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夕焼けは(詩/シロクマ文芸部)


【夕焼けは】

自宅のデスク
窓際にほおりっぱなしにしていた
スケッチブック

美術の課題
あしたの空

今日の空を見据えることさえ
必死なわたしに
あしたのことなんて描けるのだろうか

そんなことを考えていることさえ
だんだんけだるくなって
キッチンの冷蔵庫に逃げて
みかんジュースを飲んでしまった

デスクの前に戻ったとき
描きかけの雲に日が射していた

かきかけの空に
夕焼けが映りこんでくる
日が沈む
日が沈む

かきかけの空なのに
もう完成したみたいに
一枚の景色になってしまっている

あしたのことなんて
誰も知らない
それでいいんだ

あしたの空は
今日の空に続く空

わからないよと悩むことも
しあわせになりたいって思うことも
みんなみんな自由

世間というきまりごとのない
この部屋の夕焼け空の端っこにいて
ぼんやりと生きることを見つめていた

競争という
何の課題もない風の中にいて
ひらめいた
はためいた
描きたくなってきた
わたしのなかに映るあしたの空

この町のあちらこちらで
とくんとくん
とくんとくんと
みかんジュースを
飲みほしてゆくように
日が沈む
日が沈む

夕焼けはあしたへと続く色
遠くの信号機の赤色に
力強く夕日が反射している

停まらない夕焼け空

停まらせてはいけない
手放しで描きたくなってくる
今日という日の
しずかな夕焼け空のように

どこまでも
どこまでも
なにげなく続くにんげんのあしたを



※シロクマ文芸部/お遊び企画「夕焼けは」に参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。







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