【草花によせて】がんばらなくていい、泣くことから始めよう【オリジナル曲】
『fleurir』
うつむき 踏み固めていた足元には 影もなく
くすんだこの私には お似合いのセカイ
このまま歓喜や悲鳴を見過ごして
代わり映えのない日々を過ごしてくのかな…
幸せなんて 波に浮かぶ太陽のようで
色褪せないのに届かない、絶やまぬユメ
差し伸べた手も振り解いて 泣いていたから
雲間から差す光にすら、、、気付かなくて
朝露 花を濡らして 閉じていた芽を開いた
そうした感覚でさえ 忘れていた気がした
晴れやかなる季節 瑞枝を縫う精達
『こんなにも空は …眩しかったでしょうか』
差し伸べた手は 振り解けど そこに在って
雲間から差す光にほら 導いてくれる
彩着きだした葉根を秘めて また歩き出そう
果てしない空
実付けるまで
――生まれ変わる!――
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作曲:かとり 作画:丘寝
作詞:えいちびぃ 歌唱:天音弥代
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歌詞解説
2011年初出。
この曲は作曲者から明確にテーマを設定されていました。
「Aメロは曇ってて暗いけどサビで一気に光が雲を割く希望の唄で」
たしかそんな感じのニュアンスだったと記憶しています。
デモを聴いたときにヨーロピアンな雰囲気と
植物が芽吹いていく情景が浮かんだので
雲に光が咲くイメージで
「フルリール」というタイトルはどうかと提案し書き上げました。
足元には影がないので、主人公が立っている場所は曇っています。
何かに落ち込んでいる自分にはお似合いだ、と諦観に満ちていて。
BメロはLaputaの『深海』という曲とよく似たフレーズでちょっと反省。
この曲が好きすぎてね……苦笑
私はよく"部屋で寝込んでいる"ことを深海に沈んでいると例えます。
カーテンから漏れる外の明かりは底から見上げる太陽に似ています。
私は孤独を愛してますが、同時に
孤独にはさせてくれない友人の存在も強く感じていて、
救いの手は実は常に差し伸べられていることもわかっているのです。
ただその手を取るにはあまりに自分の手は汚れすぎていて
相手をそれに染めてしまうのが怖かったり
あまりに弱っている時は、それをつかめても握り返す力がなかったり
さらにはそこまでたどり着くための
起き上がる気力すらないこともあるでしょう。
この感覚は、鬱である以前に誰もが感じたことのあることだと思ってます。
2Aメロからは一気に比喩と幻想じみた言葉遣いにシフトしまして
わざと公用とは別の漢字を当てはめています。
朝露 花を濡らして 閉じていた芽を開いた
↓
朝露 鼻を濡らして 閉じていた目を開いた
葉根を秘めて また歩き出そう
↓
羽根を秘めて また歩き出そう
果てしない空 実付けるまで
↓
果てしない空 見付けるまで
擬人化ならぬ、擬華化とでも言いましょうか。
歌詞を見なければ普通に聞き流せるレベルの仕掛けとなっています。
茎とか使いたかったんですが思いつきませんでした。笑
羽を広げ、ではなく、羽を秘めて歩き出す辺りが私らしいです。
武器を掲げ強く飛翔するのではなく、懐にしまって地道に進むのです。
花が濡れて芽が息吹き、葉や根ができて果実が成るように。
それに木づけるかどうかで、生き方が変わるでしょう。
Afterword
今回はボーカロイドではなく女性ボーカルです。
単純にリーダーが上げてる動画がこちらしかないので
多分どうしてもボーカル付きで聴かせたい出来だからかな?と思ってます。
確かに天音さんも感情を込めやすかったのか
ソロライブでもよく歌ってくれてましたね。
他の対バン相手がカバーばっかでもかまわず
オリジナル曲を披露する姿はかっこよかったし、
自分が作詞した楽曲を生で聴ける機会も初めてだったので
いい思い出として残っています。
そしてイラストも素晴らしいですよね。
表情、背景。
動画の途中で雲がまるで羽根のように見える編集もGJ。
冬コミで頒布したのですが、
いわゆる"ジャケ買い"も多数あった作品でした。嬉しかったです。
まさにSproundの集大成。
そして、翌年にこのサークルは実質休止します。
その後かとりくんはインスト中心で、私は作曲を勉強してソロを開始。
更に時が経ち、私はここ3年ほど創作から離れていましたが
奇しくも今は時間が出来ました。
だいぶ調子がよくありませんが、楽しかったあの頃の記憶が鮮明にあるので
ここを復調の目的地点と定めて休むのが、一番健全かなと思ってます。
過去の自分の歌詞が、現在の自分を応援してくれてるみたいです。
追記:この記事にて100記事達成らしいです。やったー