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おくずかけ作りで多世代交流

伝えたい残したい郷土料理

こどもみらい研究所「ふるさとの食卓」東松島・あおい西集会所

 郷土料理に焦点を当て、地域の食文化を伝えるワークショップ「みらいに残す、ふるさとの食卓」が21日、東松島市あおい地区のあおい西集会所で開かれた。

 地区で暮らす子どもや大人計54人が参加し、おくずかけを調理、味わった。会場には昭和期の市内の写真、けん玉やおはじきなど昔ながらのおもちゃも並び、参加者は眺めたり遊んだりしながら世代を超えて会話を弾ませた。

 石巻市を中心に、全国でこども記者による情報発信を行う一般社団法人こどもみらい研究所(太田倫子代表理事)主催。東日本大震災に伴う移転や少子高齢化、過疎化で人と人とのつながりが希薄となっていることを背景に、多世代の交流を通し食や生活文化を伝える機会としてワークショップを開いている。

大きな鍋でおくずかけを作った
昔ながらの遊びを教わる子どもたち

 7月に集団移転先の二子地区(石巻市河北)で催しており、今回は第2回。大曲浜など東松島市内全域の移住者が住むあおい地区で実施した。

 地区の高齢者宅への訪問などを行う「見守り部会」が調理を主導し、子どもら参加者もコツを教わりながらお手伝い。彼岸に振る舞う料理であることからニンジンや肉類は使わず、うまみの凝縮されたシイタケやゴボウ、油揚げからだしを取ることなどを学びつつ作った。

 各家庭で材料や調理方法は異なるが、今回は見守り部会の平塚和子さん(68)のレシピに準じた。「実家は大曲浜の漁業者だったこともあり、おくずかけに肉、魚は使わないよう母や祖母から教わってきた。油揚げはあまり湯通しせず入れるなど、食材からしっかりだしを取るのがコツ」と語った。

 コンニャクやサトイモ、まめふ、温麺などを入れて具だくさんに仕上げた。とろみで時間が経っても冷めずにおいしいため、何度もお代わりする人もいた。

 矢本東小6年の岡元絢弥さん(11)は「料理の楽しさや難しさだけでなく、伝統的な食べ物であることも知った。とてもおいしい」と笑顔。渡辺恵美さん(42)は「地元の登米は『はっと』がポピュラーでよく食べていたが、おくずかけはまた違ったおいしさ。肉や魚を使わない由来などが学びになった」と話していた。

 会場には、NPO法人石巻アーカイブ提供の写真がずらり。中には「矢本町豚レース」(昭和50年代)の様子も。参加者からは「ブタを飼っている人がいたね」「これは大曲小の運動会じゃないかな」などと懐かしむ声が上がった。昔ながらのおもちゃも用意され、子どもたちは大人から教わって遊んだ。

 あおい地区会の小野竹一会長(76)は「地域で暮らす高齢者が子どもたちの作った料理をおいしそうに食べ、参加者同士が調理や会話を通じて交流を楽しんでいたのが印象的。これからも、子どもたちが他の地域で暮らす友だちに自慢したくなる地域にしていきたい」と見据えた。

 イベントは「宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金」の助成を受けて実施。次回は11月30日に女川町で開き、餅をついて雑煮を調理する。【泉野帆薫】




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