新生「湊中ソーラン」完成 東京湊中会が母校応援 石巻出身 有名振付師が指導
石巻市立湊中学校(後藤正章校長)に16日、桃生町出身のプロダンサー、振付師の三浦亨さん(76)=東京都新宿区=が訪れ、全校生徒57人を対象にダンス教室を開いた。伝統の踊りである「湊中ソーラン」に三浦さんがアレンジを加え、より見応えのある演舞が完成。細かく技術指導しつつ、笑顔で楽しんで踊る大切さも伝えていた。新しく生まれ変わった湊中ソーランは5月の運動会で全校生徒が初披露する予定だ。
三浦さんは、石巻高校、日本大学芸術学部卒。キャンディーズの「年下の男の子」、松田聖子の「裸足の季節」、荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」など多くの振り付けを担当。平成20年のNHK紅白歌合戦では、ユニット「羞恥心」のバックダンサーとして出演した。
教室を企画したのは、首都圏在住の湊中卒業生で作る「東京湊中会」。震災後、寄付金などで母校に思いを寄せてきたが、「もっと違う形で後輩たちを元気付けたい」との思いでダンス教室を開催。菊地潔副会長(76)と三浦さんが石巻高校同期という縁で実現した。
湊中ソーランは、全国で広く踊られるアップテンポな「南中ソーラン」が基。3年生が運動会で披露しているが、近年は生徒数の減少に伴って全校生徒で取り組んでいる。三浦さんのアレンジは「光栄」と、同校が二つ返事で快諾した。
三浦さんは、間奏で横移動するステップを入れたり、終盤の見せ場でタオルを振り回したりと、見る側も踊る側も楽しめる工夫を加えた。踊りを格好良く見せるフォーメーションや腕、足の角度、目線、声の出し方なども指導した。
勢いよく腰を落としたり、腕を振り上げたりする従来の振り付けを軸にしているのは変わらないが、三浦さんは「網引きや魚を放り投げるシーンを想像しながら踊るだけで動きも変わる」と助言。切れ味良く踊るため緩急を付けたり、止めるところは止めたりとプロならではの技術を組み込んだ。
生徒会長の佐々木桐矢さん(2年)は「ダンスにアクセントが加わり、踊っていてすごく楽しい。運動会に向けて練習を頑張りたい。ワクワクする」と目を輝かせていた。
短時間で新しい湊中ソーランを作り上げた三浦さんは「うまく踊るより、楽しむことの方が大事。少しでも古里の子どもたちのためになれたならうれしい」と語り、菊地副会長も「子どもの元気な姿が見られて、逆にこっちが元気をもらった。今後も支援していきたい」と目を細めていた。【山口紘史】