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学ぶのが楽しいねんというご褒美〜diary week8

2024/09/30 Mon
9月も終わり。この日は、古民家に住む友人が、手付かずだった部分を改装し、民泊とコミュニティスペースをオープンしたというので、見に行くことに。
ここんちは、酒屋を営んでいた近江商人の邸宅だったそうで、母屋も広く、土間には5口ものおくどさんがあり、女中部屋や納屋、蔵もある本物の古民家。立派な梁も、カウンターにしている水屋も、女中部屋のハシゴを登って中2階に上がっていく構造も、どこを切りとっても、時間にしか作り出せない味わいがある。古い物が大好物な私は、何度も歓声を上げながら、隅々まで堪能させてもらった。
環境にも配慮されていて、ゲストハウス部分の電気は全てソーラーパネルからの自家発電だったり、トイレはバイオガストイレで、微生物の分解・発酵で発生したガスはガスコンロにつなぐこともできるんだそう。
人脈があって、明るくって人を惹きつける彼女。これからも地域コミュニティーのハブ的拠点として、人と人をつなぐ素敵な場所になっていくんだろうな。私も時々参加させてもらおうと思う。

10/02 Wed
この日は地元の自治会長会にお邪魔して、子どもの居場所づくりの取り組みを紹介させてもらうことに。こういうことは決して得意ではないし、経験もあまりない上、じっと資料に目を落としながら話を聞く自治会長さん達が立ち並ぶ光景というのは、何とも言えぬ迫力があって、ど緊張。
何とか説明を終え、基本的には好意的な反応が返ってきてホッとする。
毎度ご指摘を受けるのは、安全面、対象者がどういった年齢や地域層になるのかという話。地域の中で信頼を得ていくためにも、度々指摘を受ける部分については、こうしていますと説明できる対策をしっかりしていくことだなと改めて思う。友人と大先輩が応援にと同席してくれて、とても心強かった。「慎重に、かつ積極的に」という励ましの言葉も頂いて。

10/03 Thu
最近自ら勉強をし始めた長男に、夕食の時に、どうしたん?と聞いてみた。どうやら具体的な目標ができたというのが1つ、そして次に彼が口にしたこの一言、
「でも、何より学ぶことが楽しいねん。」
思わず声が上ずって「よかった!めっちゃ嬉しい!」と言って、乾杯をした。
本来学ぶことは楽しいもの、それを見失わないでほしい。
それが、”勉強”について、親という立場で関わる上で、最も大切にしたいと思ってきたこと。だから、課題は課さない。勉強しろとは言わない。本人が望まない限り、英語や塾などの習い事もさせない。ワークブックの類のものも買わない。
周囲は小学校に入る前から英語を習い始め、小学校高学年頃からは塾に行く子も増えてくる中、彼はずっと望まないので中2になる今も行っていない。
家に帰ってきたら、自分の時間。思う存分、自由に過ごしたらいい。
やらされることが続くと、本人の興味そっちのけで与えられ続けると、学ぶことの面白さが遠のいてしまう。自分の好奇心1つあれば、自分でどこまでも探求はできるはず。一問一答形式の勉強に長けることに、日常的な意味はあまりなくて、自ら考えて、問いを立てて、知らなかったことを知って、そして目の前に見えていた景色が更新され違って見えてくる、自分の日常の行動が変化する、それこそが学びの楽しさであるはずで、その芽を摘みたくない。
迷いがないわけではないが、それでも逡巡してたどり着くのは、いつもこのことだった。
子育て歴14年、彼の「学ぶことが楽しい」という言葉は、
その日々を認めてもらったようで、とっても嬉しかった。

10/04 Fri
この日はこどもの居場所づくりメンバーでのミーティング。
11月の再オープンに向けて、準備を進めていく。11月は漆喰塗りのWSを2日間にわたってやる予定で、よりよく運ぶよう、メンバーと知恵を絞る。
頂いた助成金の使用先についても検討。ボードゲームを何か仕入れようということになり、ボードゲーム愛の深いメンバーが次々とお勧めを紹介してくれる。ここに沼あり。
ひとまずボードゲーム大会を開催しようということに。
プロセスも楽しみながら、作っていけるといい。

10/05 Sat
この日は夕方から山中の一棟貸しのお宿へ。
外遊びサークルで子育てを共にしてきたメンバー8組が集う。
子沢山の家が多いもんだから、3歳から中学生まで子どもたちの数がものすごい(もう数えてない)。焚き火を囲んで遊ぶ子、たこ焼きをひたすらに焼く子、ゲーム機を囲む子、ハンモックに揺られている子、人狼で盛り上がる子。皆が小さな群れを自由に行き来しながら、したいことをして楽しんでいて、まるでこどもの村。ここの母ちゃんたちは、制止しないことに長けているもんだから、より伸びやかで自由だ。
いいなあとその様子を眺めながら、料理が得意な母ちゃんたちの豊かな持ち寄りごはんを囲み、お酒も進み、なんとも楽しい一夜。

10/06 Sun
翌日、深夜まで騒いでいたらしい子どもたちと、昼前には撤収して、夫と待ち合わせ、子どもたちをバトンタッチ。
私は、臨床心理士で現代のこどもの発達や教育の問題について、研究・発信されている武田信子さんの講演会へ。『やりすぎ教育』(2021年,ポプラ社)の著書で知られ、まるでより良い商品を市場に送り出すような子どもに対する過剰な教育的関与が、こどもの自由と権利を脅かしていると警鐘を鳴らし、”社会的マルトリートメント”という概念についての理解広め、少しでも社会を変えていこうと活動されている。
普段東京にいらっしゃって、なかなか直接にお話を伺える機会はないなと思っていたところ、滋賀に来られるというので喜んで聞きに行った。
たくさん印象的な話があったが、例えばこんな話。
「初めて子犬を育てようとしている子どもを、あなたならどうやって支えますか?」と問いかける武田さん。会場からは「育て方や世話の仕方についての情報を与える」「本を買ってあげる」「犬の世話に詳しい人とのつながりを作る」、つまりその子自身が子犬を育てる知識とスキルを身につけることができるよう支援するよという返答。
武田さんは「そうですよね。子犬を預かることはしませんよね。だとすると、今子育て支援といって、子どもを預かる保育園を拡充している、保育料を無償化し、低年齢からの受け入れを増やし、例え病気をしても預かってくれる場を増やそうとしている、これは本当に”子育て支援”なんでしょうか?」と問いかける。自分が出産するまで赤ん坊に触れる機会のない今の人たちに、子育ての知識・技術が一つ一つ身に付くよう支えることが何よりの”子育て支援”でしょと。そして、地域でもっと寄ってたかって子育てすること。ほんまほんまやと頷きながら聞く。 
「子育てで大切にしていることは?」と、デンマークのあるお父さんに尋ねたところ、「デモクラチ=民主主義だ」と返答が返ってきたというエピソード。海外の子育て事情を見ると、日本はまだまだこどもの声を大切にできない、それどころかディスエンパワメントしてしまっている。子育てにもっとデモクラチとダイアローグ=対話を、という呼びかけ。
大人が無意識に持っている常識を疑うこと。
たくさんうなづきながらお話を聞く。
参加者同士での対話場面もたくさん作ってくださり、そこでダイアローグの手法を練習するワークもしながら、あっという間の3時間半。


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