見出し画像

自分の足で歩けること

「今日はどこも怪我してないの?」

今年の夏、久しぶりに会った友人の、会ってすぐの一言がこれでした。

思えば、以前会った時は左足を捻挫していましたし、そもそも、彼女と出会った高校生時代の2/3を、私は両膝がかなり不自由な状態で過ごしていました。

大学生になると足が回復してきたものの、今度は体調が悪いことが多く、彼女と会ったのは大学に入ってすぐの頃に1、2度ある程度。彼女にとっては「どこも怪我をしていない」状態の私は珍しいのだった、とその一言を聞いて思い出しました。

「うん、どこも怪我してない」

そう答えた時に、その状態の貴重さが私の心にも響きました。どこも怪我してない、なんて、本来は"普通のこと"かもしれません。でも、そうではないのです。

高校生の頃は、自宅から最寄り駅まで歩くこともできず、毎日のように車で送り迎えをしてもらっていました。学校までの道のりも苦しく、電車内では友人たちに席を譲ってもらい、私の鞄も気がつけば友人たちの肩にかかっているというのが常でした。

だからでしょう、すっかり歩けるようになった今でも、自分の足で家に歩いて帰れた時、何とも幸せな気持ちになるのです。

もしかすると、いつかまた、捻挫や骨折をするかもしれません。病気や年齢によって、思うように体が動かなくなることだってあるでしょう。

その不自由さを知っているから、ただ歩けるというだけでも、私は幸せな気持ちになれるのです。星空を見上げながら家に帰るこの頃、私は、自分の足で歩ける幸せに浸っています。


*******
この作品は、アドベントエッセイです。クリスマスまでの24日間をワクワク過ごしてほしい、という思いから、「24年の人生で見つけた、24の幸せ」をテーマに毎日1本ずつエッセイを書いています。

もし、明日も読みたいと思っていただけた際には、ぜひフォロー&通知オン(できれば)をよろしくお願いします🕊

いいなと思ったら応援しよう!

元町ひばり
最後までお読みいただき、ありがとうございます。ここは、誰でも入れる「言葉の庭」ですが、もしあなたの心に響くものがありましたら、応援のほどよろしくお願いいたします🕊