終わりの終わり 20.4.19
【 おことわり】
今回はゲイ向けアダルトについてのお話なので、その点をご理解の上お読みください。
SAMSON(サムソン)は、日本のゲイ雑誌の一つである。ふくよかな男性が好きな「デブ専」、中年好き、高年者が好きな「フケ専」のゲイにターゲットを絞っているのが特徴である。(Wikipediaより)
まさか、というか、やはり、というか。
サムソンには、本当に「お世話」になったなぁ……。(拙作が掲載されたわけではなく、主にナニのほうが)
これで、日本で定期的に発行されている紙媒体の商業ゲイ雑誌は消滅したことになるのか……。
G-men(ジーメン)とは、日本のゲイ雑誌である。
筋肉などの男性的要素が強い嗜好を主に扱っている。
2016年2月、最終巻。(Wikipediaより)
G-menが休刊したときのブログ記事
「終わりの始まり 始まりの始まり」より
(2016年)2月17日。
いつものように「組合関係」の方のツイッターを眺めていると、
こんな文字が……
G-men休刊
……へ?
一瞬硬直した直後、
すぐさまこのワードでサーチ。
マジだった。
G-menが、終わる……?
これで、残る紙のゲイ雑誌は二誌のみ。
僕が初めてゲイ雑誌を「買った」のは、忘れもしない(※と言いつつ勘違いしていた)1996年。(読んだのはさらに数年前、本屋で立ち読み。中年男性同士の官能小説に衝撃を受ける)
このころは、自分史上最悪に荒んでいた時期で、地元の書店でその雑誌を立ち読みしたのだけど買う勇気が無く、わざわざ青春18きっぷで普通列車を乗り継いで、東京に出て買った記憶が。
家族に断って行ったかどうかは忘れた。
何もかもどうでも良かった(常に「みんな●ね」と思ってた……当時は。いや、今も……??)。
無頼気取り。
前年にWindows95が発売されて、本格的なネット時代が到来したけど、田舎在住の無名の素人が小説をネットで販売できるだなんてまだまだ思いもしなかった。パソコン本体も目が飛び出るほど高かったし、それこそ高嶺(高値)の花。
小説書きとしてまったく芽の出なかった僕はノンケエロに転向し(ゲイ向けを書くにはまだちょっと抵抗があった)、各誌の投稿企画に駄文を送りつける。
まだパソコンは未所有で、毎週のようにN●Tのショールームに出向いて、そこのネットコーナーにて、エロ小説の投稿要綱、および自分の作品の当落を確認する日々。
銀行で客寄せのために、「無料インターネットコーナー」ってのがあった時代。
時を同じくして、アダルト系書店でゲイ雑誌を立ち読みし、ゲイ小説をチェック。
その時気になったのが、
どのジャンルの雑誌を読んでも、必ずと言っていいほど目に飛び込んでくる「小玉オサム」という作者名。
初めて読んだ、小玉先生の作品に登場する初老の兄弟(小説の本文ではそんなに年を取っていないのだが、挿絵が還暦手前ぐらいに描かれていた)のイメージが強かったので、北●謙三的なダンディーパパを想像していた。
ゲイ雑誌業界がまだ華やかなりしころは、各誌の小説も充実していて、ポルノ一辺倒でない、純文学的な小説も掲載されていた。
また、「さぶ」では小説指導企画も掲載されていて、いつかは僕も投稿を……と思っていた。(ちゃんと毎号買っておけば良かった!)
2002年。
その「さぶ」が、突然の休刊。
(……あれ? 終わるんだ)
というのが率直な感想。
現在ほど出版不況が深刻ではなかったと思うけど、あまりにも急に見えた。
そして、飛田流(になる前の人)の投稿計画は挫折。
その後、エロ抜きのゲイ雑誌が出版されたりして、マスコミで話題にもなったけど、長くは続かず休刊。
しばらく三誌体制が続く。
そして、僕はというと。
ITバブルがはじけ、それまでやらせていただいていたライターまがいの仕事、
さらに、それまで投稿していたノンケエロ小説投稿企画、
その両方が
全 終 了 し、
いよいよ追い詰められる。
ついに、ゲイ小説を投稿することを決意。
ゲイ雑誌とゲイ向け有料サイト、どちらに応募するのか迷ったのだが、「さかのぼってすべての作品を読んでもらえる」ところに魅力を感じ、2007年にゲイ向けサイトに投稿し、「飛田流」としてデビューすることになる。
ここらへんのくだりは正月のブログも参照。(※リンク先に18禁表現のバナーあり)
もし、
ゲイ雑誌に掲載された小説が
バンバン単行本になっていたら、
迷わずそちらに投稿していたと思う。
この選択のてんまつについては、
ご承知の通り。
ただ、この経緯が無かったら、B L ゲ ー ム のシナリオを書かせていただくことも絶対に無かった。
すべてのお仕事が終了し、ゲイ雑誌に投稿したらいいものかと思いつつも、
なにか引っかかるものがあり、
同人活動にシフトしたまま
時は過ぎる。
そして
さぶ休刊(廃刊)から、14年。
G-men休刊発表。
確かにトラブルめいた噂はネットでも流れ、wikiにも掲載されていたが、まあ、なんだかんだ言いつつも、これからもやっていかれるのかな、と思っていたので、びっくりとしたというより最初は信じられなかった。
今後デジタルコンテンツに特化していくということだが、いわゆる「デジタル同人」との差異が見えにくくなってしまうような。
で。
さっそく、同人DLショップに新たにG誌連載作家さんが参入。今後もどんどん増えていくのかもしれない。
それ自体は珍しいことではないけれど、やっぱ「作家が作家でいられる場所」というか、そういう目標みたいなのはあってほしかったな、と。
僕はネガティブなので、
「さあみなさん、これから頑張りましょう!」
なんて言えないけど、それぞれに新しい居場所ができればいいな、とは思う。
他人事じゃないってば。
本当は、最初のタイトルは「終わりの始まり」だけだったが、あまりにも生々しいので、「始まりの始まり」を付けた。
どこかで、いつかこんな日が来るのだろうな、と思いながら。
てか、どうするよ!
ゲイ向け創作の作家さんたち。
大御所中の大御所は、ご自身の名前で一定数の読者を獲得できるけど……。
ゲイ漫画は商業に近い同人誌(?)が出ているが、ゲイ小説でその類《たぐい》は聴いたことがない。
もう、ゲイ小説の文化、そして小説書きのプロへの道は閉ざされてしまったのか……?
*
紙媒体じゃないけど、僕がデビュー? したゲイ向けサイトも早々に更新停止に。
今でいうサブスク(毎月定額料金を払って過去の漫画・小説が読み放題)みたいなシステムだったけど、時代が早すぎたのか、それともゲイ向け創作はビジネスになりにくいのか……?
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