畠中恵『しゃばけ』
畠中恵さんの小説『しゃばけ』を読んだ。
『しゃばけ』は、江戸を舞台に、体の弱い廻船問屋の若だんな一太郎と、一太郎に使える妖(あやかし)たちが繰り広げるミステリー要素もはらんだ時代小説だ。
以前から作品の存在は知っていたのだが、時代小説は予備知識がないと読むのが難しい気がして手が出ずにいた。
だけど、なんとなく今まで読んだことのないジャンルの本が読みたいなと思っていたところに、可愛らしい表紙の本書に出会い、読んでみる気になった。
心配していた歴史の知識についてだが、それほど問題ではなかった。
馴染みのない言葉は調べればすぐに出てくるし、あまり歴史の知識を要する内容ではないので、抵抗なく読み進めることができた。
『しゃばけ』という作品では、"妖(あやかし)"という、妖怪のようなキャラクターが無くてはならない存在だ。
妖といっても、化け物のようなものばかりでは無い。
一太郎に使える佐助と仁吉は、普段は人間として生活しているし、他にも一太郎の周りにいる妖たちは愛嬌のあるキャラクターばかり。
私が特に気に入ったのは、鳴家(やなり)という妖。
小さな赤鬼のような容姿で、独特の鳴き声をする。
生粋の時代小説ファンの方はこの作品を子供っぽく感じるかもしれないけれど、ファンタジー好きの私には、非現実的な設定もすごく楽しめた。
『しゃばけ』シリーズはすでに10巻以上出ているようなので、コツコツ読み進めていきたいと思う。
ちょうどいい機会だから、他の時代小説にもチャレンジしてみようかなと思っている。