玄関など、お客様の目につく所に大きい石や美しい置物を置いたりすることがあります。特に城では権力の象徴として、石垣に巨石を使用する場合があります。
松本城の石垣で一番大きい石が、太鼓門の目立つ所に置かれた玄蕃石(げんばいし)という大石です。太鼓門は枡形[1]になっているので、外から入ると否が応でも目に入る位置にあります。
高さ約4m、重量は22.5tある玢岩(ひんがん)です。玢岩は大きくは安山岩に分類され、石基がやや荒いものをいいます。
天守閣の石垣には山辺石(やまべいし。石英閃緑岩)が使用されていて、松本市東部、薄川沿いの山辺地籍で採取されたと考えられています。
玄蕃石も山辺周辺から持ってきたかもしれません。
その玄蕃石の運搬に関しては、次のようなお話[2]が伝わっています。
石川康長は石川数正の長男で、玄蕃頭(げんばのかみ)と呼ばれていました。その康長が運んだので玄蕃石と呼ばれたということです。
こういった恐怖統治は長続きしない気もしますが、それはさておき。
重機もない時代に、よくもこんな大きな石を持ってきたもんだと感心します。
松本城にご登城の際には、ぜひチェックしてください。
参考文献