温故知”芯”~へっちゃら解釈~『Impro for Storytellers』≪第６章：④Cancelling（キャンセリング）≫
前置き
このブログのタイトルにある「温故知芯」とは、私が大切にしている考え方を表した造語です。先人の知恵や経験を深く理解し、私なりに、その本質を捉えることによって、新たな発見や創造に繋げたい。そんな想いをこの言葉に込めています。
今回は、前回のnote記事（▽こちら）からの派生note記事です。
※「物語を妨げる行動リスト」のひとつを詳細に解説します。
おさらい
このnote記事では『Impro for Storytellers』（Keith Johnstone (著)）
の、第６章 Making Things Happen の解釈について拙筆を走らせます。
この章では、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を阻害する様々な行動が挙げられています。
これらの行動を理解し、適切に対処することで、プレイヤーはより効果的に物語を構築し、観客の興味を引きつけ続けることができます。
今回は、以下の行動について、解説します。
Cancelling（キャンセリング）
「Making Things Happen」セクション内の「Cancelling（キャンセリング）」の内容は、即興劇（インプロ）において、それまでに確立された要素や行動を無効化し、物語の展開を妨げる行為を指します。このセクションでは、キャンセリングがどのように物語の可能性を潰し、観客の期待を裏切るかを説明し、その回避策と、キャンセリングを逆手に取って面白さを生み出す方法について解説しています。
キャンセリングに関する主なポイントは以下の通りです。
キャンセリングとは:
行動の無効化: それまでに行われた行動や設定を、あたかもなかったかのように打ち消す。
展開の否定: 物語の展開やキャラクターの行動を、無理やり中断させ、何もなかった状態に戻す。
期待の裏切り: 観客が期待している展開を、意図的に裏切り、物語を停滞させる。
状況の破棄: すでに確立した状況設定を、唐突に破棄し、物語を混乱させる。
キャラクターの否定: キャラクターの行動や感情を否定し、キャラクターの存在感を薄める。
キャンセリングの具体例:
火を消す: せっかく火を起こしたのに、雨が降って火が消えてしまう。
犬を無効にする: 野良犬に餌をあげたのに、トラックに轢かれてしまう。
夢オチ: 物語の展開をすべて夢だったという設定で終わらせる。
せっかくの展開を台無しにする: せっかく良い雰囲気になったのに、唐突に悪い知らせが入って台無しにする。
努力を無にする: せっかく苦労して何かを達成したのに、最後にすべてを無にする。
キャンセリングの弊害:
物語の停滞: キャンセリングは、物語の展開を妨げ、何も起こらない状態にしてしまう。
観客の不満: 観客は、物語の展開を期待しているため、キャンセリングが続くと不満を感じる。
期待の裏切り: 観客が期待している展開をキャンセリングすることで、観客の興味を失わせる。
創造性の阻害: キャンセリングは、新しいアイデアや展開を阻害し、物語を単調にする。
緊張感の喪失: 物語の緊張感やスリルがキャンセリングされると、観客は物語への関心を失う。
展開の予測不能性: 物語の展開を予測不可能にするため、観客を混乱させ、物語への理解を妨げる。
キャンセリングの修正と活用:
行動の継続: キャンセリングするのではなく、それまでの行動や設定を受け入れ、物語を継続させる。
展開の発展: キャンセリングする代わりに、それまでの展開を発展させ、物語をより面白くする。
予想外の展開: 観客が予想しない方法でキャンセリングを使い、驚きと笑いを誘う。
物語の転換: キャンセリングを、物語の転換点として使い、新しい展開を生み出す。
キャンセリングの意図的な使用: キャンセリングを意図的に使い、物語を面白くする（例：ウォルト・ディズニーのプルートは、小さい骨を大きい骨と交換するが、最終的には最初の小さい骨に戻ることで物語を終わらせている）。
「What Comes Next?」ゲームでのキャンセリング: 物語をわざとキャンセリングし、物語がどのように破壊されるのかを理解する。
例：家が爆発する→家が再び組み立てられる→夢だった、などと、次々にキャンセリングを行う。
キャンセリングの種類:
直接的なキャンセリング: 行動や設定を直接的に無効にする。
間接的なキャンセリング: 行動や設定を間接的に無効にする。
意図的なキャンセリング: 物語を面白くするために意図的に行うキャンセリング。
無意識なキャンセリング: 意図せずに行ってしまうキャンセリング。
ギャグとしてのキャンセリング: キャンセリングをギャグとして使い、観客を笑わせる。
重要な点として、インプロにおいて「Cancelling」は、物語の可能性を打ち消し、観客の興味を失わせるため、プレイヤーはキャンセリングを避け、物語を積極的に展開させることが重要です。しかし、キャンセリングを意図的に使い、物語に変化やユーモアを加えることで、観客を飽きさせない、予測不能なインプロを作り出すこともできるとされています。
まとめ
第6章は、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を理解するための重要な章です。
これらの行動は、一見すると無害で、またはコメディのために必要不可欠なものに見えるかもしれませんが、実は物語の展開や観客とのつながりを阻害する要因となります。
プレイヤーは、これらの行動を認識し、意識的に避けることによって、より豊かで、刺激的な物語を創り出すことができるでしょう。
また、これらの行動を意図的に利用することで、物語がどうなっていくのかを理解し、自発的に物語を作り上げていく能力を高めることができるでしょう。
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