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メダロット2のテーマを20年越しに理解した話【考察】

「少年時代にいちばんハマったゲームは?」と聞かれたら、迷いなく「メダロット2」を挙げるだろう。それくらい思い出に残っているゲームソフトだ。

しかし、当時は物語の流れをかろうじて追いかけることができる程度で、制作者が込めた深いメッセージまで辿り着くことはできなかった。

昨年、レトロゲーム巡りをしていたときにたまたま「メダロット2core」と再会し、プレイする機会に恵まれた。
そのとき、初めて「メダロット2」の素晴らしいメッセージに気づくことになった。

これから話すことは、クリア直後にノートに書き殴った内容を、少し時間の経った現在の言葉でまとめたものになる。あくまで、自分なりの解釈なのでご容赦願いたい。

1.メダロット2のテーマ

私が解釈したメダロット2のテーマは、以下の二つである。

  1. 人は誰しも愛されているが、気がつく事が難しい。

  2. 親と子、友人同士の愛情のすれ違い。

2.イッキが抱える一番の悩み

子供にとっては大きな悩み

物語冒頭、主人公のイッキは親にメダロットを買ってもらう事ができずに、苦悩する所から始まる。よその子は普通に買って貰えている状況に、母親から愛されていないのではないか?という疑念を抱いている。

一見些細なことに見えるかもしれないが、
「流行りのおもちゃや、ゲームソフトを買ってもらえず、仲間の輪に入れない」
というのはイッキのみならず、現実世界の子供達にとって最もメジャーで最も大きな問題だ。

イッキのメタビー

イッキはこの問題を、
「コンビニ店員ヒカルの口車に乗せられ、お使いのお金でメダロットを買ってしまう。」
という最悪な形で解決してしまう。

ママとイッキ

なぜこの解決法が最悪なのかというと、母親を結果的に裏切り、自分で解決してしまったところだ。

母親はもちろんイッキのことは愛しているだろう。お使いのご褒美として、メダロットを買ってあげていたかもしれない。そんな未来の母親からの愛を、イッキは受け取る事が出来なくなってしまったのだ。

「イッキは母親から愛されているが、親と子の愛情のすれ違いが発生し、気がつく事ができない」

これが、「メダロット2」本編で解決しなければならないイッキの一番の悩みとなっている。

3.様々な人の愛情とすれ違い

ここで一旦ゲーム内の各章と、メインとなる出来事を確認したいと思う。

章と概要

  1. プロローグ
    イッキとママのすれ違い

  2. おどろ山
    カンちゃんと孫とヤナギのすれ違い

  3. メダロッ島
    イッキと両親のすれ違い、ロボトルで当確を表す。

  4. メダロポリス
    ハチロウと家族・友人とのすれ違い

  5. ロボロボ団基地
    アリカとのすれ違い

  6. コーダイン王国
    プースカフェとマルガリータのすれ違い

  7. 要塞フユーン
    ウォッカとヘベレケ博士のすれ違い

  8. 最終決戦
    ゴッドエンペラーと・・・

プレイヤーの捉え方で変わってくることもあるかもしれないが、ほぼ全ての章が愛情のすれ違いの話になっている。

交流によって成長するイッキ

念願のメダロットを入手したことにより、幸か不幸か様々な人のすれ違いドラマに巻き込まれていくイッキ。それによって周囲からの自分の愛に、少しずつ気がつき成長していく。

一つ場面をチョイスするならば、ロボロボ団基地編で、アリカの怒りを買ってしまうところだろうか。
それまでの事件ではアリカを巻き込まない為に、イッキが人知れず一人で解決していた。
これはイッキの愛情からくる行動だったか、アリカ側にも複雑な思いがあり、それが爆発してしまったのだ。

このように愛を受け取る難しさだけでなく、与える難しさも学んでいくことになる。

4.ゴッドエンペラーとはなんなのか

過去の自分との対峙

他者から愛され、愛することを学んだイッキの物語、その最終局面。
ラスボス、ゴッドエンペラーと対峙する。
悪役であるヘベレケ博士は、ゴッドエンペラーに対し歪んではいたものの、間違いなく愛情を注いでいた。
しかし、最強最悪のメダロットであるゴッドエンペラーは誰からの愛や命令を受け取る事ができずに暴走するのだった。

ゴッドエンペラー

もはやただのモンスターとも言える存在だが、既視感がないだろうか?
私はゴッドエンペラーの姿を、物語冒頭のイッキとどうしても重ねて見てしまう。

「誰からの愛も受け取れず、気づくことすらできない」

そんな過去の自分のようなラスボスとイッキは対峙し、ついにそれと向き合い乗り越える。
そんな意味が、ラストバトルに込められていると私は解釈した。

5.今作におけるメダロットの存在

クリアまで考察したわけだが、最後に一つになる事があった。
作中でのメダロットの存在である。

3以降と2以前では、扱いが少し違うように思う。
3以降ではメダロットを友達のように描写するシーンがあるのに対して、2以前ではあくまで道具、良くてペットくらいの存在として描かれている。

今作における、イッキにとってのメダロットの存在とは、

「メダロットとは子供が大人に対抗する手段であり、コミュニケーションの手段でもある」

そう解釈した。

まとめ

メダロット2は、

①「誰からの愛も受け取れず、気づくことすらできない」主人公イッキが、
②メダロットという他者との交流手段を手に入れ、
③様々な人の愛のすれ違い模様を通し、学び成長し、
④過去の自分を乗り越え、「愛し愛されることが出来るようになる」物語である。

以上が私が20年越しに理解した「メダロット2」のテーマだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。皆さんはどう解釈しましたか?ぜひコメント欄で教えてください!


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