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男惚れする格好いい男たち㉟ vol.484
俺がこの歳まで積み上げた人生や読書感からくる、格好いい人間像について語ってみたい。
デビルマン(悪魔人間)の続編。
悪魔の体を手に入れた不動明の身辺は忙しい。
今までの魯鈍な不動から、際立つ運動神経と反射神経を有する男に変貌したことで、居候の立場から一転してある女からの羨望を受ける。
ある女とは、不動が居候させてもらっている家主の娘である。
名前を牧村美樹という。
思春期の娘の羨望が、羨望から偏愛、偏愛から愛情へと変化させてくのに時間はかからなかった。
不動明を軸に、デーモンたちの魔の手が美樹とその家族にも忍び寄る。
と同時に、氷河期の奥深き氷の世界から一つまた一つと蘇りしデーモンは、確実にそして秘密裏に人間界に巣喰い、人間を恐怖に陥れていく。
人間が悪魔に食われていく惨劇が巷の噂になってきている。
不動明は、飛鳥了の素志を遂げるため、人間を守るためにデーモンと闘い続ける。
その中での死闘はまさに凄まじい。
シレーヌとの闘いでは、最強のデーモンとしての優劣を争いその雌雄を決し、ジンメンとの闘いでは、食った人間の人面を己の甲羅に宿すという悪魔と対峙し一大撤退を食らわせ、親しかった近所の女の子の人面を映したその甲羅を、渾身の拳で貫くことになる。
不動は闘いの中で、徐々に闘うことの意味を失いつつある。
とりわけ、デーモンの出現以来、人間同士が互いに疑心暗鬼になり、勝手に憎み合い攻撃しあっていく。
まるでデーモンが人間に対する闘い方を熟知しているかのように、次から次へと策謀していく。
それは人間が自滅の道を自ら選んで歩んでいくかのようであった。
人間は醜い。
同時に不動は深い懐疑に陥る。
そんな醜い人間を救い出す意味はあるのかと。
そんな折、不動は一つの教訓を得る。
俺の味方がどこかにいるのではないかと。
デーモンは人間に対する攻撃法として、無差別合体という手法を取ってきた。
彼らは自身の有する瞬間移動能力と合体能力を駆使し、いつでも無造作に合体出来るのだが、特殊な精神状態を経なければ生命体を維持できない。
それは互いに無の境地に至ることである。
だから、そうした条件が揃わなかった合体の結果、多くのデーモンが自家撞着を引き起こし死に至っている。
もちろん、人間もその合体の犠牲にはなっているが。
たまたま無の境地を手に入れ無事に合体したとしても、その末路はデーモンに意識を乗っ取られた人間悪魔(新生デーモン)となり、その後、殺戮を繰り返す。
一方で人間の意識が勝った悪魔人間(デビルマン)も生まれる訳で、その場合、元のデーモンが闘いにおける弱者の場合、一瞬で他のデーモンの餌食になる。
その意識が人間に支配されようと悪魔に支配されようと、結局は、強いデーモンだけが生き残ることになる。
だが、運良く生き延びた人間の心を持つデビルマン(悪魔人間)がどこかにいるのではないか。
いや、きっといる!
不動が得たのはそうした教訓である。
不動の呼びかけに全世界からあっという間にデビルマン軍団が糾合された。
そんな中、牧村美樹・親子が、そのデビルマンを匿ったということで、牧村の家族もみんな悪魔ではないかとの疑いを受けることになる。
この頃、デーモンの無差別合体の結果、多くの人間が一瞬にしてデーモンに変貌するという事態が引き起こされていた。
人間はこれを極度に恐れた。
目の前の人間はいつ何時悪魔に乗っ取られるか分からない。
もしかしたら、既に目の前の人間は実は悪魔かも知れないという疑心暗鬼は、人間の心に静かに巣食い、この時すでに人間同士、互いに殺意を蔵していくのである。
人間はこうしてますます醜い争いを不動の前に現出することになる。
そんな時だった、飛鳥了が不動を裏切ったのは。
不動の心は、デーモンと人間との狭間で脆くも揺蕩う。
不動の苦悩と考えの飛躍はこの時から始まる。(続く)