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温故知”芯”~へっちゃら解釈~『Impro for Storytellers』≪第6章:⑪Being Original(独創的であること)≫

前置き

このブログのタイトルにある「温故知芯」とは、私が大切にしている考え方を表した造語です。先人の知恵や経験を深く理解し、私なりに、その本質を捉えることによって、新たな発見や創造に繋げたい。そんな想いをこの言葉に込めています。

今回は、前回のnote記事(▽こちら)からの派生note記事です。
※「物語を妨げる行動リスト」のひとつを詳細に解説します。

おさらい

このnote記事では『Impro for Storytellers』(Keith Johnstone (著))

の、第6章 Making Things Happen の解釈について拙筆を走らせます。

この章では、インプロ(即興演劇)における物語の推進力を阻害する様々な行動が挙げられています。

これらの行動を理解し、適切に対処することで、プレイヤーはより効果的に物語を構築し、観客の興味を引きつけ続けることができます。

今回は、以下の行動について、解説します。

Being Original(独創的であること)

「Making Things Happen」セクション内の「Being Original(独創的であること)」は、即興劇(インプロ)において、既存の概念や観客の期待を避け、奇抜で突飛なアイデアを追求するあまり、物語の自然な流れを阻害してしまう行為を指します。このセクションでは、真の創造性とは、独創性を追求することではなく、物語の可能性を最大限に引き出すことであると説いています。

「Being Original」に関する主なポイントは以下の通りです。

「Being Original」とは:

  • 奇抜さの追求: ありきたりなアイデアを避け、目新しい、変わったアイデアを無理に作り出そうとすること。

  • 観客の期待の否定: 観客が期待するであろう展開を避け、意図的に予想外の行動をとること。

  • 物語からの逸脱: 物語の自然な流れや、登場人物の行動原理から逸脱した、唐突なアイデアを持ち込むこと。

  • 責任回避: 物語を大きく動かすような、変化につながる行動を避けること。

  • 思考停止: 物語をどう展開させたら良いかわからない時に、思考を停止して奇抜なアイデアに頼ること。

  • 目立ちたがり: 他のプレイヤーよりも、自分が目立つことを優先してしまうこと。

「Being Original」の具体例:

  • 小包の例: 小包を開けた時に、中身がレンガであるというアイデアを、独創的であると勘違いしてしまう。

    • 解説: 普通の観客は、小包の中身がレンガであるとは予想しないため、独創的だと感じてしまう。

  • オムレツの例: オムレツを作る時に、「卵が必要か?」という質問をして、物語を混乱させてしまう。

    • 解説: オムレツに卵は不可欠であるため、この質問は物語を前に進めるのではなく、思考を停止させる。

  • 吸血鬼の例: 吸血鬼の棺が開けられた時に、杭を忘れたと言い、「巨大なトマトを使おう!」というアイデアを、独創的だと主張する。

    • 解説: 杭の代わりがトマトでは、吸血鬼の物語を台無しにしてしまう。

  • ビーチの例: ビーチにいる人が、カニがカメラを持っているのを見た時に、「独創的だ」と言ってしまう。

    • 解説: カニはビーチにいることが自然であり、そのカニがカメラを持っているという展開は、観客の期待を裏切るものではない。

「Being Original」の弊害:

  • 物語の停滞: 「Being Original」は、物語の展開を妨げ、観客を混乱させる。

  • 観客の混乱: 奇抜で唐突な展開に、観客はついていけなくなる。

  • 笑いの喪失: 無理に独創性を追求しても、必ずしも面白い展開になるとは限らない。

  • 創造性の阻害: ありきたりなアイデアを避けることに集中するあまり、自然で面白い展開を見過ごしてしまう。

  • 相互作用の欠如: 他のプレイヤーとの関係性を考慮せず、自分のアイデアばかりを主張してしまう。

  • 物語の焦点の不明確化: 何が重要なのかが曖昧になり、観客の関心を失わせる。

  • キャラクターの個性の喪失: どのキャラクターも同じように奇抜な行動をするため、個性が失われる。

「Being Original」の修正と活用:

