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【いまさらレビュー】映画:ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を(ドイツ・アゼルバイジャン、2018年)

今回は、非常に風変わりな“暴走”映画:ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛をについての記録を残しておきたいと思います。
監督・脚本は、ドキュメンタリーでも手腕を発揮しているドイツ人のファイト・フェルマー。アゼルバイジャンの山脈地帯で撮影が行われています。脳内がブラでいっぱいの“変態”鉄道運転士をミキ・マノイロヴィッチが演じますが、美女がたくさん登場するのも見どころ?

おはなし

チャップリン、キートン、ロイド…古き良きサイレント映画へのオマージュか、それともエロオヤジの大暴走ファンタジーか…どちらと捉えるかで大きく評価が分かれるところだ。アゼルバイジャン・コーカサス地方の乾いた大地に生きる人々のリズムと、どこか調子っぱずれな笑いが、いかにもミスマッチ。なお、台詞はゼロ(※笑い声はある)なので、ストーリーに思い違いがあればゴメンナサイ笑

舞台はアゼルバイジャン。山岳地帯に点在する街を鉄道がつないでいる。主人公は定年間近な鉄道運転士。家々の間を縫うようにレールが敷かれているため、時折、洗濯物を引っ掛けることも。ある日車体に引っかかったのは、ブルーの柄があるブラジャーだ。鉄道運転士がそれを回収したことで、ドラマが生まれていく。

どうにもブラジャーの持ち主が気になって仕方がない鉄道運転士。定年を機に、持ち主を探すことにした。目星をつけた街で一軒一軒訪ね歩いたり、ブラジャー売りのフリをしたり、検診医とすり替わったり…何度もトラブルになるものの、持ち主は見つからない。

そのうち“悪事”がバレて街の男性たちからボコボコに。しまいには鎖でレールに縛り付けられてしまう。すんでのところで鉄道運転士を救ったのは、逗留中の宿で下働きをしていた少年だった。

その後、物干しロープにブラジャーと同じ柄のパンティーが干されているのを発見。隣にそっとブラジャーをぶら下げて立ち去る。鉄道運転士は自宅に戻り、救ってくれた少年との第二の人生を歩みだす。

一方、例の洗濯物を回収したのは、実は同じ鉄道会社の司令室で働いていた顔見知りの女性だった。灯台もと暗し、というオチ。

美女軍団がお出迎え?

なぜそこまでブラジャーに固執するのか?とにかく持ち主探しにハンパなく執念を燃やし、大暴走する鉄道運転士。見た目は真面目そうに見えるんだけどねぇ。

ある意味のぶっ壊れ具合(不条理)は、コメディー系サイレント映画へのオマージュなのだろうか。観る人によるかもしれないが、笑える度合いはまあそこそこ。

一方、訪ねる家には必ずと言っていいほど、美女が住んでいる。そして、たまに生着替えまで披露してくれるではないか。このあたりはいかにもエロオヤジの妄想チックだ。公式サイトによると、美女の皆さん、ロシア、ルーマニア、フランス、スペインなどなど各国から集まった女優さんなのだとか。魅力的なはずだよね。

2018年東京国際映画祭の記者会見の様子はきらびやかというほかない。

ドアを開けるたび、そこにはタイプの違った美人が…ブラジャーの持ち主探しをやめられなかった理由のひとつは、これかもしれないなと思ったりする。(実際にやると犯罪ですよ笑)

※写真はイメージ。本文とは関係ありません

もの珍しさだけで観てしまうと、ちょっと頭を抱えてしまう内容ではある。真面目そうな男性がブラジャーを手にしたからといって、とことん悲劇に見舞われるわけでもないし、もしかすると平坦で退屈なストーリーかもしれない。観る人を選ぶ作品。

サイレント映画へのオマージュ感やどこかしら絵本感をたたえつつ、小市民的“欲望”をコメディタッチで描いたとも評価できるので、寛容な感覚をお持ちなら一度ご覧になってみるのもいかがだろうか。

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