
ライジング若冲そして若冲ナイト(2)
(1)の続きです。
夕暮れの嵐山。嵐電に乗車して「嵐山駅」に到着したのは開場の5分後、17時20分頃でした。
雨はなんとか上がっていましたが、その分渡月橋が架かる大堰川の水の勢いが凄まじく、結構恐怖を感じました。

そんな大堰川沿いの福田美術館。
玄関ロビーは全く人の気配がない…
そんなにみんな早々に着いてるもんなのかな?と思いつつ、若冲ナイトのチケット(スマホで表示)を見せて受付を通り、レクチャー会場のミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」へ進みました。
みんな早々に着いていらっしゃいました。すみません。
そして11月2日17時30分から始まったのが「若冲ナイト」です。
若冲ナイトとは
閉館後の福田美術館を貸し切ってナイトミュージアムをお楽しみいただく、大人気のイベントが復活!今回は、この度世界初公開となる伊藤若冲《果蔬図巻》を発見した学芸課長の岡田秀之に、発見の経緯や本作品の意義などについて語ってもらいます。
今回新発見された「果蔬図巻」初公開となる「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」展初日を見に来たのは3週間前。
あれから約半月ぶりの福田美術館訪問です。
このイベントで私が楽しみだったのは以下の点。
・学芸課長岡田先生のお話(いつ聞いても興味深い)
・閉館後少人数でゆったりと館内が見られる(大事!!)
美術館さんはこれにプラスして「モエ・エ・シャンドンのベビーボトルを一人ずつにご提供!美術館カフェのおつまみとお酒を添えてレクチャーを楽しんでね!」というウリだったのでございましょうがすみません、不肖わたくしアルコールが一切ダメな奴です。ほんますんません。
念のため嵐電に乗る前にソフトドリンク買って持参したんですね。カフェの皆さんにお酒無理なんですと言うとお水を下さったんですけど、そうは言っても乾杯するには余りにも悲しかったので(笑)。
買っておいてよかった。
色も似てた(笑)。

モエ・エ・シャンドンはお持ち帰りしました

美味しかった
岡田先生の「果蔬図巻」解説は雑誌「完全保存版若冲」の誌面や、以前テレビ番組でも拝見してもいましたが、やはり「ヨーロッパにいつの間にか流出していた、これまで全く知られて来なかった若冲の作品を、如何にすみやかに無事に日本に持ち帰られるか行動を起こした人々」の生の声を聞けて良かったです(笑)。
何度か「ここ(会場)に美術商の人いたりします?」とにこやかに笑いながらも割と気にしてらっしゃったのが面白かった。
やはり「美術品を志を持って手に入れたい側」と「美術品を商売として上手く使いたい美術商」の終わらない千年戦争というものは業界であるのだろうな、とほんの少しその難しさを垣間見た気がします。
岡田先生の見解だと、去年入手した際に確認した修復の手法から見て、果蔬図巻は昭和初期までは日本国内にあったのではないかとのこと。
去年見つかった時点からこんにちまで、絵巻の依頼者・森玄郷及びその息子嘉続の素性は未だ不明だということ。
スライドで画像や情報豊富に生解説を伺いつつ、タイムスケジュールぴったりに解説は終わりました。
続いて自由観覧タイムです。
定員24人という限定イベントですから、ぎゅうぎゅうになる訳がありません。しかし私はまたしても策を講じました。
展覧会初日で使ったアレです。
コードネームは2、3、1
他の約20名の皆さんが順序よく1階の展示室1へ進むのを横目に私は展示室2へ昇っていきました(展示室は2階)。

展示室2に入ると…

誰もいねーー。


誰もいねーー。最高ーー。ありがとうございます!!
展覧会初日に来た時に矯めつ眇めつ見まくったので、絵を見ることそのものに焦燥感みたいなのは最早なかったですが、ホントゆーーっくりじーーっくり見て回りました。


絵にして伝わったかもしれない。
それを大坂の博物学者・木村蒹葭堂から知らされたかもしれない。




そういうものを思う存分一人っきりで見てました。
あの空間クセになりそう!
贅沢でした。圧倒的感謝!
とは言えさすがに20分もすれば皆さん上がって来られます(笑)。当然です。
堪能したので私は展示室3に向かいました。1ではなくね。ここは円山応挙と曾我蕭白のコーナーです。

大好きな応挙の孔雀と虎を独り占め。
そして楽しんだ後、最後に展示室1へ行きました。

果蔬図巻、乗興舟などを存分に見てから最後に向かい合ったのが「蕪に双鶏図」。
ドラマ「ライジング若冲」で、絵師若冲と大典禅師が出会うきっかけとして使われた実在の絵画。
これも近年発見された掛け軸で、福田美術館の所蔵です。

ライジング若冲より
若冲さんが30代前半から半ばで描いたと考えられる作品ですから、本来はまだ雅号を付ける前。よって款記は後年入れたのでしょうね。
ですが「動植綵絵」などでよく知られる若冲らしい構図(雄鶏を大きく描く/雌鶏を小さく描く/濃密な超絶技巧/穴がランダムに開いた病葉/死生観も感じさせる構成)はこの頃には既に確立していたことが判明した作品でもあります。
皆さんと逆行して行動したおかげで、本当にほとんど人と袖振り合うこともなく(文字通りの意味で)、静かに楽しく鑑賞しました。
若冲ナイトお開きの時間です
名残惜しいですが19時30分、嵐山を後にします。
この時間にもなるとまだ特にイベントもないこの辺り、真っ暗でさすがに殆ど観光客もいません。


公式さんのご挨拶にも見送られながら家路につきます。
#若冲ナイト にご参加いただきました皆様、本日はご来館有難うございました。
— 福田美術館 Fukuda Art Museum (@ArtFukuda) November 2, 2024
遠方の方は道中お気をつけてお帰りください🙇🏻♂️@ArtFukuda #若冲激レア展 pic.twitter.com/5ss2xkPcZc
もし読んでくださった方いらっしゃったら、お疲れ様でした。
おまけ:ライジング若冲おかわり
ライジング若冲本放送当時、NHK京都局のディスプレイを写真に撮っておりましたので、ここにご紹介。