  • 「Obvious (明白であること)」の重視: 観客が期待している展開を完全に無視するのではなく、自然な流れを重視する。

  • 物語の可能性の探求: 奇抜なアイデアを追求するよりも、物語が持つ可能性を最大限に引き出すことを目指す。

    • 例: ビーチのシーンであれば、カニを登場させ、そのカニとどのように関わるのかを考える。

  • 観客の期待の把握: 観客がどのような展開を期待しているのかを理解し、それをある程度満たすようにする。

  • 自分の内なる「Obvious」に耳を澄ます: 独創性を無理に求めるのではなく、自分自身の自然な発想に従う。

    • 解説: 他の誰かの真似をするのではなく、自分の個性から生まれるアイデアこそが真の独創性である。

  • 状況への適合性: 独創的なアイデアを追求する前に、そのアイデアが状況に合っているかどうかを考える。

    • 例: カニがカメラを持っているというアイデアが、ビーチのシーンに合っているかどうかを考える。

「Being Original」と「Stupidity (愚かさ)」の関係性:

  • 類似性: 独創的であろうとする行為と、愚かな行為は、結果的に同じような状態になることがある。

  • 解説: どちらも、物語の自然な流れを無視したり、観客の期待を裏切ったりする。

  • 違い: 独創性は、意図的に奇抜なアイデアを追求する行為であるのに対して、愚かさは、単に考えが足りない状態である。

  • 解決策: 独創性を追求するのではなく、物語を自然に展開させることを目指す。

「Being Original」と創造性の関係性:

  • 創造性の誤解: 創造性とは、奇抜なアイデアを生み出すことではなく、物語の可能性を最大限に引き出すことである。

  • 創造性の本質: 観客の期待を裏切るのではなく、観客の期待に応えながらも、予想外の面白さを提供することが、創造性の本質である。

  • 例: カニがカメラを持っているというアイデアは、独創的ではないかもしれないが、そのカニとどのように関わるのかという展開は、創造的になる可能性がある。

重要な点として、インプロにおいて「Being Original」は、物語を停滞させ、観客を混乱させるため、プレイヤーは独創性を追求するのではなく、物語の可能性を最大限に引き出すことを目指すべきです。真の独創性とは、奇抜なアイデアを生み出すことではなく、自分自身の内なる「Obvious」に従い、物語の自然な流れを生み出すことであるとされています。
また、「Being Original」は「物語をコントロールできていない状態」であり、「観客の期待を理解していない」時に起こりやすいと指摘されています。
「Being Original」は、他の「Making Things Happen」の阻害要因と関連していることがあります。

  • Sidetracking(サイドトラッキング):物語の展開を意図的に脱線させ、観客の期待を裏切る。

    • 独創性を追求するあまり、物語の筋から大きく外れてしまう。

  • Looping(ルーピング):同じ行動やセリフを繰り返すことで、物語の展開を停滞させる。

    • 独創的なアイデアを思いつかない時に、同じ行動を繰り返してしまう。

  • Gagging(ギャグ):物語の展開よりも、笑いを取ることを優先させる。

    • 独創的なアイデアで笑いを取ろうとするあまり、物語を台無しにしてしまう。

  • Blocking(ブロッキング): 他のプレイヤーの提案を拒否したり、無視したりする。

    • 独創的なアイデアを優先するあまり、他のプレイヤーのアイデアを拒否してしまう。

まとめ

第6章は、インプロ(即興演劇)における物語の推進力を理解するための重要な章です。

これらの行動は、一見すると無害で、またはコメディのために必要不可欠なものに見えるかもしれませんが、実は物語の展開や観客とのつながりを阻害する要因となります。

プレイヤーは、これらの行動を認識し、意識的に避けることによって、より豊かで、刺激的な物語を創り出すことができるでしょう。

また、これらの行動を意図的に利用することで、物語がどうなっていくのかを理解し、自発的に物語を作り上げていく能力を高めることができるでしょう。


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