温故知”芯”~へっちゃら解釈~『Impro for Storytellers』≪第６章：①Blocking（ブロッキング）≫
前置き
このブログのタイトルにある「温故知芯」とは、私が大切にしている考え方を表した造語です。先人の知恵や経験を深く理解し、私なりに、その本質を捉えることによって、新たな発見や創造に繋げたい。そんな想いをこの言葉に込めています。
今回は、前回のnote記事（▽こちら）からの派生note記事です。
※「物語を妨げる行動リスト」のひとつを詳細に解説します。
おさらい
このnote記事では『Impro for Storytellers』（Keith Johnstone (著)）
の、第６章 Making Things Happen の解釈について拙筆を走らせます。
この章では、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を阻害する様々な行動が挙げられています。
これらの行動を理解し、適切に対処することで、プレイヤーはより効果的に物語を構築し、観客の興味を引きつけ続けることができます。
今回は、以下の行動について、解説します。
Blocking（ブロッキング）
「Making Things Happen」セクション内の「Blocking（ブロッキング）」の内容は、即興劇（インプロ）において、他のプレイヤーの提案や行動を拒否したり、物語の展開を妨げたりする行為を指します。このセクションでは、ブロッキングがどのように物語の進行を阻害し、観客の興味を失わせるかを解説し、その様々な形態と、それを乗り越えて物語を豊かにする方法について説明しています。
ブロッキングに関する主なポイントは以下の通りです。
ブロッキングとは:
拒否反応: 他のプレイヤーの提案や行動を直接的に拒否する。
否定的な回答: 質問や提案に対し、「いいえ」「でも」といった否定的な言葉で応答する。
議論: 相手の意見に反論したり、言い訳をすることで、物語の展開を遅らせる。
行動の妨害: 他のプレイヤーの行動を妨げたり、無効にしたりする。
変更: 他のプレイヤーの提案した設定やアイデアを変更する。
無視: 他のプレイヤーの提案を無視したり、聞こえないふりをする。
過剰なコントロール: 他のプレイヤーの行動を過度に制限しようとする。
ブロッキングの具体例:
お使いの拒否: 「おばあさんのところにクッキーを届けて」という提案に対し、「おばあさんは休暇中だ」と答える。
誘いの拒否: 「泳ぎに行こう」という誘いに対し、「いやだ」と答える。
提案の否定: 「コーヒーをどうぞ」に対し、「紅茶をください」と答える。
状況の否定: 「プールが空っぽだ」という理由で、水泳の誘いを拒否する。
設定の変更: 「鳩に餌をあげている」という設定に対して、「いや、あれはコーンフレークだ」と、その設定を無効化する。
関係性の拒否: 「恋人同士のふたり」という設定に対し、男が「私はただのヒッチハイカーだ」と言い、恋人役を拒否する。
ブロッキングの弊害:
物語の停滞: ブロッキングは、物語が前進するのを妨げ、観客の興味を失わせる。
展開の制限: キャラクターの相互作用や感情の変化を妨げ、物語の可能性を制限する。
観客の不満: 登場人物の行動が制限されるため、観客は何も起こらないと感じる。
創造性の阻害: 新しいアイデアや展開が生まれにくく、物語が単調になる。
感情の抑圧: 登場人物が感情を表現する機会を奪い、物語を退屈にする。
舞台上での緊張: プレイヤー同士の対立や不和を生み、舞台上の雰囲気を悪くする。
ブロッキングの修正と活用:
積極的な受け入れ: 他のプレイヤーの提案を受け入れ、それを発展させる。
肯定的な反応: 質問や提案に対し、否定的な言葉を避け、肯定的な言葉で応答する。
協力的な姿勢: 他のプレイヤーと協力し、物語を共に創造する。
「両方ブロック」ゲーム: アイデアを意図的に打ち消し合う練習を通じて、ブロックの力を理解し、それを逆手にとって面白さを生み出す。
例:「釣りに行こう！」「それはゴキブリじゃないか？」「アイスクリームはどう？」「木曜日だと思ってしまう」というように、全ての提案を即座に打ち消し合う。
「ブロックを解除」ゲーム: コーチがブロックを解除し、ネガティブな反応をポジティブなものに変える。
例：「本は面白い？」という質問に「あまり面白くない」と答えたら、コーチは「すごく面白い本だ！」と言わせる。
「最初にブロックした方が負け」ゲーム: 提案に対し、すぐにブロックすると負けというルールで、ブロックを避ける練習をする。
「タグ・バージョン」ゲーム: ブロックが発生するたびに、プレイヤーを交代させ、ブロックを意識させる。
ブロッキングの種類:
見えにくいブロック: 一見受け入れているように見えても、物語の展開を微妙に妨げているブロック。
キャラクターとしてのブロック: キャラクターの性格がブロッキングにつながる場合。
ブロッキングを面白さに変える方法:
意図的なブロッキング: ブロッキングを意図的に使い、観客を笑わせる。
過剰なブロッキング: わざとらしくブロッキングをすることで、ユーモアを生み出す。
予想外のブロッキング: 観客の予想を裏切るようなブロッキングで、驚きと笑いを誘う。
重要な点として、インプロにおいて、ブロッキングは物語の進行を妨げるだけでなく、新しい展開やアイデアを阻害する要因となるため、プレイヤーはブロッキングを認識し、それを避け、積極的に物語を動かすことが重要です。ブロッキングを建設的に活用することで、物語に深みと面白さを加え、観客を魅了するインプロが生まれるとされています。
まとめ
第6章は、インプロ（即興演劇）における物語の推進力を理解するための重要な章です。
これらの行動は、一見すると無害で、またはコメディのために必要不可欠なものに見えるかもしれませんが、実は物語の展開や観客とのつながりを阻害する要因となります。
プレイヤーは、これらの行動を認識し、意識的に避けることによって、より豊かで、刺激的な物語を創り出すことができるでしょう。
また、これらの行動を意図的に利用することで、物語がどうなっていくのかを理解し、自発的に物語を作り上げていく能力を高めることができるでしょう。
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