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英語学習のプロセス(第二言語習得論)と英語学習初心者におすすめなコンテンツ

 『英語学習の科学』を読み終えました。これまで、第二言語習得研究の本は日本語学習者向けのものが多かった気がするんですが、研究も聞くようになって十数年、こうやって一般書レベルで英語学習についても研究論文(と関連書籍紹介)が出てくるようになりました。

言語学が前提となる第二言語習得の研究は、ちょっととっつきにくいですが、ある程度読むだけでも学びが多いです。英語学習を第二言語として学ぶことそれ自体については全然考えたこともないかも、という人は大学生向けのインタビュー web 記事もありますので、ぜひ一度読んでみてください。

 第二言語習得研究によれば、日本人は英語が苦手というよりは「日本語が英語と言語学的に遠く、習得しにくい言語」であって、英語話者からも日本語は遠いものであり、言語的な系統として学びにくいものであることがわかります。

この『英語学習の科学』では、具体的な実験から「この学習法ではこういう俗説はあるが、実際こうである」という結果が導きだされているので、色々英語学習をこれまでやってきたものの、我流だったり、迷いながら進めている人には大きな指針になること間違いなしです。

自分の場合も迷っていた部分がなくなったので、この本で紹介されている研究や実験を知れたことは非常に大きかったですね。

 英語学習。この本で、研究で個々のアプローチについての長所短所、有用性、流布する噂の真偽については書かれているわけですが、幼少期に英語ネイティブな環境に身を置くような学び方をせず、高校生~社会人が英語学習を行う場合は、リスニングと文法が最初にすべきアプローチになるのではないかと考えられます。
 これは、いわゆる脳内での「認知」や頭の中で新しい概念である英語というものを扱う際に、どうしても必要になるものだからです。

リスニングというか、英語を聞いて『音素』と呼ばれる個々の音をわけてちゃんとリズムを取って覚える、という方が近いです。フランス語だとリエゾンと呼ばれる現象も、英語でも起きていたりします。そういった音を学ばないと、頭の中でも再現できず、英語に対しての認識の解像度が下がってしまいます。

その意味でも、よくおすすめとして出てきますが、日本の図抜けて優秀な英語学習のコンテンツは NHK のラジオ英語です(余談→暗記が得意な人だったら、最初は単語帳熟語帳を片っ端から覚えるという手もあります。これでも一定の成果は得られます)。

どのレベルのテキストでも非常に優秀で、初めてみて、学習を長く続けれそうだと感じることができれば、成長している人が多い番組なのでおすすめです。国立受験を視野にいれている人から、省庁などに勤める方まで、まず誰でも私が最初にすすめるのがこのコンテンツです。

TV の方はエンタメになってしまうので、最初の頃は特にラジオ英語ではないと意味がないというところにポイントがあります。特に最初の頃は視覚情報を省き、文字情報と音声のみに集中したいところです。

映像があると、とっつきやすさはあるのですが、映像ばかり頭に残ってしまい、何の概念をどう脳内で扱っているのか不明瞭になる部分もあります。なれるまでは、英語という概念に集中するためにも、ラジオ英語講座がおすすめです。

欠点としては時間がかかること、毎週 NHK ラジオ講座のアプリか、radiko で聴いておかないと音声は別途購入する必要があることですが、語学学習はとにかく時間をかけて結果をだす必要のあるものの一つです。確実に成果を出した先達のいる、この講座はむしろ時間をかける価値があるとは思います…けど、相性もあるので注意したいところ。

今の時代は映像や動画じゃないと何にも頭に入ってこない人もいると思います。

ただテレビや動画で学ぶ場合は、必ず後から自身の頭とノートだけで復習してみてください。結局何をどう学んで、その学習を踏まえてこれから何を学ぶ必要があるのか、という指針が立たないのであればコンテンツを消費するだけで、頭に何も残っていない可能性もあります。

時間と学ぶ気持ちだけ使って、頭で英語という概念を扱うことに対して具体的な手立てが生まれていないのであれば、それは学習しているかどうかは怪しいところもあるかもしれません。

とはいえ、英語学習は趣味で行う場合も多いものです。そういう場合のアプローチは好きにした方が楽しいし、続きやすいと思います。例えばこの本でも、アプリでの学習でも一定の長期的な記憶はできている、と研究結果がでてますし('ω')

たのしくできるなら、それも良し!




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