温故知”芯”~へっちゃら解釈~『Impro for Storytellers』≪第６章：②Being Negative（ネガティブであること）≫
前置き
このブログのタイトルにある「温故知芯」とは、私が大切にしている考え方を表した造語です。先人の知恵や経験を深く理解し、私なりに、その本質を捉えることによって、新たな発見や創造に繋げたい。そんな想いをこの言葉に込めています。
今回は、前回のnote記事（▽こちら）からの派生note記事です。
※「物語を妨げる行動リスト」のひとつを詳細に解説します。
おさらい
このnote記事では『Impro for Storytellers』（Keith Johnstone (著)）
の、第６章 Making Things Happen の解釈について拙筆を走らせます。
この章では、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を阻害する様々な行動が挙げられています。
これらの行動を理解し、適切に対処することで、プレイヤーはより効果的に物語を構築し、観客の興味を引きつけ続けることができます。
今回は、以下の行動について、解説します。
Being Negative（ネガティブであること）
「Making Things Happen」セクション内の「Being Negative（ネガティブであること）」の内容は、即興劇（インプロ）において、物語の展開を妨げ、観客の興味を失わせる否定的な態度や行動を指します。このセクションでは、ネガティブな行動がどのように物語の可能性を狭め、観客を退屈させるかを説明し、それを克服して物語をより面白くする方法を提案しています。
「Being Negative」に関する主なポイントは以下の通りです。
ネガティブな行動とは:
否定的な発言: シーンや他のプレイヤーの提案に対し、「嫌だ」「無理だ」「つまらない」などと否定的な言葉を使う。
悲観的な態度: 物語の展開に対し、常に悪い結果を予測し、悲観的な反応を示す。
消極的な行動: 物語を前に進めるための行動を避け、受け身で消極的な態度をとる。
問題点の指摘: 常に問題点や欠点を指摘し、良い面を見ようとしない。
低い期待値: 物語の展開に対して期待値を低く設定し、面白さを否定する。
感情の抑制: 喜怒哀楽などの感情を表現することを避け、無感情または冷淡な態度をとる。
ネガティブな行動の具体例:
おばあさんへの訪問を拒否: 「おばあさんのところにクッキーを届けて」という提案に対し、「おばあさんはいつも文句を言うし、臭い」などと理由をつけて拒否する。
状況への不満: 雨が降っている状況に対し、「ついてない！」などと不満を言う。
パーティーへの不満: パーティーの場面で、「楽しくない」と不満を言う。
せっかくの機会を否定する: 良いことが起こりそうな場面で、「どうせうまくいかない」などと期待を打ち消す。
過去の失敗を繰り返す: 過去の失敗を引き合いに出し、「また同じことになるだろう」などと将来を悲観する。
提案の拒否: 「〜をしよう」という提案に対し、「でも〜」と、すぐに反対する。
ネガティブな行動の弊害:
物語の停滞: ネガティブな反応は、物語を前に進めることを妨げ、展開を停滞させる。
観客の興味喪失: ネガティブな態度が続くと、観客は物語に飽きてしまう。
展開の制限: ネガティブな発言や行動は、物語の可能性を狭め、面白い展開を阻害する。
キャラクターの魅力低下: 常に不満を抱えているキャラクターは、観客の共感を呼ばず、魅力的ではない。
笑いの喪失: ネガティブな態度は、物語にユーモアを生み出す機会を減らし、笑いを奪う。
舞台上の雰囲気の悪化: ネガティブな発言や行動は、他のプレイヤーのモチベーションを下げ、舞台上の雰囲気を悪くする。
物語の魅力の減少: ポジティブな展開が抑制されると、物語の魅力が減少し、観客の満足度が下がる。
ネガティブな行動の修正と活用:
ポジティブな反応: 提案や状況に対し、否定的な言葉を避け、肯定的な言葉で応答する。
積極的な関与: 物語を前に進めるための行動を積極的に行い、受け身な態度を避ける。
機会の創出: ネガティブな状況を逆手に取り、新しい展開やチャンスを生み出す。
感情の表現: 喜怒哀楽などの感情を豊かに表現し、キャラクターに深みを与える。
状況の転換: ネガティブな状況を、ポジティブな方向に転換させる。
ネガティブな要素の利用: 物語に緊張感やスリルをもたらすために、ネガティブな要素を効果的に取り入れる。
「ポジティブに！」という指示: コーチがプレイヤーに「ポジティブに！」と指示し、ネガティブな反応をポジティブに変える練習をする。
例：「パーティーは楽しい？」という質問に「楽しくない」と答えたら、「最高に楽しい！」と言わせる。
「ベルを鳴らして逆転させる」ゲーム: ベルを鳴らすことで、直前のセリフを逆転させ、ネガティブな行動をポジティブなものに変える。
例：「車で行こう」と言った後、ベルが鳴ったら「やっぱり歩こう」と言い直す。
ポジティブとネガティブの捉え方:
前向きな姿勢: 「ポジティブ」とは、単に明るく振る舞うことではなく、「前向きな姿勢」で物語を動かすことである。
状況に応じた対応: 物語の展開によっては、ネガティブな出来事が、結果としてシーンを盛り上げる場合もある。
重要な点として、インプロにおいて「Being Negative」は、物語の停滞、観客の興味喪失、創造性の阻害につながるため、プレイヤーはネガティブな態度を避け、積極的に物語に関わり、ポジティブな展開を目指すことが重要です。ネガティブな要素を完全に排除するのではなく、物語に深みや面白さを加えるために、ネガティブな要素を効果的に活用することも、インプロの重要な要素であるとされています。
まとめ
第6章は、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を理解するための重要な章です。
これらの行動は、一見すると無害で、またはコメディのために必要不可欠なものに見えるかもしれませんが、実は物語の展開や観客とのつながりを阻害する要因となります。
プレイヤーは、これらの行動を認識し、意識的に避けることによって、より豊かで、刺激的な物語を創り出すことができるでしょう。
また、これらの行動を意図的に利用することで、物語がどうなっていくのかを理解し、自発的に物語を作り上げていく能力を高めることができるでしょう。
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