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キース・ジョンストン 温故知芯:「ティルト③」へっちゃら解釈 ~「期待の輪(Circle of Expectation)」「独創性(Being Original)」との関連~

前置き

このブログのタイトルにある「温故知芯」とは、私が大切にしている考え方を表した造語です。先人の知恵や経験を深く理解し、私なりに、その本質を捉えることによって、新たな発見や創造に繋げたい。そんな想いをこの言葉に込めています。

前回は、「ティルト(傾き)の仕組み」について、ご紹介しました。

前回の記事はこちら

今回は、「ティルト(傾き)」と「期待の輪(Circle of Expectation)」そして「独創性(Being Original)」の三位一体性について、より深く探求していきましょう。

「期待の輪(Circle of Expectation)」

インプロにおける「ティルト(傾き)」は、観客がシーンを見る際に無意識に形成する「期待の輪(Circle of Expectation)」を、意図的にずらすことで生まれます。

「期待の輪」とは

これまでの経験、ジャンルの慣習、シーンの導入部や状況などから、観客が次に起こることを予測する、一種の心理的な枠組みです。

「ティルト(傾き)」とは、この「期待の輪」の輪郭、つまり、多くの人が共通して抱く予測の範囲のギリギリのラインを攻めることで、物語の展開に意外性を持たせ、観客の興味を惹きつけるためのテクニックです。

安易な逸脱との違い

完全に「期待の輪」から逸脱してしまうと、観客は物語の展開を理解できず、置いてけぼりにされてしまいます(逆に輪の中心ばかりの展開だと、物語は物足りなく感じられてしまいます)。

  • 「ティルト」は、「期待の輪」を理解した上で、その枠組みのギリギリのラインを攻めることによって、観客の興味を惹きつけ、物語に意外な展開をもたらすことを目的とします。

  • その絶妙なバランスこそが、「ティルト(傾き)」の奥深さなのです。

「期待の輪」の活用

観客が抱くであろう「期待の輪」を理解することは、「ティルト(傾き)」を効果的に活用するための第一歩です。

例えば、「老夫婦の日常」という設定であれば、観客は老夫婦の穏やかな会話や、ゆったりとした時間といった内容を予測します。

この予測を認識した上で、「老夫婦が、実は元スパイで、次のミッションについて話し始める」といった「ティルト」を加えることで、観客の期待を裏切り、より興味深い展開を生み出すことができます。

「独創性(Being Original)」

キース・ジョンストンは、独創性(Being Original)を、自分自身の内から湧き出るものを素直に表現することだと捉えています。

キース・ジョンストンが語る「独創性(Being Original)」

  • 安易な独創性の否定: ジョンストンは、既存の価値観や評価基準に縛られた「独創性」を否定します。「独創的なアイデアを出そう」と意識すると、かえって、誰もが思いつくようなステレオタイプなアイデアに陥ってしまうと指摘します。

  • 真の「独創性」とは?: ジョンストンが考える真の「独創性」とは、自分自身の内なる声に耳を傾け、そこで生まれた感情や衝動を、無理に加工することなく、そのまま表現することです。

    • これは、自分自身が面白いと感じることこそが、そのまま観客にとっても面白いことにつながることが多い、という考え方に基づいています。

「ティルト(傾き)」と「独創性」

「ティルト(傾き)」は、自分自身の内から湧き出る独創性を表現するための、有効な手段です。

  • 観客の期待を理解した上で、そこからキース・ジョンストンが語る独創性を活かしてズレることで、独自の視点や発想を、より効果的に表現することができます。

「ティルト(傾き)」、「期待の輪」、「独創性」:三位一体のインプロ

インプロにおいて、「ティルト(傾き)」、「期待の輪」、そして「独創性」は、互いに影響し合い、相乗効果を生み出す、三位一体の要素です。

  • 「期待の輪」を理解することで、観客がどのような展開を予測しているのかを把握できる。

  • 「ティルト(傾き)」によって、予測可能な展開を意図的に変化させ、観客の興味を惹きつけることができる。

  • 「独創性」によって、自分自身の内なる声に基づいた、オリジナリティ溢れる物語を創造することができる。

  • 3つの要素を組み合せることで、単なる即興劇ではなく、観客を魅了するような、予測不可能な物語を生み出すことができる。

まとめ

今回は、「ティルト(傾き)」の仕組みを、「期待の輪」と「独創性」との関連性という観点から、より詳細に解説しました。

「ティルト(傾き)」は、単なるテクニックではなく、インプロの根幹をなす、非常に重要な概念です。

これらの関連性を理解することで、あなたは、より効果的に「ティルト」を使いこなし、観客の心を掴む、オリジナリティ溢れるインプロを創り出すことができるでしょう。


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