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アーチとのコラボ・ワークショップ報告:キース・ジョンストンのインプロ探求
先日、アーチ(Xアカウント:archerk3148)との共催でインプロワークショップを開催しました。今回は、キース・ジョンストン著『Impro for Storytellers』第6章「Making Things Happen」を題材に、私の解釈をまとめたnote記事(約20本分)を基にした検証を行いました。
ワークショップでは、「本当に書籍に書かれている通りなのか?」「私の解釈は適切か?」という疑問を深く掘り下げ、理解を深めるというより、検証に重点を置きました。
参加者は熟練のインプロバイザー

参加者は平均15年以上の経験を持つ、熟練のインプロバイザーの方々でした。多くの方が、キース・ジョンストンの第6章や私の解釈noteに書かれている内容を明確に言語化・意識化・理解していたわけではありませんでしたが、体感的に納得できる経験とスキルをお持ちでした。
「Making Things Happen」再解釈の試み
通常、キース・ジョンストンのインプロ理論では、第6章に記載された17項目は物語を停滞させる要因とみなされます。しかし、経験豊富な参加者の皆様にとっては、これらの要因さえも物語を前進させたり、興味深いシーンを作り出すために活用できるという点が非常に興味深かったです。
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ワークショップでは、ホワイトボードの画像にあるように、特に気になる停滞要因を選び、実際に試すことを試みました。
あえて停滞要因を試してみる
当て物ゲーム:演者は17個の停滞要因の中から1つを選び、それを意識して演技します。観客はその意図を当てます。
停滞要因を使いつつ、物語を前進させてみる:通常は停滞するとされる要因を使いながら、なんとかストーリーを進めることを試みます。
参加者からの提案:上記1〜3以外に、参加者から試してみたいアイデアを募り、実践します。
発見と学び:より深いインプロの世界へ
実際に「あえて停滞要因を試してみる」ことを実践した結果、物語が進むこともあれば、進まない場合でも観客にとって非常に興味深く、面白いシーンが生まれることが分かりました。また、停滞要因とされるものが、様々な効果を生み出す可能性も認識できました。
3番目に予定していた「停滞要因を使いつつ、物語を前進させてみる」は、自然とクリアできていたため、省略しました。
有料noteのご紹介:さらなるインプロの探求
ワークショップ開催時点では未公開だったnote記事を参加者の皆様に読んでいただき、感想や意見を伺いました。
このnoteでは、『Impro for Storytellers』には書かれていない、私が独自に考える「物語が停滞する要因」を列挙しています。要因の列挙だけでなく、原因や考えられる対処法についても触れています。
〔目次はこんな感じです👇〕
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参加者からは「確かにそうだ」という共感や「これは当たり前ではないか」という意見もありましたが、「当たり前でも、初心者には気づかないこともあるし、経験者でも気づいていない人がいるかもしれないから、必要な情報だ」という意見もいただきました。
今後の展開:次回のワークショップに向けて
すでに次回、アーチとのコラボで同様のテーマのワークショップを開催することが決定しています。参加者には公式LINEに登録していただき、一定の条件を満たせば、そのnoteの内容を特典として無料で配布する予定です。
さらなる考察:『Impro for Storytellers』における誤解とシアタースポーツ
ここで、今回のワークショップで立ちあがってきた、もう少し踏み込んだ考察の内容を簡単にご紹介します。
第6章「Making Things Happen」の内容は、大まかな傾向として「インプロでやってはいけないこと」という、少し乱暴な認識で広まっていることもあるようだが、より正確には「物語が停滞しやすい行動」と捉えるべきだと確認しました。
この点を踏まえ、物語とは何かという議論に進みました。議論を深めるため、キース・ジョンストンの『Impro for Storytellers』の第6章以外の内容についても、私の方で少し補足説明を行いました。
そうして、物語は単なる出来事の羅列ではなく、ドラマが起きることであり、そのドラマとは、変化のことであり、キャラクター同士の関係性や感情の強まりや弱まり、そして逆転や変容などによっても生まれることを確認しました。また、キース・ジョンストンが提唱する「ステータス」の変化も重要な概念として議論しました。ステータス(力関係)の差が開いたり縮まったり、あるいは逆転したりすることで変化が生まれます。
また、『Impro for Storytellers』が扱っているインプロの位置づけについても議論しました。
ゴシッピング(噂話)やサイドトラッキング(脱線)は、使い方によってはストーリー作りに有効であるという意見が出たため、日本ではあまり議論されていない、以下の視点を私の方で提示しました。
『Impro for Storytellers』は、シアタースポーツをベースに書かれていると推測されます。シアタースポーツはショートフォームを中心に扱うため、時間的な制約が比較的に厳しいインプロです。
そのため、ロングフォームのインプロでは、確かに物語のセッティングや伏線回収に有効なゴシッピングやサイドトラッキングなどが、ショートフォームであるがゆえに物語を停滞させる要因として挙げられているという解釈です。
日本では4章以降から読む人が多い傾向が見られ、1〜3章はあまり読まれていないと思われるため、『Impro for Storytellers』がシアタースポーツを念頭に書かれているという点が抜け落ちている可能性があると考えられます。
シアタースポーツ(ショートフォーム)だけに当てはまるわけではないことも書かれていますが、シアタースポーツをベースに書かれていることを念頭に読むと、より深く内容を理解し、納得できる記述が多いことに気づくはずです。
最後に:インプロの世界を共に探求しよう
今回のワークショップでは、ステーク(シーンにおける機能や顧客への働きかけ)や、サークル・オブ・エクスペクテーション(期待の輪)といった議論も行われ、多くの面白い視点や気づきがあり、認識を共有し、理解を深めることができました。
私のワークショップでは、参加者自身が発見していくことを重視しているため、これ以上の具体的な内容の詳細は控えさせていただきます。
この記事を読み、興味を持たれた方は、ぜひ次回のワークショップにご参加ください。ご自身の体験を通して、新たな気づきや発見を得て、インプロの楽しさを深め、パフォーマンスの向上に繋げていただければ幸いです。
このワークショップが日本のインプロシーンの発展に貢献できることを願っています。
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