映画館で映画を観ること
コロナ禍で失ったものを数えればきりがありませんが、その中の1つに「映画館で映画を観ること」があります。
もともと映画館で映画を観ることは好きでしたが、コロナ禍で「行けない」状況を一度味わったからでしょうか。映画を観るなら映画館にしよう、と最近は思うのです。
平日の昼間の、貸切状態の映画館。休日の、人でいっぱいの映画館。どちらで映画を観ても、私は幸せを感じます。
貸切状態の映画館で観る映画は、まるで自分のためだけにスクリーンがあるかのような、贅沢な気分に浸りながら映画の世界に入り込むことができます。大きい音を全部1人で受け止めるので、より深く映画の世界を感じることができるような気がします。
人でいっぱいの映画館だと、他の人の笑い声やポップコーンの匂いといった他人の気配に、「誰かと一緒に観ている」感覚を覚えるので好きです。自分が笑ったそのタイミングで、どこからか笑い声が聞こえてくると、「みんなも、ここで心が動くんだな」と他の人の心の動きがリアルタイムに分かります。そのことで、より強く映画の力を浴びることができる気がするのです。
もちろん、他人の気配が時に問題になることはあります。まだ私が高校生くらいの頃に観た映画で、途中から隣に座っていた女性が号泣し始めたのです。彼女が心動かされた気持ちは分かるのですが、私はスクリーンの中の出来事よりも隣が気になって気になってしかたありませんでした。
映画も動画も、今は、スマートフォンで簡単に見ることができてしまいます。その手軽さはもちろん魅力ですが、からだ全部を使って映画を観る時間には敵わないなぁと思います。
たとえ、時に集中して観ることができなくなったとしても、そういう出来事も含めて、1つの豊かな思い出になると思うのです。
そんな幸せな時間が約束されていると思うだけで、まだ内容の分からない映画でも、心から楽しみにすることができます。
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この作品は、アドベントエッセイです。クリスマスまでの24日間をワクワク過ごしてほしい、という思いから、「24年の人生で見つけた、24の幸せ」をテーマに毎日1本ずつエッセイを書いています。
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