70点を90点以上にする仕事
0を1にする仕事があります。
まだ世の中にないサービスを始めるときには、この例えが適用されます。
僕たちは、クリエーティブディレクターという肩書きがついています。
いろんな本やメディアで、クリエーティブディレクターってこういうことをやる仕事だって書いてありますが、正直人によってやっていることが違うので、一概に言えません。
特に僕は、広告以外のこともやるので、「クリエーティブディレクターってそこまでやるんですか?」とか言われることが多いです。
クリエーティブディレクターの定義はともかく、
僕たちに求められると言うか、売り物にしている価値でいうと、90点以上のアウトプットを世の中に出すためのディレクションができるかどうか、だと思っています。
わかりやすくするために、あえてアウトプットのクオリティーを100点満点にして話をします。何を持って点数が決まるのかというと、簡単には説明できないですが、人を動かす力だったり、ブランディングやビジネスや、いろんなものに貢献するためのアウトプットの総合点です。
そこには、いろんな要件などが複雑に絡んでいます。変数はいっぱいあります。一次方程式ではありません。
よく、「お金を出しているクライアントの仕事なのだから、クライアントが望んでいるとおりのものができればいい」という意見があります。
でも、それはクリエーティブディレクターの仕事ではなく、オペレーターの仕事です。(オペレーターを下に見ていると言うことではなく、役割の話です)
絵を上手に描くとか、歌を上手に歌うことに、才能や訓練が必要なように、
世の中の多くのプロセスにクリエーティブディレクションが必要なケースが多々あります。
クリエーティブのセンスや経験をつかって、訓練をしていない方には到達できないかもしれない高い点数を取る。
90点じゃなくて、95点を取ることができると、世の中が動いたり、大きな賞を取ったりもします。
100点を取ると、時代が動くかもしれません。
ほとんどのビジネスにおいて、「そこまで求めてないよ」と思われるかもしれません。60点とっておけば、合格点だからと。(真偽はともかく)
でも、より高みを目指した方がいいことも多いですよね。
想像を上回る、教科書通りを上回るパフォーマンスや結果をもたらす可能性があるのもクリエーティブの面白いところです。
人によっては、30点と50点と60点のアウトプットの区別はつくかもしれないけど、正直70点以上はぜんぶ同じに見えるという人もいます。
それはそうです。僕だって、専門外の、例えばバイオリニストの80点と90点の演奏の区別はつきません。
だから、彼らはプロなのです。高い点数が取れる人ほど数が少なくなり、名声や報酬が得られます。(そういうことが多いです)
あたり間ですが、鑑賞者の中にも視聴者の中にも目利き力がある人はいます。60点の演奏しかできないホールが競争力を保ち続けることができないのは明白です。世の中の人の多くが判断できないのが現実だとしても。
名刺上の肩書きは、「クリエーティブディレクター」ですが、人によって実力はかなり差があります。バイオリンを弾ける人の実力がピンキリであるように。そして、会社によっては肩書きは自由につけられます。肩書きなんてそんなもんだし、肩書よりもその人が何ができるのかで本質的な価値が変わります。
なので、同じディレクションをしても、それに対する対価、フィーが変わります。僕たちは、そういう仕事をしています。
そこを納得してもらうのは、毎回、とても大変なんですけど。
(決して、ASTERISKが高いよーという話がしたいのではありません)