#幸せとは〜帰り道に足を止められること〜
私は、電車通勤をしたくない。閉塞された空間と、自分が運転しているわけではない乗り物が苦手だから。
今の職場へは自転車で通っている。15分強かかるけれど、朝夕のちょっとした運動は、健康づくりの手助けをしてくれていると感じている。
真冬の通勤は、きつかった。
まだ太陽が昇りきらない薄暗さの中自転車を漕ぐ。
前面から浴びる風の冷たさ。手袋をしていてもなお悴む指先。無意識のうちに縮こまってしまう肩。
春になるのが、恋しかった。
冬至が過ぎて間もない頃は、本当に日が長くなっているのか?と甚だ疑念を抱いていたが、立春も過ぎ、三寒四温の候を迎えると、名実ともに春に近づいていることを実感できる。
それは、日差しの温かさのおかげであったり、生ぬるい風のおかげであったり、と要因は様々にある。
ある日の帰り道。
道の端がピンクに色づいていることに気がついた。
あれ?あんな木あったっけなぁ。
自転車を漕ぐ足をゆるめる。
近づくと、梅の花だということが分かる。
あ、素敵。
気づいたら手持ちの携帯で、パシャパシャと何度もシャッターを切っていた。綺麗。
帰り道に周りを見渡せる上に、足を止める余裕があること。
「春の予感だ」と嬉しくなってカメラに収めたくなること。
私にとって、これくらい余裕のある心持ちでいられるということは、幸せを構成してくれる大切な要素である。
春に咲く花を見て、温かい気持ちになれるということ。
季節は巡り、夢にまで見た''春''がやってこようとしていること。
幸せだなぁって、思いたい。
明るいおうちに帰りましょう。