割り勘である理由
先輩、後輩の間柄にはやはり「奢り」が存在する
本日の飲み会の集合場所は関内駅。
横浜駅からほど近いオシャレ飲み街だ。(と勝手に思っている)
僕が勝手に親友だと思っている先輩とのサシ飲み。
僕に飲み屋選びを任された今回は、楽しみすぎてかなり前から飲み屋を探し始めた。
昔、父に連れられて行ったジャズバー「bar bar bar」に行きたいと思い、予約の連絡を入れたところ昨年の3月で閉店し、現在はジャズレストランになっていた。
正直ここに決定しようとも思ったが、飲みに行く相手は漢気のある先輩、奢られる可能性がある今回は少し予算オーバーだ(僕が金額を気にせず気持ちよく飲める金額ではなかった)。
ということで、おしゃれバーに候補を絞って見つけたのが今回の飲み屋「Bar Noble」
各々早夕飯を食べて18時に集合、早速サシ飲みの始まりだ。
なんと言ってもこのバー、世界一位に輝いたカクテルを作るマスターがいる。
そんなおしゃれバーに1番乗りで入った僕たちは、その雰囲気にやや緊張しながら「ソルティドッグ」と共に話を始めた。
最近の出来事を語りながら2杯目の「モスコミュール」を飲み始めた頃には僕たちは既に場に馴染んでいて、それに比例するように新しいお客さんが次々と入店してきていた。
バーということで、正面に綺麗に陳列されているボトルを見ながらジンの話をしていると、バーテンダーさんに北海道のジン「ohoro」をオススメしていただき、その独特のペパーミント香りを体感しながら2軒目に行くことに決めた。
Jazzを諦めきれなかった僕が選んだのは、まもなく閉店してしまう「Wind jammer」
店が遠くに見えた頃には入店待ちの長い列があり、到底すぐには入れそうになかった。
店の外まで聞こえるお客さん達の拍手喝采をゆっくりと通り過ぎ、僕たちが次に選んだのは「Bar Great Harry」
入り口の階段を少し上がり、案内された席に座りながら着ていたアウターを脱いだ。
この店も落ち着いた雰囲気で、とても心地がよくクールなバーテンダーが作るお酒で気持ちよく飲み始めた。
せっかく横浜で飲んでいるなら、そこのお酒を飲みたいと思った僕が頼んだのは「横濱」。
マスターが言うには、むかし軍艦が停泊していた港の名前がついたカクテルは多く、世界各地でこの「横濱」も飲まれているのだとか。
知識が一つ増えた僕たちは、趣味の話を始めた。
最近の流行にのって始めたサウナが最高だとか言いながら、次にマスターおすすめのジン「HACHIBAN」をストレートでいただいた。
酒造がある石川県の皆さんの無事と早急な復興を願いながら飲んだこの1杯は、とても深くジンらしい味わいだった。
そして、僕たち2人はゆったりと流れる時間と美味しいお酒に酔いしれて、この時の尊さにしみじみと感謝しながら最後のお酒として、僕たちが大好きな「季の美」をジントニック頼んだ。
せっかく2人で4時間も飲んだのに、僕が書いているのはお酒のことばかりだ。
だがそれでいい。
「まるで1人でお酒やバーの雰囲気を愉しむように2人の時間を過ごす」
これができる相手はそうそういない。
ありがたいことに、先輩もそう思ってくれていていつも奢ってくれる。けれど、僕が伝えたい先輩への感謝や喜びの気持ちが、それによって跳ね返されるような感覚も少しあった。
今回の飲み会は割り勘にしたかった。
先輩と対等になりたいからではない。奢りというものに感謝する分の気持ちまで、全ての感謝や喜びの気持ちを全力で先輩に届けるために。