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郷土菓子を次の世代に

二子地区で多世代交流

 郷土料理を通して地域の食文化を学び、世代間交流を深めるワークショップ「みらいに残す、ふるさとの食卓」が18日、石巻市の防災集団移転地である二子地区内の会館で開かれた。子どもたちや保護者、地域住民ら約40人が参加し、昔ながらの「がんづき」と「ながし焼き」を作って味わった。二子地区は雄勝や北上、河北地区からの移住者が多く、地域に残る昔ばなしの読み聞かせもあった。

こどもみらい研究所「ふるさとの食卓」

 石巻市を中心に、全国でこども記者による情報発信を行う一般社団法人こどもみらい研究所(太田倫子代表理事)主催。東日本大震災後の移転や過疎化などで人のつながりが希薄になる中、食を通して多世代の交流と生活文化を伝える場として企画している。

 県の「NPO等による心の復興支援事業補助金」を活用し、本年度は4回実施。7月に二子地区でずんだだんご、9月に東松島市あおい地区でおくずかけ、11月には女川町で雑煮、再び二子地区に戻って、がんづき・ながし焼きを作り、郷土料理の奥深さを再確認しつつ、次の世代に味をつないだ。

地域に伝わる物語を朗読した
昭和世代から令和世代へ、伝統の作り方を受け継いだ

がんづき・ながし焼き

 調理は住民が主体となり、がんづき作りからスタート。ボウルに薄力粉と砂糖、塩を入れて混ぜ、型に流し込んで蒸した。子どもたちはへらで混ぜたり、型に生地を流し込んだりした。クルミ入りの白いがんづきと黒糖を使った茶色いがんづきの2種類作った。

 ながし焼きは薄力粉と卵、牛乳などで手軽に作れるお菓子。子どもたちはホットプレートで焼かれた生地をひっくり返すなどし、最後にバターとハチミツをかけて完成させた。

 試食では「なつかしい味」や「甘くておいしい」などの声が上がり、同地区で暮らす高橋朔久君(4)は「がんづきもながし焼きもどっちもおいしくて満足。楽しかった」と話し、同市鹿又の武山暖依ちゃん(7)も「調理がとても楽しく、うまく作れたのでうれしい」と語り、出来たてを頬張っていた。

食文化の継承にも大きな役割

 調理を担当した今野吉子さん(85)は「雄勝から二子地区に移転後は、なかなか交流の機会がなく、こういったイベントはありがたい。とてもにぎやかで子どもたちが楽しみながら菓子作りをしていた」と話し、素朴ながらも地域色のある料理を伝えた。

くるみがのるがんづき

 二子西町内会の山下憲一会長(77)も「ずんだだんごに続く懐かしい味。近所でおすそ分けしていた時代を思い出した。地域の交流とともに食文化の継承にも大きな役割を持つイベントだった」と話していた。
【渡邊裕紀】


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