読書記録 金原ひとみ 蛇にピアス

蛇にピアス 金原ひとみ
芥川賞

内容は若干過激だが、文体はすっと入ってきてすごく読みやすかった。もしかしたら今年9冊目だが、1番読みやすかったかもしれない。

ピアスや刺青といった肉体的な痛みや、セックスの描写によって表現される若さの中にある青く尖った部分、またその中にある純粋さのようなものを感じた。大切な人はいないと言いながらもアマを失ったルイの喪失感を痛いほど感じた。アマの純粋な愛はすごく若くてまっすぐで、それを情け無いと思うルイの気持ちも少し分かる気がする。そしてシバさんの中にあるサディストな狂愛。これが一番厄介だと思った。

ルイの舌のピアスがどんどん拡張されていく描写と麒麟と龍の刺青が完成されていく描写、それとともにルイの心情も徐々に変化していく。このリンクはすごく綺麗だった。

刺青に対して、日本ではこわいイメージがある。もし仮にそれが世間や人間に、私に近づくな、私は陽の光が届かないところへ行きたいのだという意思の表れなら、それはなんだか分かる気がした。

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