょう(笑)
そうなのです。理論上、熱することはいくらでも出来るのですが、冷やすのには限界があり、
それが-273.15℃です。これは、絶対零度とも呼ばれます。
さあ、いよいよレーザーのお話しに移ります。
レーザーで冷却をする理由
ここまでのお話で、疑問点は2つ考えられます。
①何で、レーザーで冷却できるのか。
②何で、レーザーで冷却をするのか。
まず、①から考えてみましょう。
ここが一番の謎ですね。
原子の運動速度を下げれば良いのはわかるけど、でも実際レーザー使うと火が出るじゃん。みたいな。
実は、ここまで内緒にしてきましたが、レーザー冷却は、気体にしか行うことができないのです!!
(ほとんどの物は、気体、液体、固体に分類されますね。水蒸気、水、氷のように)
ケーキをどうしたら冷やせるかというお話を導入として使いましたが、
皆さんがご想像の通り、ケーキに高出力レーザー当てたら多分焦げます(笑)
読む意味ない??
でも、気体なら冷えて、固体なら燃える理由も不思議じゃないですか?
ここまで来たし、もうすぐ結論にたどり着くので、
ちゃっちゃと、答えみちゃいましょう!
ここで簡単な例について考えてみましょう。
ここに右方向に進んでいる一つの気体の原子があるとします。
ここに左方向に向かうレーザーを当てます。
実はレーザーには、原子が感じる圧力(エネルギー)があるのです。
レーザーは、原子が運動している方向と逆向きのエネルギーを与える。
自分(原子)が進んでいる時、前から、物凄い勢いで誰か(レーザー光)が走り込んできたら怖いじゃないですか。そりゃ原子の進む速度も落ちますよね(笑)
簡単にいうと、冷却の仕組みはこれだけです。
でも、固体なら燃えるのはどうして??
気体と固体の性質
気体と、固体って、何が違うのでしょうか。
気体は、一つ一つの原子がバラバラに浮いてて、
固体は、なんか、全体的にがっちし結合してるって感じですね。
イメージは、
これが気体で、
これが固体ですね。
そう、この「原子同士がつながっているか」というのが、非常に大きなポイントになります。
先ほど、レーザーは原子にエネルギーを与えると言いましたが、
原子一つで受け取れるエネルギー量は決まっているのです。
ここでは、簡単に1としますね。
気体であれば、それぞれの原子が運動を妨げる方向に1のエネルギーを受け取り、減速します。
→冷却
固体の場合は、原子が1億個くらい集まっていると仮定しましょうか。
その場合、レーザーを照射すれば、運動を妨げる向きに1億エネルギー受け取るのです。
→受け取りすぎ(過熱)
しかも、固体の場合は、そもそも運動が少ないのですね。
(熱して原子の運動を激しくすると気体になります。)
そのため、レーザーのエネルギーを、運動速度を下げることではなく、自身を熱することに使ってしまいます。
これが、とてもざっくりですが、レーザーで気体が冷やせる仕組みです。
(だいぶざっくりなので、レーザーを勉強している方がもしみた場合は違和感があると思います笑)
だいぶ長くなってきたので、そろそろ終わりにしましょうか。
気体をレーザーで冷却するメリット
②の答えですね。
何でレーザーを使うのか。
これは簡単に言えば、「めっちゃ冷やせる」からです。
例えば、水素を冷やそうと思った場合、液体ヘリウムに入れても-196℃までしか冷えません。
それは、液体ヘリウムの冷たさで冷やしているので、それ以下の温度にはならないのです。
しかし、レーザー冷却を使うと、
-273.1499℃まで下がります(笑)
これ凄すぎませんか??
レーザーの場合は、レーザー自身の冷たさではなく、
レーザーの圧力を使って、少しずつ原子を冷却するのです。
したがって、ほぼ絶対零度である-273.15℃まで下がるのです。
気体を冷却することは、直接、日常生活の役に立つことは少ないですが、科学の発展のためには必要不可欠です。
この世には、宇宙の温度なんかよりも、もっともっと寒い環境でしか起きない現象があります。
素粒子論とか、量子論とかって聞いたことあるでしょうか??
普通じゃありえないような環境を自分で作り出す。
すぐに皆さんの日常において、何のお役に立つかなんて、多分教授もわかっていません。
でも、宇宙の根本や、素粒子の研究は魅力がたくさん詰まっています。
まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
私は、自身の実験を広めたいと思い、noteを初めました。
4週目でようやく、少しだけ書きましたが、熱が入りすぎて、ボリュームが大きくなってしまいました(笑)
でも、まだまだ説明できていないことはたくさんあります。
例えば、気体の運動に対して反対向きにレーザーを打つと書きましたが、
どうやって、原子の動く向きを調べるのでしょうか??
そもそも、いっぱいの原子があって、それぞれで進む向きは違うはずだから、全ての原子に対して反対向きなんて無理じゃない???
だいぶ先になると思いますが、いつか私の研究の続きを書こうと思います。
今日のお話を読んで気になった方はぜひその時まで待っていてください。
ありがとうございました。